ベルリンの中心部ミッテ、ウンター・デン・リンデンとフリードリヒ・シュトラーセが交差するこの場所といえば、ベルリンで最も名高い交差点のひとつに数えられるだろう。ここの一角にある、戦後のベルリンの歴史と共に歩んで来た建物が姿を消すことになった。
「ホテル・ウンター・デン・リンデン」。町の中心部の目に付きやすい場所ゆえ、観光でベルリンを訪れて、この姿に見覚えがあるという方も少なくないだろう。1966年に完成した、ご覧のように東ドイツ時代の典型的なスタイルの建物である。美しい建築というにはためらわれるし、このブログで何度も取り上げている共和国宮殿(Palast der Republik)のように歴史的に大きな意義があるわけでもない。だが、見慣れたベルリンの風景がまたひとつなくなるのかと思うと、ちょっと寂しい気分にもなる。
このホテルを取り壊す話は前からあったようだが、6月のW杯の開幕に間に合うよう急遽取り壊されることに先日決まったのである。このホテルの敷地とホテル前の広場を合わせて、W杯の期間中はサポーター用のイベントの場として使う方針なのだという。
W杯が終わると、種々のオフィス、お店、250ものアパートが合わさった複合ビルを2008年末までに建てる予定らしい。新しい建物が立つのはともかく、この広場までなくなってしまうのは寂しい。この写真を撮った2月4日には、まだこのように木が立っていたのだが・・
先日再びこの前を通ったら、いつの間にか木が根こそぎ切り倒されていた。「ホテル・ウンター・デン・リンデン」は2月末をもって営業終了、建物の解体は3月1日から始まるというから動きが早い。
正面の白い建物は、いつかこのブログでも取り上げたことのある
“Dussmann”(こちらを参照)。この道を真っ直ぐ行くと、フリードリヒ・シュトラーセの駅にぶつかる。駅周辺はこの5年間で次々と新しいビルが建った。次にここに建てられるという建物のイメージ図をこの前新聞で見たが、今のベルリンに乱立している建築群と大して変わりばえのしないものだった(ベルリン中央駅を設計した事務所らしいが)。10年後のベルリンはどうなっているのだろう。新しい建物がどんどん建っていくのは結構なことだが、似たり寄ったりの外観の建物と、売っているものはどこも同じのショッピングモールばかりが並ぶ、ということにはならないでほしいと思う。
この姿も間もなく見納めとなる。最後に泊まっておきたいという方はお早めにどうぞ。
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先日共和国宮殿の取り壊しが始まったばかりなのに、今度はこのホテルが消えてしまうんですね。驚きました。昨年ここに二泊したのですが、フロントの人がフレンドリーで、レトロなタイプの鍵などと共に好印象でした。暇なときなんかすぐにDussmannに行けて便利でしたし。くたびれた感じのこのホテルの絵葉書を自分の部屋に飾っていて、またいつかいけたら泊まろうと思っていたので残念です・・・ カール・マルクス・アレーの建築群と違って築40年でPlattenbau(?)はだいぶ老朽化が進んでるのでしょうね。マグデブルクでは目抜き通りのPlattenbauの廃墟が夜はすごく怖かったですし。
しかし立て続けに中心部で取り壊しが行なわれるなんて。オスタルギーは古いのかもしれませんが、そのうちに東独建築博物館なんてできるかもしれませんね。その後があればまた楽しみにしてます。
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あああ、ホントに淋しいことですね・・・。 いつもウンターデンリンデンに行くときはフリードリッヒシュトラーセで降りて、ここまで来て右折します。
小説に出てきたり、お客さんを泊まらせたり、いろいろ思い入れのある東のホテル・・・ 残念です。
今日ちょうどベルリンのホテル探しをしてたところでした。
ブログに初めてコメントしました。
またどうぞよろしくお願いしますね。
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ここも取り壊されるんですか。何年か前に数泊した時には、「思いっきり名前負けしてるし…」と思ったものの、抜群のロケーションとそれなりの安さには満足でした。
華やかな周辺の雰囲気の中では浮いた存在ではありましたが、無くなるかと思うとやはり寂しいですね。
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中央駅さん、このホテルの建っている場所は戦前は、あの有名なCafe Kranzlerが建っていたのではなかったでしたっけ。
http://www.meinesammlung.com/php/details/24572/Ansichtskarten-Deutschland
もっとも、戦後しばらくしてこのカフェはクーダムに新しい店をオープンしたのですが、まさか再びこの場所のKranzlerが戻ってくるなんてことがあるかもしれませんが。今ではあのクーダムもこんな感じですね。
http://www.zanzig.com/travel/berlinpx/dcp0142.htm
さて、このホテルが廃業する日あたりに私はちょうど出張でベルリンにいそうです。もしいたら、是非このホテルの最後の客になってやろうかな、などと考えていますが(笑)。東西分断時代のこのホテルのこと、以下の11月27日の投稿でも触れておきました。
http://8821.teacup.com/via_regia/bbs?OF=100&BD=8&CH=5
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>ジュリオさん
ここに泊まられたことがあるとのことでしたので、ジュリオさんのコメントお待ちしておりました。そうなんです、なくなってしまうんです。先日急遽取り壊しが決まっても、共和国宮殿のように反対デモが起こるわけでもなく、本当にひっそり最後の時を迎えようととしています。私も1回ぐらい泊まればよかったな、なんて思ったりもして・・いや、今ならその気になればまだ間に合うのですが。
>イスクラさん
初コメントありがとうございます!
「東」に強い思いを寄せられるイスクラさんでしたら、寂しい気持ちもひとしおかもしれませんね。私も取り壊しはまだ先だと思っていたのですが、W杯の力というのはさすがに大きいですね。
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1980年代の半ばに、このホテルに泊まったことがあります。もちろん当時は、DDRの時代。日本人自体珍しく、エレベーターに乗っていると、「ベトナム人か?」と尋ねられたりしました。朝早くおきて、まだ静まり返ったUnter den Lindenを通って、ブランデンブルク門を見に行ったのが、懐かしい思い出です。
このホテルがなくなると聞いて、時代の移り変わりを感じ、感慨深くなりました。
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berlinHbfさんコメントを待っていたなんて言っていただいてどうもありがとうございます。Weltzeituhr さんをはじめとしてDDR時代に泊まられたそうですが、自分も東ドイツ時代に泊まりたかったですねえ。このホテルとヴァルトブルクやトラバントの組み合わせなんかを見たかったです。ドイツ統一時5歳ではどうしようもないですが。グッバイ・レーニンで東ドイツ時代のテレビ番組なんかに興味がわいてきたので1966年当時のホテルの完成を伝えるニュースなんかみたいですね。オープン・セレモニーにウルブリヒトなんか来たのでしょうね。先日たまたま名古屋大学の図書館に行ったら東ドイツの党機関紙ノイエス・ドイチュラントがあり共和国宮殿オープン時のものを読んでいましたが、今度はこのホテルの記事がないかみてみます。もっともドイツ語は自己紹介がようやくといったレベルで写真や当時の雰囲気を楽しむばかりですが・・・。
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ひえ。今週、Dussmannに行ったのに夜だったんで、
このホテル前の木が切り倒されていたのにも気付きませんでした。
あらまぁ・・・。
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>フンメルさん
フンメルさんもここに泊まられたことがあるんですか。確かにここは絶好のロケーションの割りに、3つ星ということで今でも結構人気があるようです。ただ、ベルリンは最近高級ホテルがたくさんできたので、ここは本当に寂れてしまいました。
>la_vera_storiaさん
Cafe Kranzlerは戦前はここにあったのですか。私は最初からクーダムだと思っていました。
それにしてもいいタイミングでベルリンにいらっしゃいますね。私はla_vera_storiaさんこそ、あのホテルの最後のお客さんにふさわしいのではと思っていました(笑)。もしお泊りになったら、ぜひご感想を聞かせてください。よいご出張になりますよう。
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>Weltzeituhrさん
お立ち寄りいただきありがとうございます。80年代にここに泊まられたとは、今となってはうらやましい体験です。当時の朝のウンター・デン・リンデンは今よりもずっと静かだったのでしょうね。
>ジュリオさん
>ドイツ統一時5歳では
ジュリオさんお若い!DDR時代にお詳しいので、もうちょっと年配の方かと思っていました。DDRに興味を持つようになったのは、「グッバイレーニン」の影響でしょうか。また何か発見があったら教えてくださいね!
>akberlinさん
本当にあらまぁですよね。ホテルも気付かないうちになくなっていたりして・・
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なんとまぁ。怖いもの見たさで一度泊まってみたかったのですが・・・。
以前にベルリンに滞在したときは両親も連れていたので、さすがにこのフリードリヒStr.を南下したホテル・グランドにしたのです。
ウワサではここでは盗聴器まで仕掛けてあったという話しなので、そういう楽しみもあってぜひ再訪!とおもっていたのに残念です。
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楕円球さん、怖いもの見たさというのは、私もあるかもしれません(笑)。最後壊す前に、一般向けに内部を公開をくれないものかと密かに期待しているのですが・・そうしたらまたすごい行列ができるのかもしれないですね。
>ウワサではここでは盗聴器まで仕掛けてあったという話しなので
昔なら、あるいはそういうこともあったのかもしれません。
うーん、私もやはり一度泊まってみたかったです。
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うわー、これもなくなってしまうんですね…
知ってたら、冬休みに一泊くらいするんでした…
こういう建物と、新しい建物が混ざり合ってミスマッチな感じが、いかにも今のベルリン!という気がして、面白いなと思っていたんですけど、DDR時代の建築物だったんですね。
取り壊しということに対してある種の寂寥感を感じるのは、自分達が日本人だからかもしれませんね。現地のかたたちの反応はどんな感じですか?
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>ヴァランシエンヌさん
コメントありがとうございます!
>取り壊しということに対してある種の寂寥感を感じるのは、自分達が日>本人だからかもしれませんね。
それはあるかもしれません。共和国宮殿に比べると、このホテルの取り壊しは、話題の大きさで言うと今のところ微々たるものです。このニュースを新聞で知った私は、早速写真を撮りに行ったのですが、そんなことをしているのは日本人の私だけでした(爆)。
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今を去ることちょうど20年前、西から壁をくぐって国立歌劇場へ行った帰りにこのホテルのカフェに寄りました。ここは、東で仕事をする西の人が、稼いだ東マルクで泊まることができるホテルだったようです。それにしても、フリードリヒ通りの両側、かつて何があったかもう思い出せません…
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>焼きそいうせいじさん
実は昨日、最後の記念にと、あのホテルの下のレストランでお昼を食べてきました。内部も客層も東を感じさせ、ビールもRostockerが置いてあったりと、居心地のいい空間でした。この様子は近々お届けしたいと思っています。どうぞお楽しみに。
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先日はどうもでした。お陰でラストランチ楽しめました◎
記事内で、リンクもさせていただきました。
マサトさんの方の写真満載レポートも楽しみにしていますね。
客室といい、料理といい、オスタルギー感じる独特なものがありましたね。色々と考えさせられました。
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>フンメルさん
先日はこちらこそ楽しかったです。初めて飲んだ東のビールがRostockerだったのですが、まさか6年ぶりにHotel Unter den Lindenで再会するとは^^;)。先ほどあの前を通ったら、広場の前は完全に封鎖されていました。明日から本格的に工事が始まるのでしょうね。
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私は99年に宿泊しましたがダブル1万円でグレードアップしてもらった部屋はとても素晴らしいものでした。まさか壊されるなんて…
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>shinesuniさん
はじめまして。ずいぶんいろいろな国を旅行されているようですね!
このホテルは、いまやほぼ完全になくなりました。3ヶ月前に撮ったホテルの写真を久々に見てみましたが、なんだか幻のように見えます。