ベルリンに戻って久々に足を運んだコンサートは、フィルハーモニーでのベルリン・ドイツ響の定期。指揮は、ここ数年毎シーズンのように客演している佐渡裕さんだった。
冒頭のGolijovの《Last Round》は、アストロ・ピアソラへのオマージュ的作品。ピアソラのバンドネオンを想起させる鋭角的な響きが、弦楽アンサンブルによって執拗に奏でられる。後半はうって変わって、マーラーの長大な叙情楽章から毒を抜いたような、そんな美しい音楽。こちらは《天使の死》という曲を意識した音楽だとプログラムを読んで納得した。
続くショパンのピアノ協奏曲第2番は、生で聴くのはおそらく初めて。ため息のでるようなきれいなメロディーには事欠かないのだが、オーケストラとの協奏的感興にはどうも乏しい音楽だ。リハーサルで聴いた時よりはさすがに仕上がっていたものの、ベネズエラ人ソリストと合わせるのにオーケストラ側はやや苦労していた模様。
メインの《新世界》。これは佐渡さんの長所がいかんなく発揮された名演だった。本番1回のみのライブ収録という条件下、両者が持てる力を全て出し切った燃焼度の高さ。一方で、細部まで音楽がよく練られていたのも注目に値する。
終演後は熱狂的な喝采が続き、舞台裏まで熱気が渦巻いていた。お客さんにとっても演奏者側にとっても双方が満足できるコンサートというのは、シーズン中にそう何度もあるものではない。佐渡さんは間違いなくDSOから再びオファーを受けるだろう。このオーケストラとの関係は目下非常に良好のようなので、今後さらなる期待がふくらむところだ。
Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
Yutaka Sado Dirigent
Sergio Tiempo Klavier
Osvaldo Golijov: »Last Round«
Frédéric Chopin: Klavierkonzert Nr. 2 f-Moll
Antonín Dvorák: Symphonie Nr. 9 e-Moll »Aus der Neuen Welt«
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久々の音楽日記楽しく読ませてもらいました。
当日の客席の熱気が伝わるようなリポート今後も楽しみにしていま~す。
個人的にはベルリンバロック・ゾリステンか古楽のリポートが読みたいです。
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本当に素晴らしいコンサートでしたね!
久々にマサトさんと、それから初めて奥様とお会いできて嬉しかったです。
今日はプレートルのコンサートでしたがこれもめちゃくちゃ素晴らしかったです!
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>eichentopfさん
>個人的にはベルリンバロック・ゾリステンか古楽のリポートが
了解!古楽はもともと好きなので、聴いたら何か書きますね。ベルリンは古楽のコンサートもかなり充実していると思います。
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>Pukuさん
先日はこちらこそうれしかったです。
プレートルのコンサートは都合がつかずに結局聴きに行けませんでした。マエストロの指揮で演奏できたなんて、本当にうらやましいです。ご高齢ではありますが、また聴けるチャンスがあることを願っています。