2009年に刊行した拙著『素顔のベルリン』(ダイヤモンド・ビッグ社)は、2013年に増補改訂版『ベルリンガイドブック』と名を変え、幸いご好評をいただいてきました。この数年は在庫切れの状態が続いていたのですが、おかげさまでこの度、新装改訂版『ベルリンガイドブック 歩いて見つけるベルリンとポツダム 13エリア』として新たに出版させていただくことになりました。
かれこれ5年半ぶりの大規模な改訂となります。その間ベルリンも世界を取り巻く状況も、劇的に変わったものだと改めて思います。ベルリン関連の本では、久保田由希さんの『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)、松永明子さんの『ヨーロッパ最大の自由都市 ベルリンへ』(旅のヒントBOOK)などが登場し、少しずつラインナップが充実してきた感があります。そのような中で、私の『ベルリンガイドブック』はエリアに沿ってこの街の多彩な魅力を伝えるという原点に立ち返って、内容をすべて見直し、最新情報に更新。また、昨年すべてのエリアを歩き直して、写真の大部分を差し替えました。特に初版から読んでくださっている方にとっては、この10年間でこの街が経てきたダイナミックな変化を感じ取っていただけるのではないかと思います。
また、大きな新機軸として、郊外のポツダムについての章を加えました。非常に美しく、歴史的にも興味深い街なのですが、これまではベルリンの付け足し程度で紹介されることが多かったように思います。詳細なガイドに加えて、「フリードリヒ大王とサンスーシ」「ポツダム会談」「ポツダムのロシア村」というコラムを執筆しました。プロイセンという歴史の共通項を通してベルリンとポツダムを見ると、一層の興味が湧いてくること請け合いです。
先日一時帰国した際、どこの書店に入っても深緑野分さんの小説『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)が目立つ場所に置かれていました。2019年の直木賞候補、さらに本屋大賞にもノミネートされている作品です。昨年、深緑さんのベルリンの現地取材をお手伝いさせていただく機会があったのですが、この小説と合わせて拙著をめくっていただくと、「街の背景や位置関係がよくわかって一層面白い」と一部関係者の間で盛り上がっています(笑)。旅行ガイドとしてのみならず、読み物や副読本としても楽しんでいただけたら・・・と思います。
『素顔のベルリン』の出版からちょうど10年、ベルリンの壁崩壊から30年となる年に、本書をまた新しい形で出せることをとても嬉しく思っています。お手に取っていただけると幸いです。