佐渡裕指揮コンツェルトハウス管弦楽団で3つの交響曲

●先週末、佐渡裕さん指揮コンツェルトハウス管弦楽団の定期演奏会を聴いた。冒頭のハイドンの交響曲第6番「朝」は、弦楽器による冒頭からすがすがしい気持ちにさせてくれる好演。ソロが多いこの曲、中でもコンミスの日下紗矢子さんの演奏は卓越していた。装飾音を自由に加えた、光に満ち溢れたフルート、3楽章中間部で意表を突くように出現するコンバス、ファゴット、ヴィオラも魅せてくれ、指揮する佐渡さんからも笑みがこぼれる。続くルトスワフスキの交響曲第3番は、一転して巨大編成。同じ交響曲でも両者の間には200年の差があり、冒頭の金管楽器の暴力的な咆哮から何と世界の違うことか。さまざまな要素の散りばめられた難曲だが、最後まで飽きずに聴くことができた。確か、作曲者指揮ベルリン・フィルによる優れた録音が残っているはず。そちらも聴いてみたくなった。
●メインはベートーヴェンの交響曲第2番。佐渡さんらしいダイナミックでパワフルな演奏だったけれど、同時にこの曲の難しさも感じた。佐渡さんが自身のブログで、ベートーヴェンの交響曲を作り上げていく過程をドミノ倒しに例えている。緊密に積み上げてきたものが一瞬にして倒れてゆくのを目撃する快感と高揚感こそがベートーヴェンの醍醐味なのだとしたら、この日の演奏は何かが足りない感じもした。ベートーヴェンの2番というのは結構な難曲なのではないだろうか。最初のハイドンとは明らかに世界が違うし、かといって同じベートーヴェンの5番や7番とアプローチでというわけにもいかない。この曲の理想的な演奏というのはどういうものなのだろう。ともあれ、全体的にはいい演奏会。コンツェルトハウスのお客さんの顔ぶれを見ていると、もっと若い聴衆が来てくれたらなと思う。
●一部メディアの報道によると、佐渡さんは来シーズン、ベルリン・フィルにデビューするそうで、本当に素晴らしいことだ(10月にはベルリン・ドイツ響にも客演)。来シーズンは他にも、大野和士さんがベルリン放送響(来年2月)、大植英次さんがコンツェルトハウス管(来年5月)のそれぞれ定期演奏会を振るほか、山田和樹さんがファミリー向けのコンサート(?)でベルリン放送響にデビューするなど(来年2月)、日本人指揮者の活躍が目立つ。うれしいことだし、後に続く人もさらに出てきてほしい。
Konzerthausorchester Berlin
Yutaka Sado
Joseph Haydn: Sinfonie Nr. 6 D-Dur Hob I:6 (“Le Matin”)
Witold Lutoslawski: Sinfonie Nr. 3
Ludwig van Beethoven: Sinfonie Nr. 2 D-Dur op. 36



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