ハンブルクで迎えた年越し(1)

St. Pauli-Landungsbrücken (2012-12-31)
遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。
ひょっとして東京よりも暖かいのでは?と思われた年末年始のベルリンの気候でしたが、天気は悪く、ほぼ毎日雨・雨でした。そんな大晦日に義理の両親たちを連れて、ハンブルクに行ってきました。あまり長くないドイツ滞在、ベルリン以外の街も見てもらいたいけれど、国外に出るほどの時間的余裕はないし、ということで選んだのがハンブルク。私自身これまであまり縁がなかった街なのですが、NHKドイツ語講座のハンザ都市の連載を機に、昨年から訪れる機会が増えました。私の故郷に近い横浜を思い起こさせる、港町の雰囲気が好きなのです。もっともここから北海まではまだ100キロ近くもあるのですが、かもめが頭上を飛び交い、塩の香りは(半分気のせいかもしれないけれど)十分に漂っています。
2011年に100周年を迎えた旧エルプトンネル。対岸まで歩いて渡ろうと思ったのですが、日没が迫っていたために、ここで引き返しました。
ランドゥングスブリュッケンから、公共交通のチケットで乗れるハンブルク交通の船に乗ってエルプ・フィルハーモニーまで行こうと思ったのですが、待てども待てども船はやって来ず。海風にさらされ、体も冷えてきたので、結局歩いてハーフェンシティの方に行くことに。
やがて見えてきました、建設中のエルプ・フィルハーモニーが!一時工事は中断していたものの、最後に見た昨年3月よりは明らかに進行しているように見えましたが、実際はどうなのでしょうか。
ところで、今日の新聞の一面の見出しは「ベルリンの新空港、開業は早くて2014年に」。新空港については、怒りを通り越えてもはや諦めムードさえ漂っている気がしますが、このエルプ・フィルハーモニーも「その他の問題の工事現場」に挙げられているのですよね(こちらの新聞記事より)。
当初の完成予定は2010年だったそうですが、現段階では2017年だとか。もはや、ベルリンの国際空港といい勝負なのかもしれません・・・
大晦日で印象に残っているのが「食事」です。夕方の17時頃、古くからの情緒が残るダイヒ通りDeichstr.を通った際、今年最後の夕食の予約をしようとダイヒグラフというレストランに入ってみたら、店内はまだガラガラにも関わらず、夜はもう予約で一杯とのこと。代わりに紹介してもらったお店も無下にお断り。「これはもうホテルで何か食べるしかないのかなあ」と諦めかけた4軒目で聞いてみたら、いま食べるのだったらいいとのこと。正直、それほどまだお腹は空いていなかったけれど、ここでありがたくいただくことにしました。
このレストラン、店内の雰囲気だけでなく、店員の方もとてもあたたかい感じで、「捨てる神もあれば、拾う神もありだなあ」とみんなで喜び合ったのでした。Zum Brandanfang(火災の始まり)という店名がまた印象的。ハンブルクの歴史上、決して忘れられることのない1842年の大火災はこの家から始まったのです(そして奇跡的に焼失を逃れた)。火の粉を猛烈な勢いを増し、結局完全に消火されたのが、現在の中央駅に近いBrandsende(火災の終わり)という通りの辺りだったというから、その規模の途方もなさが伺われます。
天井に架けられているのは、実は古い紙幣。お店の人の話によると、かつてこの裏がハンブルクの港だった時代、航海に出る船乗りが旅の無事を願ってぶら下げていったものなのだとか。ハンザ都市の連載を持たせてもらった今年、最後にこのレストランで食事ができてよかったなあとしみじみ思ったのでした。
“Zum Brandanfang”
Deichstraße 25
20459 Hamburg
(つづく)



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2 Responses

  1. Daisaku Oozu
    Daisaku Oozu at · Reply

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    ご家族との大晦日、良かったですね。レストランは大火のエピソードもさながら、素敵な雰囲気を感じます。私は同じ海沿いでも日本海を南下しながら撮影を続けていました。今年も素敵な記事を楽しみにしています。

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    Daisakuさん
    コメントありがとうございます。Daisakuさんは日本海を撮影されていましたか。ぜひまた写真拝見したいです。久々にブログにお邪魔して、《光のシークエンス》より弘前駅の写真など、改めていい写真だなあと感じました。実は最近交換レンズを買う機会があり、今年は写真にも力を入れたいと思っています。

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