つい先日、新聞に地下トンネルらしき写真が大きく掲載されました。厚さ50センチはありそうなコンクリートの壁をくり抜いた穴の向こうに、トンネルが奥へと続いています。天井を木の柱で補強するなど本格的な造り。一見して、素人が簡単に真似できるようなものではないことがわかります。
実はこれ、ベルリンのシュテーグリッツ地区で先月起きた銀行強盗に使われたトンネルなのです。犯人はフォルクス銀行の反対側の通りにある地下駐車場のスペースを偽名で借り、そこから45メートルもの長さを掘って、銀行の地下金庫室に到達したというのですから驚くほかありません。
犯行は1月14日の未明に実行され、早朝に付近住民が駐車場の煙に気付き、消防署に通報したことで事件が明るみになりました。犯人は痕跡を消すために火を放ったのですが、その時すでに(1600のうち309の)貸金庫を荒らして逃亡。被害額は明らかにされていません。
この駐車場は他の駐車スペースが見えにくい構造になっており、犯人は土木作業員を装っていたといいます。しかし、これほど大掛かりな採掘作業が数ヶ月に渡って行われていたにも関わらず、誰も気付かなかったというのは実に不思議。
ベルリンの地下トンネルというと、壁のあった時代、東から西への逃亡のために掘られたものが有名で、映画化もされています。そんなまさに「映画のような」今回の銀行強盗劇。トンネルの天井の柱を支えるために使われた木の補強材が、ドイツでは売られていないタイプのため、警察は犯人の来歴を含め調査を続けています。果たして犯人は捕まるのか。ベルリンの人々も驚くやら呆れるやらで、事件の行方を見守っています。
(はまかぜ新聞 2月8日)
あれから1ヶ月半が経ちますが、2月頭に「現場に残された犯人のDNAが有力な手がかりに」というニュースが報じられて以来、目立った動きは見られません。トンネル事件解決の「出口」が早く見えることを願いたいです。
関連記事:
隠しトンネル、銀行強奪 ベルリン 数カ月かけ掘り痕跡残さず逃走(SankeiBiz)
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わ〜!このニュース、友達が電話で教えてくれたんですがドラマの話だと思って「へ〜。凄いね」と軽く聞いたら、本当の話だよ、と言う。それでも私は「何言ってんの?昔の話??映画?」と・・・(笑)
新聞記事をメールしてくれてもイマイチピンと来ず『今の事件』だと分かるのにちょっと時間がかかりました。それ位信じられなかったんです〜。だって、こんな大胆な強盗事件が本当に起こるなんて冗談みたいな話です。オーシャンズ?!
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いや、驚きました。私の好きなドイツ製の装置とか測定機器は、緻密で正確な作りをしていますが、犯行に使われたトンネルまでもがそういう類のようだとは、絶句です。そのれにしてもなぜ国外の建材を使ったのか?ブラフの線も有り得そうですね。とにかく、犯人が捕まって事件の全貌が明らかになると良いです。
はまかぜweb版の情報ありがとうございます。田浦に住んでいたころはポストに入れてくる横須賀版を読めましたが、今届けられるのは横浜版、でもこれでまた横須賀版を読めます。
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s_helgaさん
私もこれだけ情報網、警備網が張り巡らされた現代において、こんな強盗事件がなし得ることがあるのかと驚きました。ベルリンの地下はやはり何か恐ろしいです。
ogurikさん
ご無沙汰しています。ドイツ製の機器類に並々ならぬ興味をお持ちのogurikさんにとっても、今回の事件は、驚愕されたことでしょう。捜索は困難のようですが、迷宮入りにならぬことを願うばかりです。
はまかぜの連載、2006年から始まって地味ながらも70回を越えました。短い記事ですが、これからもお読みいただけるとうれしいです。
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Masato様
無沙汰しております。この銀行トンネル強盗事件、このブログにて知ったのですが、驚きました。これに類似した「トンネル強盗犯罪」は、小説や映画などでは見聞した記憶はありますが、実例は初めてです。
その後、注意してはいるのですが事件解決の報は聞かず、未解決の儘みたいですね。解決までの暇潰し—-と云っては何ですが、著名な銀行強盗ドラマの完全版がネット上に転がっていましたので、勝手に御報せします。ご関心あれば、別便をご覧下さい。
著名な原作を実に巧妙に、そして念入りに脚色しており見応え十分。19世紀英国の社会風俗も、精確に復元されており、その方面でも参考になりそうです。お元気で。
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Yozakuraさん
ご無沙汰しています。久々のコメントをありがとうございました。この事件、あれから全く聞かなくなったので、捜査の大きな進展はない状況なのでしょう。教えていただいたドラマ、ぜひ拝見してみたいと思います。今回の事件もそのうち映画化されたりして・・・とはいえ、何より迷宮入りしないことを願うばかりです。
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増補改訂版、早速Amazonに注文いたしました。
恥ずかしながら、中村真人様がベルリンにつきこれほどネットにお書きでおられることをまったく知りませんでした。沢山の貴重な記事がありますので、じっくりと読ませていただきます。
お恥ずかしながら、私もEURO三郎というハンドル名で「私のビジネス版舞踏会の手帖」というブログ名で、テーマ「ベルリン」(10項目)と
テーマ「東欧革命20年」(21項目)でブログを公開させていただいております。
私事ですが、ドイツにはデュッセルドルフに60年代に6年(ただし内4年ほどはチェコとルーマニアを担当して長期出張ばかりでした)、80年代に4年現地法人社長として駐在していました。商社マンでした。
それだけにドイツについての思い入れは深く、by berlinHbfでのブログを見付けましたので、早速連絡をとらせていただいております。
ぜひとも今度ご厚誼の程をお願い申し上げます。
およそあなた様とはレベルが違いますが、私の「ベルリン」のブログも冷戦時、壁の崩壊時、変貌する統合後のベルリンを自らの足で何度も辿ったものですので、お目を通していただければ幸いです。
ハンドル名 EURO三郎 本名小野 宏
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EURO三郎さん
はじめまして、コメントをいただきありがとうございました。
ブログを拝見しましたが、あの時代を直に知る方こその情報と写真に目を奪われました。応急処置を施しただけのような1966年の大聖堂など、これまであまり目にしたことのない姿で驚きました。またゆっくりお邪魔したいと思います。コメントもまたお気軽にいただけると幸いです。