発掘の散歩術(114) – アウシュヴィッツ解放から75年〜ヴァンゼー会議記念館を訪ねて –
1月27日のアウシュヴィッツ解放75年を前に、シュタインマイヤー大統領がドイツ大統領として初めて、イスラエルのホロコースト記念館、ヤド・ヴァシェムでスピーチをした。冒頭にヘブライ語、その後英語で話すシュタインマイヤー氏に…
発掘の散歩術(99) – ポツダム、皇帝の黄昏 –
11月9日は、20世紀のドイツ史における運命の日としてよく知られる。皇帝ヴィルヘルム2世が退位し、ドイツの君主制の時代が終焉を迎えた日(1918年)。「水晶の夜」と呼ばれる反ユダヤ主義の深刻な暴動が起きた日(1938年)…
発掘の散歩術(98) – ベルリン王宮「最後の」一般公開の日に –
ルストガルテンのバス停で降りると、行列はシュプレー川を超えて、その先のカール・リープクネヒト通りにまで続いている。その長さにはさすがに驚いた。 8月最後の週末、再建中のベルリン王宮の一般公開が行われた。工事中の様子を市民…
発掘の散歩術(97) – 防空壕跡で体験するフォイエルレ・コレクション –
アレクサンダー広場駅に大分遅れて到着した地下鉄はすでに満員だった。ベルリンの地下鉄の中でも100年以上前に造られたU1とこのU2は車体が狭く、大柄な人たちが乗るとすぐにいっぱいになる。当然冷房などはなく、車内は熱気でムン…
発掘の散歩術(96) -パロヒアル教会のカリヨンの調べ-
アレクサンダー広場から地下鉄のU2に乗ってわずか一駅。クロースターシュトラーセ駅で降りると、時間の感覚が一気に半世紀以上さかのぼったような気がした。駅構内の赤みを帯びた色合いの照明、壁に掲げられた昔の電車やバスのノスタル…
発掘の散歩術(95) -ダーメ川を渡ってケーペニックへ〜公共フェリーで楽しむピクニックコース-
BVG(ベルリン交通局)のインフォメーションセンターに行くと、無料で配布されているパンフレットの中に、「Berlin. Landpartie」というシリーズがある。BVGの路線に乗って行ける郊外へのピクニックコースを紹介…
発掘の散歩術(94) -蘇るポツダム、バルベリーニ美術館を楽しむ-
ベルリンからレギオナルバーンに乗ると、わずか25分でポツダム中央駅に着く。プロイセンの歴史を振り返ると、ベルリンとポツダムは双子のような関係で歩んできたにも関わらず、街の規模も雰囲気も両者はまったくといって良いほど異なる…
発掘の散歩術(93) -フンボルトハインの天空の展望台-
今年は3月末になっても雪が降るなど、いまだ春の気配にはほど遠いベルリンだが、天気の良い日に家族を連れて行ってみたい場所があった。Sバーンのゲズントブルンネン駅にはノルトクロイツ(北の十字)という別称があり、各方面からの鉄…
発掘の散歩術(92) -壁のあった時代と壁のない時代-
テレビのニュースでベルリンの壁の歴史的映像が流れるのは、大抵壁が建設された8月13日(1961年)、そして壁が崩壊した11月9日(1989年)前後と決まっている。ところが、今年は様子が違った。1月末からベルリンの地元のテ…
発掘の散歩術(91) -ヴィルマースドルフが村だったころ-
最近インターネットの古書サイトで1枚の古い絵葉書に出会い、思わず購入した。そこにはゼーバート・ヴィルマースドルフと書かれた湖畔のテラスと隣接した屋外のコンサートホールが細かく描かれ、のんびりくつろぐ人々の様子が伝わってく…
発掘の散歩術(90) -「破壊された都市」の歌劇場がよみがえる-
地下鉄のフランツェージッシェ・シュトラーセ駅から地上に出て、クリスマスのイルミネーションを横目にベーレン通りを東に急ぐ。再オープン以来、自分にとって初めてベルリン国立歌劇場の中に入る待望の夜。ナチス時代に焚書が行われたベ…
発掘の散歩術(89) -リリエンタール兄弟と大空への夢-
新空港の開業問題、テーゲル空港の存続、エアベルリンの破産……。ベルリンの空をめぐる話題は何かと落ち着かず、先行き不透明なものばかりである。今回はそんなゴタゴタから離れて、世界の空の旅の原点とも言える場所を散歩してみたい。…
発掘の散歩術(88) 消えたユダヤ人たちの痕跡をたどって —モアビットの2つの場所—
この原稿を書いているのは10月18日。偶然ではあるが、今回ご紹介する場所の歴史と直に結びついた日付であることにふと気付いた。今からちょうど76年前の1941年10月18日、1251人のユダヤ人を乗せた貨物列車が初めてベル…
発掘の散歩術(87) –第44回ベルリンマラソンで初のフルマラソンに挑む!–
スポーツをすることにほとんど縁がなかった私が、マラソンなどに挑戦してみようと思ったのは、2年前のある出来事が一つのきっかけだった。2015年のベルリンマラソンの確か翌日だったと思う。日本からマラソンに参加するためにやって…
発掘の散歩術(86) –アルト・テーゲルのフンボルト邸を訪ねて–
この8月半ば、久々に地下鉄U6の終点アルト・テーゲルの駅に降り立った。いつもはテーゲル湖の湖畔を目指すのだが、今日は駅から北にしばらく歩くと、森の中へと続く道が出現する。Privat(私有地)と書かれているので一瞬ひるむ…
発掘の散歩術(85) –マルツァーンのゴンドラに乗って IGA2017を楽しむ–
今年のドイツでは、5年に一度カッセルで開催される現代アート展「ドクメンタ」や10年に一度のミュンスターの彫刻プロジェクトが大きな話題を集めている。それらに比べると知名度は劣るかもしれないが、この4月からベルリン東部のマル…
発掘の散歩術(84) –リューデスハイマー広場のワインの泉で–
夏の季節、地下鉄U3のリューデスハイマー広場から地上に出ると、南ドイツから吹き抜けてきたかのような爽やかな風をいつも感じる。まず目に入るのは、広場の一段高い位置に置かれたテラス。ここに上がると、夏の夕方以降、ベンチに座る…
最近のコメント