月曜日(21日)の新聞を見ていたらクラウス・ヴォーヴェライト ベルリン市長が、この日グルーネヴァルト駅に停車している「記憶の列車」を見学に訪れるというので、再度足を運んでみることにした。以前「17番線」でご紹介したグルーネヴァルト駅は、戦時中ベルリンのユダヤ人の大多数が収容所に送られたという場所である。
リヒテンベルク駅のときと違って、重厚な蒸気機関車が客車を牽引していた。車体を見ると、「1919年ポーゼン(現ポズナニ)製」とあり、あちこちに花が献花されている。ドイツでSLを見るのは初めてのことだった。列車が停車していたのはあの「17番線」ではなかったが、向かいにSバーンがひっきりなしに停まるホームにおいては、日常性とのつながりを感じさせていたように思う。
久々の晴天ということもあって、おそらく2時間待ちと思われる行列ができていた。
17時30分、ヴォーヴェライト市長が現れた。展示を一巡してから、「記憶の列車」の主催者と共に挨拶を始めた。記憶を社会の中で共有することの重要さを語った市長は、今回のドイツ鉄道の対応を批判。ここで拍手が起こった。そうかと思えば、現在存続か廃止かで大きな話題になっているテンペルホーフ空港について、野次を受ける場面も。
挨拶が終わると、今度はテレビの取材で大混雑に。
帰り際、カメラを向けたらこちらを見て軽く頷いてくれたヴォーヴェライト市長。
駅の地下通路ではクレズマーの物悲しい音楽が響き渡っていた。
テレジンシュタットで殺害されたユダヤ人夫婦のひ孫が情報提供を求めている、こんな張り紙を見つけた。彼らにとっては、60年以上も過去の話というより、自分のルーツとも密接に関わる切実な問題なのだろう。
「記憶の列車」は、これからブランデンブルク、ザクセン州を巡回した後、ドイツの終戦記念日の5月8日にアウシュヴィッツに到着することになっている。
参考
グルーネヴァルト駅17番線
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以前ベルリン滞在中に、この駅で途中下車しました。ホームの端にびっしりと並べられた、列車の出発年月日と目的地、そして行く先のパネルと運ばれた人の数…。これをみているだけでも、その数字のむこうに、無慈悲に消されていった人達の顔が浮かんでくるようで、言葉になりませんでした。ベルリンはこういう歴史に関する催しもさかんですね。ベルリン以外でも、鉄道で旅していると、おもいがけないところに(というかドイツじゅういたるところで、)強制収容所行の列車が出たことを示すプレートをみつけます。
それにしても、イケメンで人気の市長、いい表情をとれましたね!
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マサトさん、こんにちは!
ドイツ各地を回っていた「記憶の列車」がとうとうベルリンに
来たのですね。
グリューネヴァルト駅自体にこの列車が止まっているなんて
時間が戻ったような錯覚を与えるような感じがします。
私も去年この駅に行ったのですが、駅の静寂感を思い出します。
さて、ベルリン市長はステキですね!
そしてヤジを飛ばされても普通に演説は進行するのですか。
日本だとヤジでも大騒ぎになりそう。
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>うのっちさん
初コメント、ありがとうございます。
この日は件の17番線ホームにも立ち寄りましたが、歴史の真実が一層リアルに感じられた気がしました。昨年、列車でアウシュヴィッツを訪れたことも、自分の中で大事な経験となっています。
この市長さんはやはりかっこいいですよね。機会があれば、インタビューしてみたいです(笑)。
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>しゅりさん
グルーネヴァルト駅はベルリンのユダヤ人の歴史を語る上で特別な場所なので、市長さんもこの日に来たのでしょうね。これだけの市民が関心を示したというのは、意義のある企画だったと思います。野次を飛ばしている人が1人いましたが、進行の妨げになるというほどではありませんでした。
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見に行ったのですね。グルーネヴァルト駅は最適な場所だと思います。常設しても良いような・・・子供達は最初、どこか行楽地或いは(ドイツ人の子供達と同様)田舎の避難施設に連れて行かれると思い、笑顔で手を振った場面もあったらしいですね。悲しい話です。
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>テレジンシュタットで殺害されたユダヤ人夫婦のひ孫が情報提供を求めている
過去はおわっていないのですね。
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>キートスさん
>田舎の避難施設に連れて行かれると思い、笑顔で手を振った場面も
>あったらしいですね。
そんなシーンがあったのですか。アウシュヴィッツのミュージアムで、子供用の遺品の山を見て衝撃を受けたことを思い出します。
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検索でこちらを拝見しました。Soraといいます。
3月にポーランドのオシフィエンチムとそしてベルリンにも行きました。「記憶の列車」興味深いです。情報提供を求めている張り紙も気になります。
「アウシュヴィッツは終わらない」まさにその通りだと思いました。リンクを張らせてもらいました。
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>sora_atmosphereさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
明日8日に、記憶の列車はアウシュヴィッツに予定通り到着するのでしょうね。その翌日にはベルリンのホロコースト記念碑で記念のコンサートが行われるらしいので、聴いて来ます。毎年この時期になると、ドイツの終戦を、そしてそれがまだ終わっていないことを実感します。
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この「記憶の列車」のことを初めて知りましたが、大変興味が湧きました。ポーランドやドイツにはさまざまな記念日があるようで、また次に行けるときはその記念日があるときに行けたらと考えています。記念コンサートに行かれるとのことで。またブログの方拝見します。トラックバック有り難うございました。
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>sora_atmosphereさん
そうですね、祝日のときに来ると、ドイツの違う面が見えてくるかもしれません。10月3日の統一記念日は毎年市民のためのフェストが開かれますが、終戦記念日は毎年大きなセレモニーがあるというわけではないようです。ただ、ベルリンは歴史的に重要な出来事がたくさんあったので、節目の年に祝われことが頻繁にあります。