ヘーア通りの森の墓地を歩く
ロックダウンの期間中、何度かベルリンのお墓巡りをする機会がありました。博物館やコンサートホールはあいかわらず閉鎖された状態が続いていますが、ベルリンにはそれ自体が博物館といえるような文化史的に興味深い墓地がいくつもありま…
発掘の散歩術(114) – アウシュヴィッツ解放から75年〜ヴァンゼー会議記念館を訪ねて –
1月27日のアウシュヴィッツ解放75年を前に、シュタインマイヤー大統領がドイツ大統領として初めて、イスラエルのホロコースト記念館、ヤド・ヴァシェムでスピーチをした。冒頭にヘブライ語、その後英語で話すシュタインマイヤー氏に…
発掘の散歩術(98) – ベルリン王宮「最後の」一般公開の日に –
ルストガルテンのバス停で降りると、行列はシュプレー川を超えて、その先のカール・リープクネヒト通りにまで続いている。その長さにはさすがに驚いた。 8月最後の週末、再建中のベルリン王宮の一般公開が行われた。工事中の様子を市民…
壁崩壊から30年〜市立博物館の特別展「東ベルリン」
2019年はベルリンの壁崩壊から30年という節目に当たります。ベルリン市立博物館はこの機会に特別展「Ost-Berlin Die halbe Hauptstadt(東ベルリン 片方の首都)」を開催しています。同博物館は2…
発掘の散歩術(96) -パロヒアル教会のカリヨンの調べ-
アレクサンダー広場から地下鉄のU2に乗ってわずか一駅。クロースターシュトラーセ駅で降りると、時間の感覚が一気に半世紀以上さかのぼったような気がした。駅構内の赤みを帯びた色合いの照明、壁に掲げられた昔の電車やバスのノスタル…
発掘の散歩術(95) -ダーメ川を渡ってケーペニックへ〜公共フェリーで楽しむピクニックコース-
BVG(ベルリン交通局)のインフォメーションセンターに行くと、無料で配布されているパンフレットの中に、「Berlin. Landpartie」というシリーズがある。BVGの路線に乗って行ける郊外へのピクニックコースを紹介…
発掘の散歩術(93) -フンボルトハインの天空の展望台-
今年は3月末になっても雪が降るなど、いまだ春の気配にはほど遠いベルリンだが、天気の良い日に家族を連れて行ってみたい場所があった。Sバーンのゲズントブルンネン駅にはノルトクロイツ(北の十字)という別称があり、各方面からの鉄…
発掘の散歩術(92) -壁のあった時代と壁のない時代-
テレビのニュースでベルリンの壁の歴史的映像が流れるのは、大抵壁が建設された8月13日(1961年)、そして壁が崩壊した11月9日(1989年)前後と決まっている。ところが、今年は様子が違った。1月末からベルリンの地元のテ…
発掘の散歩術(91) -ヴィルマースドルフが村だったころ-
最近インターネットの古書サイトで1枚の古い絵葉書に出会い、思わず購入した。そこにはゼーバート・ヴィルマースドルフと書かれた湖畔のテラスと隣接した屋外のコンサートホールが細かく描かれ、のんびりくつろぐ人々の様子が伝わってく…
発掘の散歩術(88) 消えたユダヤ人たちの痕跡をたどって —モアビットの2つの場所—
この原稿を書いているのは10月18日。偶然ではあるが、今回ご紹介する場所の歴史と直に結びついた日付であることにふと気付いた。今からちょうど76年前の1941年10月18日、1251人のユダヤ人を乗せた貨物列車が初めてベル…
発掘の散歩術(85) –マルツァーンのゴンドラに乗って IGA2017を楽しむ–
今年のドイツでは、5年に一度カッセルで開催される現代アート展「ドクメンタ」や10年に一度のミュンスターの彫刻プロジェクトが大きな話題を集めている。それらに比べると知名度は劣るかもしれないが、この4月からベルリン東部のマル…
発掘の散歩術(84) –リューデスハイマー広場のワインの泉で–
夏の季節、地下鉄U3のリューデスハイマー広場から地上に出ると、南ドイツから吹き抜けてきたかのような爽やかな風をいつも感じる。まず目に入るのは、広場の一段高い位置に置かれたテラス。ここに上がると、夏の夕方以降、ベンチに座る…
発掘の散歩術(83) – 実物大で世界を知るドイツ技術博物館 –
冴えない天気が続いた5月半ばのある土曜の朝、屋内で過ごせて、かつ乗り物好きの子供も楽しめそうな場所が何かないかと考えていたら、ふと思い付いた。地下鉄U1の車窓からよく見えるドイツ技術博物館はどうだろう。この博物館は膨大な…
発掘の散歩術(82) – デュッペル村で味わう中世の春 –
オーク材を組んで作った防御柵から中に入ると、わらぶき屋根の家々が見えてきた。中央の広場には二人の男がバグパイプと太鼓の陽気な音楽を奏で、親子連れが集まっている……。 ここはベルリンの西の郊外、ツェーレンドルフ地区にあるデ…
「ムッター・フォラージュ」園芸用品市やコンサートも
久々に晴天となった土曜日、Sバーンに乗って西の郊外のヴァンゼーに行きました。約10年ぶりに足を運びたくなった場所、「ムッター・フォラージュ」をご紹介します。バス316や118に乗ってRathaus Wannseeのバス停…
発掘の散歩術(77) 不寛容の行き着く先にあるもの ― ナチスの恐怖政治の原点を訪ねて ―
ベルリンにある鉄道ターミナルの一つ、ズュートクロイツ駅のホームに立つと、青いイケアの買い物袋を持った人の姿によく出会う。この近くに大型家庭用品の店がいくつも並んでいるからだ。いつもは自分たちも通る買い物客の流れから外れて…
発掘の散歩術(74) -「安楽死」殺人の記念碑で考える人間の命-
光を浴びて輝くベルリン・フィルハーモニーのジグザグの屋根に向かって、透明の青いガラスの壁が伸びている。その横には様々な歴史的情報や写真が掲載されたプレートが設置され、コンサートのオフ・シーズンにもかかわらず、旅行者や地元…
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