昨夜はベルリン州立バレエ団(Staatsballett Berlin)の今シーズン最後のプレミエ、”Shut up and dance! Updated”を観た。バレエというと、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」を連想する人がいきなりこの舞台を見たらびっくりするだろう。というのもこの作品、5つの作品から成る連作なのだが、振り付けはシュターツ・バレエの若きソリストたち、音楽は国際的に有名なDJが書き下ろしたという電子音楽で、会場はいつものシュターツ・オーパーではなく、東の有名なクラブBerghainというのだから実験的要素がとても強い。
Berghainというクラブは、実はまだ行ったことがなかった。オスト(東)駅で降りて、小雨の振る中かつての東駅の広大な敷地をさまようところからこの未知の空間との出会いは始まる。工場やらコンテナやらが並ぶ敷地内を半分迷いながら抜けていくとやがて見えてきたのが半分廃墟のようなこのBerghainで、プレミエということもあり、会場内は特別な高揚感に満ちていた。
(c) E. Nawrath
ほぼ切れ目なく演じられる5つの作品は、神秘的なもの、怪しげな雰囲気のもの、ユーモラスに満ちたもの、それぞれ異なるカラーを持ち観る者を全く飽きさせない。作品によってはショーのようでいながら、それでいて高い芸術性が保たれているのはさすが。デジタルな音楽に載せて、中村祥子さん(着物のようなあでやかな赤い衣装)とかNadja Saidakovaといった、極めて高度な技術を持つこのバレエ団のソリスト級の人たちが次々に出てくるのは圧巻だった。クラシックなバレエと電子音楽と独創的な振り付けが組み合わさり、さらに独特のオーラを持つクラブBerghainで出会う。これはもうベルリンという空間でこそ生まれ得た作品、といえるかもしれない。
実は昨日はコンツェルトハウスでランランとバレンボイムのコンサートを聴くはずだった。チケットが買えなくて帰ろうかと思っていたら、そこで偶然出会ったバレリーナの友達がこの公演のことを教えてくれ、急遽観に行くことになったのだった。彼女によると、残り5回の公演はすでに完売状態なのだとか。思いもよらず新しい芸術創造の場に立ち会えて、昨日は本当にラッキーだった。
← 驚きの再会
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この記事とは全く関係のないコメントで申し訳ございません。ドイツニュースダイジェストの中で、中村さんのベルリンの壁の道の記事を読みました。ご指示通りにベルリン市ホームページでチェックしたのですが、その道のりのマップが見当たりません。もしリンクがお分かりでしたら教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
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こんにちは!すごくおもしろそうなイベントですね!
うらやましいなぁ。
チケットチェックしたらやはり完売でした。。。当日券もないんでしょうか?
Suche Karteとか・・・。
ご存知でしたら教えてください^^
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個人的には実験的なものは苦手なことが多いのですが、舞台の写真を見る限りでは興味があります。同時に5つの作品を観ることができるのも魅力的ですね。Sucheしたらチケット手に入るのかなぁ。
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こんにちは。私の大好きなBerghainとクラシック音楽の共演なんて夢のよう。見たかったなぁ。
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面白そうですね。最先端の場所でバレエ、というだけでなく
やはりベルリンの空気が絡むからこそ独特のものになったのでしょうね。
BERGHAINもその前身のOSTGUTも行ったことないんですが
「敷地を迷いながら進むとある廃墟」ってとってもベルリンぽくて
俄然行きたくなりました。
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>Rieさん
はじめまして!
「壁の道」については、以下のサイトをご参照ください。
ここに14のコースも詳しく紹介されていますよ。
http://www.berlin.de/mauergedenken/mauerweg/
index/index.de.php
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>kinokoさん
プレミエのとき、入り口付近でSuche Karteしている人を何人か見かけましたが、難しいようでした。何分会場が小さいから、チケットの枚数も限られてしまうんですよね。でも、ダメモトで行ってみる価値はあるかもしれません。
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>Kaorintanさん
せっかく踊りを見に行ったのに「踊らない」ダンスの公演、とかってたまにあるんですが、今回のはプロフェッショナルな技を存分に見せてくれた上での前衛作品だったので満足でした。5つの作品はもちろん照明、衣装とも全部違うので飽きません。
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>横須賀出身さん
こんにちは。たまにブログ拝見しています。
同じ横須賀出身とはうれしいです。Berghaiは初めてでしたが、とても気に入りました。また何か面白い催しのときにでも行きたいです。
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>MOTZさん
>「敷地を迷いながら進むとある廃墟」
本当にこの道でいいのだろうかと不安になってくるんですが、そういう気分で目指すクラブというのも悪いものではありませんでした。この周辺は再開発が進んでいるので、今のうちに行っておくべきかもしれません。もっとも、このクラブはなくならないでしょうけれど。