音楽が鳴り響く界隈(2)

作曲家クロード・ドビュッシー(1862-1918)にちなんだ「ドビュッシー通り」(1月14日)
(前回のつづき)
後期ロマン派の音楽家がひしめき合う地区を周り終えたわれわれ3人は、次なる地へと向かった。ベルリン市内の北、SバーンのWilhelmsruhの駅を降りて、15分ほど歩くと目的の地が見えてくる。
先ほどの「後期ロマン派地区」は豪邸ばかりが立ち並んでいたが、こちらはかつての壁に近い場所にある、ごく普通の住宅街のようだ。この界隈には、ドイツ人音楽家だけでなく、比較的現代の音楽家にちなんだ通りが多く並んでいる。それをぜひ見てみたかった。
さて、最初に入ったこの少々うらぶれた雰囲気の通りだが、その名も・・
ベートーヴェン通り・・なのだが、プレートが割られている(-_-#)。かの楽聖が苦悩でうごめいているかのようだ。
時代はいきなり20世紀へ。音楽の革命児、イーゴル・ストラヴィンスキー(1882-1971)登場。「春の祭典」の変拍子が頭の中を駆け巡る。
アントン・ヴェーベルン(1883-1945)とドビュッシーというこの異色の組み合わせにはしびれた。今度はひんやりとした響きがあたりに漂ってくる。こんな通りに住んだら楽しそう(?)。
閑話休題。こんなものまである。その名もアンダンテ通り。
アレグロ(Allegro)通りやプレスト(Presto)通りもないかと思って探したが、それはさすがになかった。スピード出し過ぎで交通事故が多発しそうだ。
この界隈の風景。前回の「後期ロマン派地区」のような歴史と重厚さはないが、ドイツでは珍しく電柱などが立っていたりして(普通は地中に埋まっている)、何となく日本の住宅街を思い出させる親しみがある。
さて、ドビュッシーと並ぶ、近代フランス音楽の大家といえばモーリス・ラベル(1875-1937)。それはいいのだが、ここまで来るとさすがにちょっと遊び過ぎではないだろうか↓
タッタカタ タッタカタ タ タ・・・(ボレロのリズムで)♪
ボレロとラプソディーが熱く交差する。ラベルは「スペイン狂詩曲(Rapsodie espagnole)」というオーケストラ作品を書いているので、おそらくそこから採ったのだと思う。まさか「ラプソディー・イン・ブルー」のことではないだろう。
これでこの地区をほぼ一巡したことになるが、なかなか面白かった。それにしても、普通の住宅地に、どうしてこういう通りの名付け方をするのだろうか。そのことをやはり音楽好きの知り合いの人に話したら、その方はこう言われた。「面白い名前を付けた方が、家がよく売れるからじゃないかな」 シンプルな答えだが、なるほど一理ある。われわれのような物好きが、こういうところで引っかかって家を買っていくのかもしれない。いずれにしろ、無味乾燥な区域の分け方より、楽しいので◎。
見て周りたい場所はもうひとつあったのだが、薄暗くなってきたので日を改めることにした。お付き合いいただいたT君、フンメルさんお疲れ様でした。ベルリンにはまだ興味深い名前の通りがたくさんあるので、機会があったらまたご紹介したいと思う。



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7 Responses

  1. konno
    konno at · Reply

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    Bundesplatzの近くに、Brunnhilde-,Isolde-、Senta-、Kundry-,Elsa-Str.つうのがあります。また、LichterfeldeにBruckner-,Nicolai-,Cornelius-,Humpderdinck-,BrunoWalter-Str.があります。

    Schuleでも、確かLeonard-Bernstein-Schuleなるものがあったと思います。なんでも、意味不明に有名人の名前をつけまくるのは、いかがかと・・・・

  2. hummel_hummel
    hummel_hummel at · Reply

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    ツアー後半は、通り名に反比例して、渋さが増しましたね(笑)。
    私も少し紹介記事を書いたので、TBします。
    また新たなツアー、期待していますね!

  3. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >konnoさん
    ワーグナーの界隈は知っていましたが、BrunoWalter-Strなんてあるんですね。まだご存命の方ですが、Fischer-Dieskau-WegをZehlendorfに発見しました。かのバリトン歌手の生まれはこの地域でしたよね。

    >フンメルさん
    ちょっと渋すぎる企画だったかもしれません(笑)。続編の候補地はいくつかあるのですが、こんなことばっかりやっていると読者が離れていく気もするので、ほどほどにしたいと思います^^;)。

  4. まーどんな
    まーどんな at · Reply

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    始めまして(多分?) 
    渋すぎる企画・・・ 興味深く拝読しました。
    ベルリンの壁跡地域を地図片手に回ると、 通りの表示板の"ß"の文字が東西でビミョウに違っていたのが印象的でした。 

  5. konno
    konno at · Reply

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    引越しを考えている時に、いかした名前の通りのWohnungを探しましたよ。

    F.-D-Wegですか。ドイツでは存命中に、通りの名前を決めることはないようですが、これは特例なのかな?Buelow-Str.ですが、例のビューローなようです。

    StuttgartにはWolfgang-Windgassen-Wegがありましたよ。

  6. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >まーどんなさん
    ようこそいらっしゃいました。はじめまして!なるほど、例えばこの写真だと、「ベートーヴェン通り」の表示板は他のものと文字のスタイルが違いますよね。ちょっと気になる話です。

    >konnoさん
    シェーネベルクのBuelow-Str.ですが、指揮者のビューローではなく、
    Bülow von Dennewitz(1775-1816)という人物だそうです。通り自体も1864年からこの名前なので大分古いですね。こういうことはhttp://www.berlingeschichte.de/Strassen/indexstr.htm で調べられます。

  7. ガーター亭亭主
    ガーター亭亭主 at · Reply

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    (その1)で書き忘れたのですが、トラックバックさせて頂きました。

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