記憶の鉄路をたどる(4) – ドイツ技術博物館の保存鉄道 –

ベルリンの乗り物の歩みを一望」で紹介したドイツ技術博物館の車庫の一般公開を見た後、同博物館の保存鉄道というのに乗る機会がありました。これがなかなか楽しい体験だったのでご紹介したいと思います。17時半の閉館の少し前、車庫の横に行ってみると、小さなホームの横にディーゼル機関車に率いられた古めかしい客車が横たわっていました。車庫から博物館まで1,2キロぐらい(?)、かつて終着駅アンハルター駅に向かう線路はほとんど全て撤去されましたが、その一部が保存されていたのでした。
技術博物館の保存鉄道の存在は知っていましたが、こんなところが発着点になっていたとは。ちょっとわくわくした気分になってくると、やがて列車は静かに動き出しました。
クロイツベルクの見慣れた風景が、古い客車のボックス席に揺られていると、時代が一気にさかのぼった気分になります。博物館のHPの記事によると、この客車は1937年にブレスラウ(現ポーランドのヴロツワフ)で製造されたものだとか。すごくゆったりしていて、普段乗るSバーンとは気分も全然違います。
鉄橋の墓場 - 天使の降りた場所(14) –」で以前書いたヨーク橋を越えると、最近公園に生まれ変わったばかりのグライスドライエックの操車場跡に差し掛かります。私がここを散策してから約3年、随分きれいに整備されたものです。
雨で歩く人などほとんどいないのに、ちゃんと踏切係の人も立っていました。「記憶の鉄路をたどる(3) – グライスドライエックの貨物駅跡(下) –」で私がうろうろしたのはこの辺りでしょう。また改めて散策に訪れたいと思いました。
発車して10分も経たない頃でしょうか、博物館の手前で列車は停車しました。ここが終着点です。
周辺には蒸気機関車のターンテーブルなど、貴重な産業遺産が錆び付きながらも保存されていました。
博物館の裏口から中に入って、展示物を横目に出口へ向かいます。できればこの先にあったかつての大終着駅、アンハルター駅まで乗っていたかったけれど、あとは想像で。それでも、往年のベルリンがほのかに感じられた旅でした。



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5 Responses

  1. ogurik
    ogurik at · Reply

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    レポート続編ありがとうございます。興味深く拝見しています。一部の線を残して、博物館と車庫の間を古い車両が動いているなんて、さすがドイツですね。アンハルター駅については、この本を見ながら往時の繁栄を想像しています。http://www.amazon.de/dp/3870942266

  2. ogurik
    ogurik at · Reply

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    上の本ですが、ドイツ技術博物館の学芸員の方が書かれたもので、膨大な資料と写真が紹介されています。幻に終わった復興計画の模型の写真もあり、かなり興味深い本でした。

  3. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    ogurikさん
    コメントありがとうございます。技術博物館にはアンハルター駅についての詳細な展示もあったと記憶しますが、その学芸員の方が担当されたのかもしれませんね。ご紹介いただいた本、そのうち入手したいと思います。

  4. しゅり
    しゅり at · Reply

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    こんにちは、マサトさん。
    グーグルマップで線路が若干残っていることを以前確認していたので、忍び込んで次回ベルリンに行った時は歩いてみようと思っていたのですが、昔の列車に乗って往時をしのべるステキな展示場になっているのを読んで驚きました。
    いいですね、こういうのは。
    気負っていなくて自然な感じで。
    ベルリンらしさを感じます。

  5. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    しゅりさん
    コメントをいただくのは久々かもしれませんね。ありがとうございます。
    何かの跡地で線路を見つけるとどうしても気になってしまうので(笑)、こうして人を乗せて今でもたまに列車を走ってくれるというのはうれしいものです。そうそう、富山のライトレールにもいつか乗ってみたいですね^^

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