しばらく中断していましたが、私がベルリンに来て最初に住んだアパートのお話の続きをしたいと思います(まだお読みになっていない方はこちらをご参照ください)。
それまでヨーロッパに旅行で来たことは何度かあったし、ボン大学のサマーコースに参加して、かつての西ドイツの首都に数週間滞在したこともある。だが、自分がヨーロッパに住んでいるということを本当に実感するようになったのは、2000年10月半ば、この家での生活が始まってからだった。
日本と違うなとまず感じたのが生活のテンポ感。ベルリンという大都市のほぼど真ん中にあるのに、このアパートの中では時間の流れが常にゆったりしているように感じられた。それはこのアパートが中庭に位置していることとも関係があるだろう。運河沿いのシェーネベルク岸通りは車の往来が比較的激しいが、この家の中庭へ続くトンネルを抜けると、車の音はぴたっと止み、代わりに小鳥の鳴き声や木々のそよぎが耳に入ってくる。さらにそのまま歩いて行くと、やがて美しいアパートが目の前に姿を現す。私はこの瞬間がとても好きだった。玄関から家の中に入ると、前回お話した巨大な居間を通って、自分の部屋にたどり着く。
こちらの人は照明にとても気を配り、夜でも決して明るくし過ぎることはしない。この家の中もそうで、明るい照明に慣れた日本人の目には最初は薄暗いと感じられた。だが、100年前もおそらくこうだったのではないかと思わせるようなあたたかい雰囲気がアパートの中を支配していた。それは何とも言えず居心地のいいものだった。午前中は語学学校に通っていたので、朝は早かったが、ゆっくり寝ていられる週末は、遠くからどことなく聞こえてくる教会の鐘の響きで目が覚めることもあった。そういう世界はそれまで、文学や映画の中でしか触れたことがなかった。
夜は近くのフィルハーモニーによく音楽を聴きに行ったし、その手前にある新ナショナルギャラリーも好きだった、ベルリン・フィルなど、日本では高嶺の花で、たまに来日しても生で聴く機会など一度もなかったが、こちらでは最高レベルのものが信じられないくらい安い値段で気楽に聴くことができる。東京に何かを聴きに行く時は、家が遠いのでいつも終電の時間を気にしなくてはなからなかったが、いまやどんなに終わるのが遅くても、歩いて5分で家まで帰ることができるのだ。全く信じられない!
そのわずか半年前まで、自宅と東京の大学との間を毎日片道2時間かけて通う生活をしていた私には、「突如」このような異世界の環境の中で日々の生活を送っているということが、何かとても不思議なことに感じられた。そして、このアパートの空間が醸し出す「豊かさ」に思いが至り、この豊かさを生み出した「過去」について、もっと知りたいと思うようになった。
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あなたが超羨ましい。私も外国生活は経験ありますが、やはりヨーロッパは一味違いますよね。
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はじめまして。お邪魔致します~。hummelさんのブログ”ドイツ音楽紀行”のリンク先からたどり着きました。同じくドイツで生活しているものです。ベルリンは私の大好きな町で、友達もいるのでたまに出向いてます。
それにしても、マサトさんの日記みて羨ましい限りです。フィルハーモニーから5分のところにすんでいらっしゃるなんて・・・ほんとに夢です・・・家探しはどうやってはじめられたのですか?キッチン・バスは共同のようですが、それにしても、その環境からすると、相当安い家賃ですよね。ベルリンは相対的に家賃が安いみたいですが・・・。Lexikonを訳すのはとてもいい勉強になりそうですね。私もものすごい低レベルながら、ドイツ人の友達にも公開しているため、ドイツ語で日記を書く練習をしています・・・。お恥ずかしいのですが、また時間がある時にいらして間違いでも直してやってください・・・(゜゜;)
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>masagata2004さん
ヨーロッパにいると、歴史の重みというものに気付かされることが多いのは確かです。
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>Nanaさん
はじめまして!フンメルさんのブログから来てくれたとのことでうれしいです。フライブルクにお住まいなのですね。私は行ったことはありませんが、かわいらしい町だそうですね。Nanaさんのブログも拝見しました。ドイツ語で日記を書くなんて、すごい!私のLexikonもそうですが、こういうのは1回の量が少なくても続けることがまず大事だと思います。お互いがんばりましょう!
ここに書いてある家は、残念ながら今はもう住んでいないのです。なので日記というよりも思い出話ですね。今思い出しても本当に夢のような住まいでした。このアパートを見つけた経緯は、前の回に書いてあるので、これもよかったら読んでください。続きはこれから書くつもりです。
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そちらの時間の流れは、日本とは、違いますよね。
写真から見るととても広い部屋みたいですね。
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ベルリンに住んでいると、時間の流れ方は100年前とあまり変わっていないのではないか、と感じることがあるのです。言葉で説明するのは難しいのですが、住んでいるうちにわかってきます。