先週の金曜日、フィルハーモニー火災事故の代替地として話題になった、テンペルホーフ空港(!)でのコンサートを聴いてきました。ベルリン・フィルは9月のベルリン音楽祭に、この空港内でシュトックハウゼンなどを演奏することになっていますが、今回の事故のお陰でいち早く実現することになったわけです。
さて、こちらが空港の正面入り口ですが、演奏会が行われたのはさすがにこの中ではありません。
総面積では何と世界で3番目という(ちなみに、第1位はアメリカのペンタゴンだとか)巨大極まりないターミナルビルをぐるりと時計回りに歩いて行きます。
Hangar2と呼ばれる格納庫の入り口にやって来ました。
現在はもう飛行機の格納庫として使用されることはなく、イベントの会場(例えば映画賞の授賞式など)に使われることから、内部はそれ用に改装されています。「格納庫」と聞いて思い浮かべる、ホコリくさい感じはありません。
ジャンボも収納できるような広さゆえ、私の席から舞台は遥か彼方。双眼鏡を持って来て正解でした。席はブロックごとに分かれていますが、ブロック内の移動は自由です。もともと売切れのコンサートだったとはいえ、これだけの空間がぎっしり埋まったのには驚きました。
マイクを使っているゆえ、その独特の響きに慣れるまでにしばらくかかりましたが、後半の《幻想交響曲》は、音楽の巨大な性格とも相まってほぼ違和感なく堪能できました(ハイドンやモーツァルトのプログラムでなくてよかった・・・)。ハープは8本、《幻想》のためだけに造られた2台の鐘の響きも堪能できたし、5楽章でのザイファルト氏のEsクラリネットのソロは悪魔的と形容できるほどハマッていました。1楽章の出だしが小型飛行機の離陸と重なったことや、曲の途中で救急車のけたたましいサイレン音が聞こえてきたハプニングはありましたが、まあそこはご愛嬌^^;)。フィルハーモニーで聴いていたら、間違いなく打ちのめされる演奏だったであろうに、それだけはちょっと残念でした。
終演後、これだけの人が一気に帰路につき始める様子は、なかなか圧巻でしたね。
それにしても、フィルハーモニーの火災という前代未聞の事故にも関わらず、アドミラルパラスト、ヴァルトビューネ、テンペルホーフ空港など、コンサートホールではないけれど、代替会場を見つけてちゃんと公演が行われ、しかもこれだけの人が集まる。これってなかなかすごいことだと思います。旧フィルハーモニーが空爆で破壊された後も、アドミラルパラストで演奏会が続けられた第二次大戦末期とか、比較対象としてはふさわしくないかもしれませんが、そういう状況も想起させます。いざとなれば音楽なんてどこでもできる。大切なのは、それを心から必要とする人がどれだけいるかどうか、ということなのでしょう。ドイツの音楽文化の底力を見た思いがしました。
さて、フィルハーモニーですが、今週月曜日のベルリン・ドイツ響のコンサートで操業を無事再開したそうです。
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おはようございます
テンペルホフ空港でベルリン・フィルの演奏が聴けるなんて
なんてワクワクするイベントなんでしょうか
↓昨日のプレンツラウアーベルクの住宅・・・まだ存在するのですね
これからも「今」のベルリンを伝えてくださいまし
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>ecran2さん
確かにわくわくするようなコンサートではありましたが、フィルハーモニーがどれだけ聴衆の側に立って造られたホールかということを実感することにもなりました。早くまたあの中で聴きたいですね。