3月末から2週間、「ベルリンの街に東京の本屋がやって来た!」をコンセプトに、東京の独立系書店5店が選んだ日本のアートブックと文房具がクロイツベルク地区の書店で展示販売されました。
地下鉄U1のSchlesisches Tor駅から徒歩3分。大通りから中庭に抜けると、アートブックを中心に扱う書店「Motto Berlin」が構えています。今回のイベントを企画したのは、ベルリン在住の原田潤さん。東京の大学を卒業後、グラフィックデザインを学び、現在は本とデザインにまつわる活動をしている彼に、そもそもなぜ日本の本をベルリンに紹介しようと思ったのか聞いてみました。
「一昨年、フランクフルトの書籍見本市で日本の本が紹介されている様子を見たのですが、僕らが楽しんでいる東京の本屋の雰囲気とずいぶん違うなと感じたのです。自分がやってきたことを生かして、日本の面白いものをドイツの人々に媒介できないかと思いました」。
店内に並ぶ書籍は、日本語を解さなくても楽しめる写真集など、70タイトル以上のビジュアルブックやバイリンガル表記の本が中心。2014年の木村伊兵衛賞を受賞した写真家・森栄喜さんの最新刊や、2012年にカッセルの現代美術の国際展「ドクメンタ」に出展した大竹伸朗さんの作品集のほか、戦後間もない時代の九州の街角を収めた井上孝治さんの写真集『想い出の街』といった古書まで、独自の視点で選ばれた幅広い年代の本が並びます。中学生の頃から神保町の古書店に通っていたという原田さんは、「古書を混ぜることで、時間軸に奥行きが出てくるんです」と、本への愛情を込めて語ってくれます。「デジタル書籍が増える中で、本の身体性というものを考えていきたい」との想いから、装丁やパッケージがユニークな本も何冊か置かれていました。
書籍に加えて展示されていたのが、日本発の文房具。ライフやツバメノート、印刷加工連といった日本の高い職人技術を感じさせる美しい紙文具、使いやすい筆記具や机周りの小物など、こちらも思わず欲しくなってしまうものばかり。
今回のイベントは、フィンランドのヘルシンキに次いでベルリンが2都市目の開催で、原田さんは「日本の出版物やものづくりに対するヨーロッパの人々の関心の高さを感じています。今後もドイツやヨーロッパの他都市で紹介していけたら」と意欲を語ります。
「Motto Berlin」は、アートブックに興味のある方にはお勧めの書店です。ひょっとしたら入り口で、店主が飼っている黒猫の「Tinte」(=「インク」の意)が迎えてくれるかもしれません。
(ドイツニュースダイジェスト 4月18日)
MOTTO BERLIN
Skalitzer Str. 68, im Hinterhof
10997 Berlin
U1 Schlesisches Tor
Ph: +49 (0)30 48816407
Fax: +49 (0)30 75442120
Open Monday – Saturday: 12h-20h