噴水のあるシュトラウスベルク広場が今回の出発点。この通りを歩いてみようという方は、地下鉄(U5)に乗ってこのStrausberger Platzで降り、そこからフランクフルト門まで駅2つ分を歩くのがおすすめである(距離にして2キロ弱)。では、昨日の夕方撮ってきたばかりの写真をご覧ください。
ベルリン名物のクマさんがここでも迎えてくれる。さて、シュトラウスベルク広場からさらに東に歩くと、それまでとは周りの景観が大分変わってきたのがおわかりいただけるだろうか。後ろにそびえるやたらと威圧的な建物、実は普通に人が住むアパートなのである。社会主義時代のアパートというと、いわゆるPlattenbauと呼ばれる鉄筋コンクリートプレハブ住宅を連想されるかもしれないが、それが主流になるのはもう少し後の時代のこと。戦後直後、時の東ドイツ政府は、この通りが東ベルリンの顔となるべく、国家の威信をかけて「社会主義リアリズム」の理論を追求した。その理論はライバル関係の西ベルリンの都市計画とは、全く対極にあるものだった。
ちなみに、1949年から61年まで、この通りは「スターリン通り」と名付けられていた。
ではこの建物、もう少しそばに寄って見てみよう。
手元にある優れたベルリンのガイド「ベルリン 杉本俊多著 講談社現代新書(廃版)」には、この通りの建築スタイルについてこう触れられている。
「その建築スタイルは、近代的な建築形態を求めながら、伝統的な建築美学からの連続的な発展を意図したものであり、きわめてモニュメンタルな性格のものだった」
「街路に面する各建築は、古典主義的造形手法三層構成を基本とし、それを鉄筋コンクリート造のモダニズム建築スタイルと融合したのだった」
専門的なことはよくわからないが、新しいものを目指しつつ、同時に古典主義の様式も取り入れたということ。なるほど、次の写真に見られるように、ギリシャ神殿風の柱が使われているのはそのためか・・
これがアパートの入り口というのだから、恐れ入る。一体どんな人が住んでいるのだろうと入り口の前に立っていたら、自転車から降りた普通のおねえさんが中に入って行った。
この圧倒的な威圧感。一体中はどうなっているのだろうか。現在このアパート群は、文化財保護地域に指定されている。ちなみに、ここに住んでみたいという方、いらっしゃいますか?
アパートの写真を撮り終え、反対側に渡ろうとしたその時、一台の車がかなりのスピードを上げて私の目の前を通り過ぎようとした。
「あっ、トラバント!」私はすかさずシャッターを押した。
写りはあまりよくないが、そう、これこそが東ドイツ時代の国民車トラバント(Trabant)なのである。当時、乗用車といえばみんなこれに乗っていた。しかし、この時代になってもまだ乗っている人がいるとは、これまた恐れ入る。カール・マルクス通りを走るトラバント、今となっては貴重な組み合わせが拝めて、ちょっと得した気分になったのでした。
2回で終わらせるつもりだったが、カール・マルクス通りは中身が濃い。もう1回続きます!
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あっ、トラバント!ホテルのお姉さんにベルリンのお土産を尋ねたら、バンザイくまさんとトラバントのミニチュアカーを教えてくれました。が、さすがに日本ではBMWかベンツのミニチュアカーでないと喜んでくれないと思いました。
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昨日、「社会主義リアリズム」などという怪しげな用語を口走ってしまいましたが、不適当かもしれません。もしこの通り沿いの建物等に、人物像やオブジェがあれば、それが「社会主義リアリズム芸術」のものであろうかと思われます。マイセン工房で焼かせたという、帝国空軍省跡の世にも下らない壁画なんかが、それじゃないかな(いつかこのブログで取り上げてください)。で、このアパートが"Plattenbau"でないということを知り、驚きました。東独もかなり張り切ってましたね、このころは。
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トラバントはお隣の国ポーランドでもたまに見かけます。トラバントは遭遇率は低いですが、同じ感じで遭遇率が高いのはFiatの126p(通称Maluch)。社会主義時代に乗用車といえばポーランドではこの126pでした。残念ながら現在は生産されていませんが、よく走っています。ドイツではこのFiat126pって走ってますか?ちょっとトラバントの話題から離れてしまいましてすみません。
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カール・マルクス通りって、DDRそのものですね…、普通ガイドブックに載ってない情報で勉強になります。
ところで私トラビ・ファンなんです(笑。ミニカーも幾つか持ってますが、面白い絵葉書を集めています。カード探しはベルリン滞在中の密かな楽しみです。トラビの町、ツヴィッカウにも行きました。(笑
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>415さん
そのホテルのお姉さんの答え、かなりツボをついていますね(笑)。ミニカーでは他に、Polizei(Police)やPostのモデルも意外とかっこよくておすすめです(値段もお手ごろでした)。そういう車がドイツでは普通にベンツだったりします。
>焼きそうせいじさん
シュトラウスブルク広場にマルクスの銅像があって、ここに載せようかどうか迷ったのですが、あれはごく普通のマルクス像という印象でした。他に、かつてこの通りには4メートル80もの高さのスターリン像が構えていたそうですが、非スターリン化の動きにより、1961年に取り壊されています。一体どういう姿形をしていたのでしょうね。教えていただいた壁画というのも興味あります。
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>Punicaさん
お隣ポーランドのクルマ事情ありがとうございます。126pというクルマ、早速ネットで調べてみましたが、私の記憶ではベルリンでは見たことないようです。ポーランドでFiatが主流だったというのは、ちょっと驚きでした。
>hummel_hummelさん
いただいたコメントを読んで、私もトラビのミニカーが欲しくなってしまいました(笑)。今度おもちゃ屋で探してみよう・・
ブログの記事拝見しましたが、ちょうどベルリンに来られていたのですか。「パルジファル」、私は聴けませんでしたが、本当にすばらしかったようですね。次回は、オペラとセットにカール・マルクス通りも是非!