最近発売になった「家庭画報」6月号に寄稿させていただく機会がありました。特集記事の一つ、「サントリーホール開館30周年記念 音楽の殿堂 30年の軌跡」の中にある指揮者ズービン・メータ氏のインタビュー記事です。
名実共にクラシック音楽界の巨匠であるメータ氏にインタビューする機会があるなどとは、思ってもいませんでした。この10月、サントリーホール30周年の記念ガラ・コンサートをメータ氏が指揮するということで(オーケストラはウィーン・フィル)、3月下旬、ミュンヘンに滞在中のメータ氏にお話を伺うべく、久々にバイエルン州の州都へ飛びました。
この取材はいろいろな意味で忘れられないものとなりました。一つには、メータ氏にインタビューした当日の朝にブリュッセルのテロ事件が起きたことです。午前中のインタビューは和やかな雰囲気の中で終わりましたが、被害の状況が頭から離れませんでした。その夜メータ氏の指揮で行われたミュンヘン・フィルの演奏会の後半の演目は、奇しくもというべきか、モーツァルトのレクイエムとアヴェ・ヴェルム・コルプス。開演前にメータ氏が聴衆に向けて少し長いスピーチをされました。私とカメラマンの豊田裕さんは舞台裏で待機していたので内容を聞けなかったのですが、今回お世話になったサントリーホール・エグゼクティブ・プロデューサーの眞鍋圭子さんに後から聞いたところ、メータ氏がレクイエムの演奏をブリュッセルの犠牲者に捧げること、そして演奏後の拍手はご遠慮いただきたいなどと話されていたとのこと。スピーカーを通して聴こえてきたレクイエムの演奏は、舞台上の全員が一丸となった迫真のものでした。メータ氏の舞台姿の写真は、この公演の直後に撮影されました。
インタビュー記事自体はそれほど長いものではありませんが、家庭画報ならではの大判の写真と共にお楽しみいただけるのではないかと思います。ちなみに、この6月号は創刊から通算700号という記念号だそうで、ほかにも佐渡裕さんによるウィーン音楽紀行や、黒柳徹子さんと山中伸弥さんとの対談など、盛りだくさんの内容になっています(などと私が宣伝するのも何だか可笑しいのですが^^;)。ご一読いただけると幸いです。