
息子とつまずきの石
「パパ、つまずきのいしのしゃしんをとりにいきたい」 クリスマスの翌日の昼間、5歳の息子が突然こんなことを言いました。今年のクリスマスは本人の希望で子供用のカメラをプレゼントしたので、それを使って写真を撮りたいというのです…

岩波書店『世界』2020年12月号 –生への列車・キンダートランスポート3–
現在発売中の岩波書店『世界』12月号で、「生への列車・キンダートランスポート3――ヘンリーに会うイスラエルへの旅(前編)」を寄稿させていただきました。これは同誌に寄稿した2017年3月「クエーカーが救った子供たち」、20…

「明子のピアノ」と森下弘さんのインタビュー記事
早いもので今年も9月に入りました。この夏を振り返ってみると、『明子のピアノ』(岩波ブックレット)を刊行したことが私にとって一つの大きな出来事だったように思います。嬉しいことに、多くの方から貴重なご感想をいただきました。8…

『明子のピアノ 被爆をこえて奏で継ぐ』(岩波書店)のご案内
この度岩波ブックレットから『明子のピアノ 被爆をこえて奏で継ぐ』を刊行させていただきました。 岩波書店のHPでは、本の内容がこのように紹介されています。 一九歳で広島の原爆に命を奪われた河本明子さん。その愛奏していたピア…

ラーヴェンスブリュック強制収容所解放から75年
今年は戦後75年の年。このような節目の年には、特に4月に入ると「今日はどこどこの強制収容所が解放されてから00周年です」というニュースが連日のように新聞やテレビで報じられ、ヨーロッパの終戦記念日にあたる5月8日から9日に…

発掘の散歩術(114) – アウシュヴィッツ解放から75年〜ヴァンゼー会議記念館を訪ねて –
1月27日のアウシュヴィッツ解放75年を前に、シュタインマイヤー大統領がドイツ大統領として初めて、イスラエルのホロコースト記念館、ヤド・ヴァシェムでスピーチをした。冒頭にヘブライ語、その後英語で話すシュタインマイヤー氏に…

広島県福山市で出会ったホロコースト記念館
アウシュヴィッツ強制収容所が解放された1月27日は、国際ホロコースト記念日に指定され、ベルリンのドイツ連邦議会では追悼式典が行われます。私は毎年この模様をテレビ中継で見ていますが、今年は一時帰国でたまたま広島県福山市に滞…

発生から80年「水晶の夜」の特別展
11月9日はドイツ史において「運命の日」と呼ばれます。この日に起きた重要な出来事の一つが、1938年の反ユダヤ主義暴動の「水晶の夜」です。今年はあの事件から80年の節目を迎えるに際し、ナチス時代にゲシュタポ本部があった記…

発掘の散歩術(93) -フンボルトハインの天空の展望台-
今年は3月末になっても雪が降るなど、いまだ春の気配にはほど遠いベルリンだが、天気の良い日に家族を連れて行ってみたい場所があった。Sバーンのゲズントブルンネン駅にはノルトクロイツ(北の十字)という別称があり、各方面からの鉄…

岩波書店『世界』2018年2月号 –生への列車・キンダートランスポート2–
大変遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。 昨年を振り返ってみると、ポーランド(3月)、オーストリア(6月)、イギリス(9月)、そして義理の弟の結婚式参加が目的だったハワイ(9月)など、自分にしては外国への…

助けられた子供達 – キンダートランスポートの記念式
11月23日、ドイツ連邦外務省のリヒトホーフにて、いわゆるキンダートランスポート(子供の輸送)を偲ぶ記念式が行われました。 キンダートランスポートとは、1938年11月9日の「水晶の夜」事件によりナチス支配下でのユダヤ人…

発掘の散歩術(88) 消えたユダヤ人たちの痕跡をたどって —モアビットの2つの場所—
この原稿を書いているのは10月18日。偶然ではあるが、今回ご紹介する場所の歴史と直に結びついた日付であることにふと気付いた。今からちょうど76年前の1941年10月18日、1251人のユダヤ人を乗せた貨物列車が初めてベル…

エリザベト音大の楽団と合唱団が 細川俊夫作曲《星のない夜》を上演
毎年8月、ベルリンのコンツェルトハウスでは世界のユースオーケストラの祭典「ヤング・ユーロ・クラシック」が行われます。今年は、グスタフ・マーラー・ユーゲント管など名だたる団体に混じって、広島のエリザベト音楽大学のオーケスト…

大戦期の前夜を切り取った展覧会『ベルリン1937年』
5月4日から、ベルリン市営のメルキッシュ博物館で『ベルリン 1937年-明日への影の中で』という展覧会が開催されています。最初にこの展覧会のタイトルを聞いた時、ヒトラーが政権を取った1933年でも第二次世界大戦が始まった…

岩波書店『世界』2017年3月号 –生への列車・キンダートランスポート–
岩波書店の月刊誌『世界』3月号に「生への列車・キンダートランスポート ――クエーカーが救った子供たち」という12ページのルポルタージュを書かせていただく機会がありました。『世界』に寄稿するのは3回目になりますが、今回のテ…

発掘の散歩術(77) 不寛容の行き着く先にあるもの ― ナチスの恐怖政治の原点を訪ねて ―
ベルリンにある鉄道ターミナルの一つ、ズュートクロイツ駅のホームに立つと、青いイケアの買い物袋を持った人の姿によく出会う。この近くに大型家庭用品の店がいくつも並んでいるからだ。いつもは自分たちも通る買い物客の流れから外れて…

発掘の散歩術(74) -「安楽死」殺人の記念碑で考える人間の命-
光を浴びて輝くベルリン・フィルハーモニーのジグザグの屋根に向かって、透明の青いガラスの壁が伸びている。その横には様々な歴史的情報や写真が掲載されたプレートが設置され、コンサートのオフ・シーズンにもかかわらず、旅行者や地元…
最近のコメント