現在発売中の岩波書店『世界』12月号で、「生への列車・キンダートランスポート3――ヘンリーに会うイスラエルへの旅(前編)」を寄稿させていただきました。これは同誌に寄稿した2017年3月「クエーカーが救った子供たち」、2018年2月「エヴァとデジーに会う英国への旅」の続編に当たります。
今回の主人公はイスラエルのエルサレム在住のヘンリー・フォーナーさん。1932年にベルリンのシャルロッテンブルク地区にてハインツ・リヒトヴィッツとして生まれた彼は、6歳のときにキンダートランスポートで英国に逃れ、里親であるフォーナー夫妻に育てられました。1939年2月にベルリンを離れてから第2次世界大戦が勃発するまで、ベルリンの父親が息子に宛てた絵葉書がすべて残されており、『Postcards to a Little Boy』(2013, Yad Vadhem)という本として出版されています。父親は後にアウシュヴィッツに送られました。
私は数年前この本に出会い、いつかヘンリーさんにお話を伺ってみたいという気持ちを抱き続けていたのですが、昨年10月のイスラエルへの旅でそれが叶うことになりました。コロナ禍の状況になって自由に旅することができない今、ヘンリーさんに会いに行ったときのルポルタージュをこうしてお届けできることに格別な思いがあります。
後編は次の2021年1月号に掲載される予定です。ご一読いただけたら嬉しく思います。