先月半ば、ホテル・ウンター・デン・リンデン取り壊しの記事を書いたら(以前の記事はこちら)、意外と多くの方からのコメントが寄せられた。DDR(東ドイツ)時代に泊まったことがあるという方、やはりあの時代、オペラを観た帰りにこのホテルのカフェに寄られたという方、最後にもう一度泊まっておきたかったという方などなど。
自分も一度ぐらいあのホテルの中に入っておけばよかったかな、という思いが少しづつ強まっていく中で、2月24日のBerliner Zeitung紙の記事が私を後押しした。DDR時代を生き、ホテル・ウンター・デン・リンデンの取り壊しを惜しむ人たちが、ホテルのレストランで最後のランチをするために訪れているという内容だった(「ドイツ音楽紀行」のフンメルさんがこの記事を訳されているので、ぜひご覧ください)。
そんな中、ハンブルクのフンメルさんとそのお友達がベルリンにいらっしゃるというので、「このホテルのレストランでお昼を食べませんか」と提案してみた。フンメルさんには、1月の「音楽家通りツアー」に続き、今回も私の趣味が濃厚なイベントにお付き合いいただき、感謝している。
2月最後の土曜日、DDRムード漂うこのホテルのロビーでフンメルさんと待ち合わせる。その奥がレストランになっているのだが、せっかくの機会なので、ホテルの中も少しのぞいてみることにした。
1975年製のエレベーターに乗って3F(日本でいう4F)に上がり、窓から外に顔を出してみると、改めてこのホテルのロケーションのすばらしさを実感する。こちらはウンター・デン・リンデンの西側。向かいのホテルは”The Westin Grand Hotel”、その2つ向こうの建物がコミッシェ・オーパー、旗がはためいているのはロシア大使館、水色の屋根はホテル・アドロン、さらにその向こうのブランデンブルク門まで、一望のもとに見渡すことができる。
こちらは東方面。向かいの建物はDeutsche Guggehheim美術館。その奥のやはり水色の屋根はベルリン州立歌劇場。一番奥に取り壊し中の共和国宮殿がちょっぴり見える。その後ろの2つの尖塔はベルリンで一番古い教会である、ニコライ教会だろう。この眺めも、2008年に新しいビルがここに立つまでは見ることができない。
客室の廊下は思っていたよりも天井が低い。いくつかの部屋においては取り壊しが始まっているようで、ドアが開いていたので、勝手に中に入ってみた。「う、狭い・・」 これが単純にして、唯一の感想だった。
「ホテル・ウンター・デン・リンデン」。すばらしい響きであり、すばらしいロケーションなのだが、いまや完全に時代遅れ、との感は否めなかった。
さて、次回はホテルに隣接したレストラン”Tilia”で最後のランチをします。
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開発が進むとベルリンも日本の様にドンドン変わるんでしょうか??
良い部分は残してもらいたいような気がしますが・・・。
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あの土曜は、文字通り、「最後のランチ」でしたよね。
まさにオスタルギーなひと時でした。
あの場にいたコテコテDDR風老人たちは、どのような思い出を胸に秘めて食事をしていたのかなと思ってしまいます。
貴重な体験ができたのもマサトさんのお陰。DANKEです!
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>lignpontoさん
>良い部分は残してもらいたいような気がしますが・・・
日本のような変化の仕方はないと思いますが、この辺のバランスは難しいところですよね。都市の未来を考えた上で、最良の選択をしてほしいものです。
>フンメルさん
>あの場にいたコテコテDDR風老人たちは
揃いも揃って老人ばかりでしたよね(あのオタク風の青年以外は)。ちょっと独特の時が流れる空間という感じでした。続きは後ほどアップします。
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>あのオタク風の青年以外は
あっ!そういえば、一人いましたね。
我々以外で唯一場違いな青年でした(笑)。
一眼レフカメラで、ばっちり隠し撮り(?)してましたよね。
どこかのドイツ語ブログで彼の写真も掲載されているのでしょうね。
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>フンメルさん
自分たちのことはまあさておき(笑)、彼はかなり怪しかったですよね。ドイツにもこういう人いるんだって思いました。