U Bahnhof Friedrichstraßeにて(3月14日)
ベルリン・ミッテにあるフリードリヒ・シュトラーセ(フリードリヒ通り)。古くからの交通の要衝であり、壁によって分断されていた時代は、この駅に東西の検問所があった。当時はひどく寂れていたらしい。私がベルリンに来た2000年でさえまだ空き地だらけだったのだが、この数年間で新しい建物がすごい勢いで建っていった。人間の記憶などいい加減なものだと思う。5年前にどこがどうだったかと思い出そうとしても、もはやほとんど思い出すことができないのだ。あの当時、写真を撮っておけばよかったと悔やまれる。
とにかく、ベルリンの新しい中心の一つになったフリードリヒ・シュトラーセ。しかし、ここからSバーンで北に2駅ほど行ったところに、いまだこのような光景が広がっていることはあまり知られていないのではないだろうか。
SバーンのNordbahhof(直訳すると「北駅」)。地下のホームを上がって、地上に出ると巨大な空き地が広がっている。
フリードリヒ・シュトラーセのモダンな建築群と賑やかさとはあまりに対照的だ。なにかここだけ時の流れが止まっているかの印象さえ受ける。私が初めてここを訪れた時、「一体何なんだここは・・」と思った。
実は戦前までこの敷地一帯は、Stettiner Bahnhof(シチェチン駅)という駅だった。シチェチンとはバルト海に程近い北の町。ここからシチェチン行きの列車が出ることからこの名前が付いたのだった。しかし、第2次世界大戦で駅の建物が大きく破壊された上、戦後ドイツとポーランドの国境はオーデル・ナイセ川の線上に定められると、つまり、シチェチンがポーランド領となったことで、「シチェチン駅」としての意義は失ってしまうのだった。
この風格さえ漂う廃墟の建物は、北のパンクー方面に向かう、現在のSバーンに相当する郊外電車の駅舎だった。1936年、この下に地下のトンネル駅が出来たことによってこの駅は役目を終えたのだが、つまりそれ以来70年間(!)、廃墟のままここに立っていることになる。
それにしても、なぜここだけ時が止まったかのような空間が残っているのだろうか。続きはまた次回に。
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貴重な情報有り難うございます.まだまだベルリンは変われるところがいっぱいあります.興味深いです.
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風格漂う廃墟の写真、貴重な発見
またまた掘り出し物ですね、これは。鉄道愛好ヲタクの鑑・中央駅氏の面目躍如たる一葉、拝見しました。
ご指摘の通り、ただの鉄道駅にしては、風格があると申しますか貫禄があり過ぎるのです。設計や施工も立派なのでしょうが、その所為だけとも思えません。ひょっとして、交通サービスの提供以外の目的にも利用された経緯があるのでしょうか?
実は、某ピアニストの著述になる最新録音CDを聴いていたところ、そのピアニストが若き日々、生活に窮乏し、ベルリン市内のBahnhofmission(キリスト教会が鉄道駅に設置した旅行者救護所)に宿泊した赤裸々な体験を率直に告白していたのでした。
これは全く勝手な感慨ですが、先に掲示された廃墟の駅画像から漂い溢れ出す「過去の利用状況や生活の臭い」と、CD録音された彼女の語り口との間に何かしら、通じ合う翳りや気配があるのです。
廃墟の謎解き、期待しております。お元気で。Yozakura 敬白
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マサトさん、こんにちは。
Nordbanhof、懐かしく拝見しました。
昨年この駅を利用してこの周辺を歩き回りました。
工事中なところも多く、また非常に閑散としてて
私もちょっと違和感を憶えたのを思い出しました。
しかし、上記の駅舎には全然気がつきませんでした。
この駅に行った目的の一つに
東西を分けていた時代の見張り小屋(?)のオブジェと
かしているものがあると誰かのHPで読んだので
行ってみたのですが、全然見当たらず時間がたち
撤去されたのかなと思いながら諦めました。
しかし、この周辺にあった集合住宅はシンプルにして
どこかブルジョアな趣もあって、改装されたのかなと思いながら
一体どんな人が住んでいるんだろうと思いました。
ここもあっとう間に変わってしまうんでしょうね。
次回のマサトさんのレポート、楽しみにしています!!
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>Kamanoさん
先日半年ぶりにこの場所を訪れたら、ここさえも工事の波が押し寄せていました。次回はそのことにも触れます。
>Yozakuraさん
>ベルリン市内のBahnhofmission
駅がこういう用途で使われていたことがあったのですか。この駅は戦前からすでに廃墟だったので、そのピアニストの若かりし頃と時代がかぶることはおそらくないのではと思いますが、話としてはとても興味深いですね。
この続きは謎解きというほどの話ではないですが、またお読みいただけたらと思います。
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>しゅりさん
ベルリン観光でこんなところにも来られていたとは、やはり相当な「通」ですね(笑)。
>東西を分けていた時代の見張り小屋
そういうものがまだどこかにあるのかもしれません。この敷地内に残っている「壁」はご覧になりましたか?あまり人目に付かない場所にあるのですが。
>次回のマサトさんのレポート、楽しみにしています!!
ありがとうございます。でも、あまり期待をなさらずに、続きをお待ちくださいね!
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駅の廃墟と後ろにそびえるDBマークのビルがあまりに対照的で合成の写真みたいですね。空爆を生き残ったこの駅もポーランド方面に通じてたとなると第二次大戦末期は避難民が押し寄せたのでしょうか。最後のくすんだ東ドイツ製のワゴン車、(バルカスだったかな)の写真いいですね。この車のとぼけた顔が好きです。
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>この敷地内に残っている「壁」はご覧になりましたか?
勘違いかもしれませんが、Nordbanhofに並行してある
(Garten Str.に沿った壁)・・かな??
どこなのか教えてくださいませ。
さて、先日「るるぶ」のベルリンのページの地図を見ていたら
前にマサトさんが紹介されていたポツダマープラッツ近くの見張り小屋の
場所が出てて驚きました。
マサトさんのブログ、ついつい期待してしまいますよ~。
本になったらいいのになと思っています。
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>ジュリオさん
>駅の廃墟と後ろにそびえるDBマークのビルがあまりに対照的で合成
>の写真みたい
なかなかシュールな風景ですよね。そう言われてみると、確かに合成写真のようにも見えます。このDBのビルはここ数年で建てられたものです。
>第二次大戦末期は避難民が押し寄せたのでしょうか
これについては私はわかりませんが、調べてみたら面白そうですね。
>東ドイツ製のワゴン車、(バルカスだったかな)
ほう。そういう名前だったのですか。この風景に妙にマッチしていたので、写真を撮らずにはいられませんでした。
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>しゅりさん
>(Garten Str.に沿った壁)・・かな??
まさにその通りです!ここには結構長い距離が残っていますね。続きはもうしばらくお待ちください。
>「るるぶ」のベルリンのページの地図を見ていたら
「るるぶ」にそういうことが紹介されていたというのは驚きですねえ。最近の号ですか?
>マサトさんのブログ、ついつい期待してしまいますよ~。
>本になったらいいのになと思っています。
そんなこと言っていただけると、うれしいし、続け甲斐があります。
ベルリンの本を書くというのは、私も実は夢の一つとして抱いています。まだまだですが、これから内容をもっと発展させるべくがんばります!
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「るるぶ」ですが最新号です。
ベルリンの地図のポツダマープラッツ周辺を
目を凝らしてみると小さく記述があります。
こういうのを発見すると嬉しくなります。
こういうちょっとした観光ガイド(ちょっとマニアな)が増えると
いいのですが・・・。
マサトさん著のベルリンガイドがあれば重宝するのに。
マサトさんの夢がかなうといいですね。
その夢、応援しています!
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>しゅりさん
情報ありがとうございました!
>こういうちょっとした観光ガイド(ちょっとマニアな)が増えると
>いいのですが・・
そうですね。ベルリンはパリやロンドンに比べると注目されることは少ないですが、その分発掘のしがいもあると思うのです。そういう知られざる場所やその歴史を掘り当てていくのは、やはり大きな楽しみです。
応援どうもありがとうございます。
これからもよろしくお願いしますね!