最近クラシック音楽関係に寄稿した記事の中から2つほどご紹介させていただきます。
1つは、(今になってからのご紹介で誠に申し訳なく思いますが・・・)「音楽の友」11月号に掲載されたピアニストのクリスチャン・ツィメルマンのインタビュー記事です。この秋、ツィメルマンが実に約四半世紀ぶりにソロの新譜(シューベルトの最後の2つのピアノソナタ)を出すに際して、夏にベルリンで行われたインタビューです。おそらく日本の媒体に向けて今回ツィメルマンが行った唯一のインタビューの機会だったのではないかと思います。
現代屈指の名ピアニストに直接インタビューするということで、さすがにこの時はやや緊張して、待ち合わせ場所に向かったことを覚えています。その日は東京の都議会選挙だったのですが、お会いするやいなや、氏は選挙の結果を受けての感想を(しかもかなり突っ込んだところまで)私に伝えてきたのです。日本通ということは聞いていましたが、これには驚きました。その後のインタビューでは、録音についての考えから、久々の録音を新潟県柏崎市で行うまでの経緯、シューベルトへの共感、さらに文明論に至るまで、話題は多岐に及びました。紡ぎ出される言葉、そしてその精神は還暦を過ぎた方とは思えないほど若々しく、まるで世界のあらゆる事象に関心を持っている卓越した哲学者と話しているのではないかと感じた瞬間さえありました。
字数の関係で削らざるを得ない箇所もありましたが、それでも4ページ、約5000字のかなり読み応えのある内容になったのではないかと思います。メディアへの掲載には厳しい姿勢を持っているツィメルマン氏ゆえに、事前のチェック作業を含めると通常よりも手間暇はかかりましたが、私にとってこの夏の忘れ難き仕事の一つになりました。なお、インタビューの事前の確認作業では、ツィメルマン氏と長年親交のあるドイツ語通訳者の蔵原順子さんに大変お世話になりました。
もう1つの記事は、間もなく来日公演を行うベルリン・フィルのツアーのプログラム冊子への寄稿です。こちらはサイモン・ラトルのベルリン・フィルでの16シーズンを回顧する4ページのレポートで、ソロ・ファゴット奏者のシュテファン・シュヴァイゲルトさんら数人の関係者にお話を伺っています。ラトルの音楽監督としての最後の来日公演でこのような機会をいただけたのはとても嬉しいことでした。11月23日から25日まで東京と川崎で行われる公演にお越しの方は、ぜひご一読いただけたらと思います。
初めまして。数年前のことですが、マヨルカ島に旅行した祭の旅行記をブログにアップした時に、この島で療養していた間にショパンが作曲した「雨だれのプレリュード」の演奏も記事にアップしたくて、youtubeで検索中にKrystian Zimermanの演奏を知りました。いろんなピアニストがショパンを演奏してますが、彼の演奏が一番琴線に触れ、気に入ってました。こちらでKrystian Zimermanのことが書かれてるなんて!一般的に知られていない彼のお人柄が伝わるようなエピソードをありがとうございます。一層、このピアニストが好きになりましたよ。
sternenliedさん
コメントをいただき、ありがとうございました。お返事がすっかり遅くなり、申し訳ありません!ツィメルマンはショパンもいいですよね。数年前、彼が弾くショパンの3番のソナタをベルリンで聴いて夢心地になったことがあります。「雨だれのプレリュード」も改めて聴いてみたくなりました。