岩波書店の月刊誌『世界』2月号に、「インゲ・ドイチュクローンが心に刻んできたもの—アウシュヴィッツ解放70周年—」というタイトルのルポを寄稿させていただきました。間もなくやって来る1月27日のアウシュヴィッツ解放70周年に合わせて書いたものです。
『世界』という非常に歴史ある雑誌に書かせていただくことになり、また1万字を超える字数のルポを書くのは初めてということもあって、昨年の秋はこの原稿をどうまとめるかがずっと頭の中にありました。いろいろ考えた結果、戦時下のベルリンで生き延びた1922年生まれのユダヤ人女性、インゲ・ドイチュクローンさんのインタビューを軸に、戦後ドイツ社会がどのようにして「アウシュヴィッツ」に向き合うようになったのか、さまざまな立場から描こうと試みました。
とても重く、また難しいテーマですが、書くにあたっては、ベルリンの生活者としての立場、そしてそこでの人間関係から生まれるものを大切にしようと心がけました。実際、友人や知人と話している中で、「この人に会って話を聞いてみるといい」というありがたい提案や紹介をいただくことが何度もあり、取材対象はどんどん広がっていきました。字数の関係から、今回原稿の形になったのはその中の限られた部分ではありますが、今後掘り下げていきたいテーマもいくつか見つかりました。まだまだ稚拙な部分もあるかと思いますが、力を込めて書きましたので、『世界』2月号をご一読いただけると大変嬉しく存じます。
後記:
嬉しいことに、朝日新聞の「論壇委員が選ぶ今月の3点」(1月29日朝刊)にて、小熊英二氏が拙ルポ「インゲ・ドイチュクローンが心に刻んできたもの」を選んでくださいました。
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真人さん、すごいですね。ぜひ日本で読ませていただきます。先日短かったですが3年ぶりにベルリンに行きました。東ベルリンを中心に歩きまわり、KZ Ravensbrückにも足をのばしました。こちらでは日々の生活に追われてしまっていますが、このブログをみると初心に戻ります。ありがとうございます。
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かつてクラクフに行ったとき、アウシュビッツに行こうかと妻に尋ねたところ、大抵のところについてきてくれる妻がNOと答えました。それで映像、写真でしか姿を知りません。レポート楽しみにさせて頂きます。
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いっさいがっさいさん
大変ご無沙汰しています。コメントありがとうございました。「世界」の記事、一読いただけると大変嬉しく思います。
久々にベルリンにいらしていたのですね。KZ Ravensbrückは私もいつかゆっくり訪問したい負の場所です。
数年前、いっさいがっさいさんからいただいた整理棚は、今も私の机の横で活用させていただいてます。
またお目にかかれる機会を楽しみにしています。どうぞお元気で!
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leiticaさん
「世界」の記事に興味を持っていただき、嬉しく思います。お読みいただけると幸いです。
アウシュヴィッツはいまや世界中からの人びとが訪れるので、結構観光地化されていて、7年前に行ったときは拍子抜けした部分もあるにはありました。
でも、一面雪景色の茫漠としたビルケナウの地を踏んだときのことは、やはり忘れられません。