1978年9月、西ベルリンにて(1)

今年の2月初頭、クーダムから一歩入ったカフェで、ミュンヘンからやって来たあるお客さんに会う機会がありました(仮にKさんとさせていただきます)。Kさんは、その昔早稲田大学のオーケストラでヴァイオリンを弾いていたという、私の大先輩にあたる方。現在は日本の精密機器メーカーに勤務されています。それまで面識はありませんでしたが、昨年ミュンヘンに赴任するに際し、別の方を通して私の存在を知り、直接コンタクトを取ってきてくださったというわけです。
Kさんがオーケストラのメンバーの一員としてベルリンにやって来たのは、1978年の9月。カラヤン財団が主催する国際青少年オーケストラ大会に出場するためでした。結果的に、早稲田大学交響楽団はこのコンクールで優勝することになったのですが、Kさんのベルリン訪問はそれ以来とのことで、コーヒーを飲みながら大変感慨深そうにされていました。
「動物園駅で降りて、駅前の広場を見た瞬間に32年前の記憶がよみがえりました。コンクール優勝が決まった日の夜、そこで『都の西北』をみんなで歌ったんです」。
当時のお話をいろいろと伺った後、長い間実家に眠っていたという写真を見せてくれました。「ここはどこだろう?」と思わせる写真も中にはあり、私が興味を示したところ、「よかったらお貸ししますので、好きなだけ持って帰ってください。使い道はお任せしますから」とおっしゃってくださいました。ご好意に甘えて、ここでアップさせていただくことにしました。
(1枚目は、「カラヤンコンクール」のポスター。2枚目は、78年のベルリン芸術週間のポスター)
当時は西ベルリンの果てに位置したフィルハーモニー。現在のKemperplatz付近から撮った写真と思われます。
そこからほど近い、ポツダム広場の見晴し台から撮ったと思われる写真。80年代の写真を見ると、この付近の壁は一面グラフィティで満たされていますが、78年の時点では、まだごくわずかな(政治的な)落書きしかなかったことがわかります。正面やや右の建物には、Staatsverlag der DDR(DDR国立出版)の文字が見えます。右手の小高い丘の存在も気になるところです。
西側から見たブランデンブルク門。これも見晴し台からの1枚でしょうか。せっかくの機会なので、Kさんからお借りした写真をあと何枚か、ここにアップさせていただこうと思います。
(つづく)



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