前回ご紹介した「日曜日通り」をずっと歩いて行くと、オストクロイツ駅の入り口にぶつかる。中央で抱き合う男女のカップルの姿。そのSバーンの橋をくぐると、私にとって衝撃的な光景が広がっていた。
この光景の、一体どこが衝撃的なのか?
5月にベルリン・オストクロイツ駅という記事を書いたとき、ある読者の方が、Ostkreuz guideという質の高いフォトブログから1986年のオストクロイツ駅の写真を紹介してくださった。私はその写真をしばらく眺めていた(ぜひ一緒にご覧ください)。そのときは、「どこだかわからないが、こんな古ぼけた駅舎、まさかもう残っていないだろう」と思っていた。
ところが、あのSバーンの橋を初めてくぐった瞬間、自分の前に広がっていたのはDDR時代の22年前と全く変わらない風景だった。ベルリンのある場所についての古い写真を見る場合、大抵はすでにそこを訪れたことがあり、現在の風景を基準に過去の写真を眺めることがほとんどだ。ところが今回は逆だった。私の頭の中に、半分幻影のようにインプットされていた22年前の風景が、突如現実の目の前に現れたのである。
そんなことがあって、1人で興奮しながら仮設の路線橋を上ってみた。
以前、オストクロイツ駅は劇場のような駅だと書いたが、向こう側のホームで列車を待っている乗客たちは、空中にぽっかり浮いた舞台上の俳優のように見えてしまう。
Hauptstraßeに面した駅舎は、ちょうど取り壊されたばかりだった。やはりOstkreuzguideで、取り壊し前と取り壊し中の様子を見比べることができる。
この看板によると、オストクロイツ駅は2016年までに中央駅のような全面ガラス張りの駅に生まれ変わるらしい。まったく悲しいことだと言わざるを得ない。
100年の時を刻んだ赤レンガの渋い色合い。これもやがてなくなる。
そして、ほぼ真下から眺めるこの駅のシンボル給水塔の迫力!
環状線のホームから見える、ひっそりと佇む邸宅風の廃墟もカメラに収めておいた。
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ベルリン・オストクロイツ駅(2008-05-25)
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そのへんでよく夜遊びしたもんです。
無駄に広くて、夜中にウロウロすると
ちょっと不安な感じですが、
それもヒガシらしくてよかったのに。
ガラス張りの駅なんて、似合わない
断固反対です!
ね?
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駅舎がいつの間にか取り壊されていた!?
ついこの間まで健在だったのに。。。
それにしても、この廃墟の家はなんなのでしょう。
古い雰囲気の残る駅なのですけどね。時代には勝てないのかな・・・。
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開発という名のもとに駅も駅前の風景も同じような顔になってしまうのでしょうか。味気ないですよね。
谷中での秋のイベントに向けて準備に追われる日々ですが、昨日、今日とゆったりした散歩気分を味わえました。
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この間、オストクロイツで乗り換えをしましたが、古くいい感じだったのでビックリしました。
次回は絶対ここで下車して写真とります!!
週末オンリーはせかせかと過ごしてしまうので、次はもう少し長くベルリンにいたいです。
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こんにちは。
リンクの写真を見て、驚きのあまり勢いでコメントしてしまいました!色は塗り替えられていますが、まさにこのたてものですね。ずっと残ってたんだ。
知人に聞いた話ですが、写真にもある廃墟は保存指定されているそうです・・・真偽は確認していませんし、果たして私のドイツ語力で正確に理解できたかも分かりませんが・・・・・あやふやな情報ですみません。
オストクロイツは毎日利用していますが、ここでの乗り換え(特にリングへの階段付近)は、人があっちゃこっちゃに入り乱れ、ひどいです。
一利用者として、この混雑が緩和されるのであればとても嬉しいことなのですが、やはりこの風景が無くなってしまうということは残念で仕方ありません。私もここの雰囲気はとても気に入っています。
ちなみに、一枚目のお写真に影でご本人様初登場ですね(笑
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>さつきさん
>ガラス張りの駅なんて、似合わない
>断固反対です!
勝手な意見だとは思いながらも^^;)、同感です!半分廃墟のようだけど、こういった味わいのある場所が1つずつ消えていくのは寂しいですよ。
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>ウメさん
>古い雰囲気の残る駅なのですけどね。時代には勝てないのかな・・・。
他の大都市から見たら、これだけ利用者が多いのに、戦前製の駅が残っていたこと自体が不思議です。せめて今のうちに写真に収めておこうと思います。
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>Tsu-buさん
本当に味気ないです。どこの駅も同じに見える、新幹線の駅みたいにはならないでほしいのですが。
次回、久しぶりに谷中の街が登場します。よかったらまた書き込んでくださいね。
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>ickpaさん
イスクラさんならきっと気に入る雰囲気の駅だと思います。
残念ながら刻一刻と変わりつつあるので、改装される前にぜひいらしてください。
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>mchn22leckerさん
お久しぶりです。
「ベルリン・天使の詩」のときに、何度か書き込んでくださいましたよね!
>写真にもある廃墟は保存指定されているそうで
そうだったんですか!となると、何の建物なのかますます気になりますね。自分でも少し調べてみようと思います。
>一枚目のお写真に影でご本人様初登場ですね(笑
よく気付きましたね^^;)
実は、過去に一度だけ自分が写っている写真を載せたことがあるんですよ。後ろからのアングルなので、気付きにくかったかもしれませんが。
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なるほど...現存していましたか! 安堵感というか、そういうものを感じる一方で、この建物の運命も風前の灯火であろうことは事前になんとなく予想がついてはいましたが、全面的な駅の新築ともなれば、もうただ壊されるのを待っているだけのようで悲しくも感じます。我々の感覚と比較するとドイツ人はこういうものに非常にドライですから、さっさと「近代的」「現代的」な建物に置き換えてしまう事情は理解できなくはありませんが、やはり残念と言わざるをえません。世界中どこにでもあるような駅をベルリンにまた一つ作る...それだけのことにしかすぎず、おもしろくもなんともありませんね。
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Ostkreuz の風景には、不思議な魅力を感じます。スクラップとビルド、時代と時代、明るさと暗さの狭間で、いま暫くの間だけこの姿を見せているような…。
私のブログでも、Ostkreuz の記事をアップしました。ご覧いただければ幸いです。
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>la_vera_storiaさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
1986年のあの写真をご紹介いただけて、本当によかったです。そうでなければ、大した感慨もなく通り過ぎていたかもしれません。
>我々の感覚と比較するとドイツ人はこういうものに非常にドライ
>ですから、
なるほど。例えば、王宮の再建にはあれほど熱意を懸ける人がいる一方で、オスト・クロイツ駅の改修に対して反対運動があるという話は聞いたことがありません。
>もしOstkreuz駅は新しくなったとしても、赤レンガが少しだけでも
>どこかに残ってくれれば、
たとえ一部分でも、こういう残し方は私も大賛成です。
新橋駅とベルリンのSバーンの高架は、実は歴史的な接点があるのですよね。写真もたくさんあるので、近々ゆっくり書きたいテーマの一つです。
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>Daisakuさん
こんにちは。Daisakuさんのブログ、毎回1枚だけなのに、その写真にはすごく引き付けられます。これからも楽しみに拝見します。