最近コンサート等の感想を書くのをすっかりさぼってしまい、事実3月はほとんど足を運ぶことができなかったのですが、一言だけでも触れておきたいコンサートがあります。フランス人のジョルジュ・プレートルがベルリン・ドイツ響に客演した公演です。
私がプレートルという指揮者の存在を知ったのは、忘れもしない92年の夏にNHKで放映されたベルリン・フィルの野外コンサートでした。初めて映像で見るヴァルトビューネでの雰囲気に圧倒され、ベルリン・フィルの奏でるフランス音楽と舞台と一体となったお客さんを前に私はひたすら夢心地でした。その時指揮したのがプレートルで、表情豊かに全身で音楽を表現するマエストロのファンになったのでした。
あれから15年が経ち、プレートル自身も83歳の長老になりました。期待と共に若干の不安も抱きながらフィルハーモニーに行ったのですが、全くの杞憂。いやはや、プレートルのエネルギッシュな指揮ぶりは健在でした!この夜は休憩後のドビュッシーとラベルが圧巻。このお歳なのに、テンポがだれることなく響きに堕することもなく、心地よい推進力を保ちながら音楽は立体的に構築されていきます。下半身が安定した指揮にはブレが感じられません。「ダフニスとクロエ」の第2組曲の「夜明け」はまさに匂い立つよう。最後の「全員の踊り」では合唱も加わって、圧倒的なクライマックスが築かれました。強いていうならベルリン・ドイツ響の響きにもう少し色があればなあという思いもありましたが、いつもながらの手堅い適応力を見せていました。
プレートルの元気な姿が見れて心からうれしくなったのと同時に、来年のウィーン・フィルとのニューイヤーコンサートが非常に楽しみになってきました。
Sonntag 4. März 2007 20 Uhr
Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
Georges Prêtre Dirigent
Olesya Golovneva Sopran
Klemens Sander Bariton
Rundfunkchor Berlin
Michael Gläser Einstudierung
Gabriel Fauré
Requiem
Claude Debussy
Trois Nocturnes
Maurice Ravel
Daphnis et Chloé, Suite Nr. 2
プレートル/フレンチ・ナイト/GNBC-4012
¥3,360
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