Nordbahnhof付近にて(2005年9月23日)
前回から大分時間が空いてしまいましたが、Nordbahnhof(「北駅」)のお話の続きをしてみたいと思います。70年の前に閉鎖された駅の廃墟がそのまま残っていたり、町の中心部にしては不自然なくらいの空き地が残っていたりするこの不思議な空間については、前回の記事をご参考ください。
空き地の一角にかつての「ベルリンの壁」がそっくり残っている。昨年、たまたま歩いていてこの壁を見つけた時は驚いた。町の中心部に、これだけの長さの壁は他にもうほとんど残っていないからである。
前回書いたように、この敷地には戦前までシチェチン行きの列車が発着するStettiner Bahnhof(シチェチン駅)があった。しかし、戦争で大きく破壊された後、ここが東西ベルリンの境界線と重なったことから1952年に閉鎖されることになる。
1961年に壁ができてからは、地下にあるSバーンのNordbahnhofもその意味を失い、以後30年近く列車が通り過ぎるだけのいわゆるGeisterbahnhof(幽霊駅)と成り果てるのだった。この周辺の不思議な雰囲気の空間は、以上のような過程でできあがったのである。
こちらは東側。この壁の向こう側はTodesstreifen(死の危険のある立ち入り禁止地帯)になっていた。冒頭の写真に写っている壁の左側がそれである。今はどうなっているのだろうと思い、壁の隙間を抜けて中に入ってみた。
かつては長距離列車の駅だった場所ゆえ、とても広く、一部このようにレールが残っている。今となっては文化財となった「壁」の残る場所だけに、この敷地は公園として再開発される見込みのようだ。
下を覗くと、現在のSバーンの線路の横に、使われなくなったレールが並んでいる。いつの時代のものだろう。
ここまでの写真は、昨年の9月から10月にかけて撮ったものである。
さて、今月初頭、久々にNordbahnhofの駅に降り立ってみると、変化が訪れていた。この空き地に新しい広場を作るらしく、その工事が始まっていた。
何といっても今注目されるのは、この駅に新しいトラムが延びて来ることだろう。Eberswalder Straßeから、かつての壁に沿って1,75キロ西に延長される新しい路線は、奇しくもベルリン中央駅と同じ日、5月28日に開通する。つまりちょうど一週間後だ。かれこれ60年近く時間が止まったままだったこの場所に、変化の兆しが訪れているのを私は感じた。
Gartenstraßeに沿って続く、レンガ造りの古い壁。これは、シチェチン駅が完成した当初の1895年に、通りと駅の敷地とを分ける壁として作られたものである。場所が場所だったゆえ、1961年からは奇しくも東西を隔てる壁としての機能を担うことになった。こちらは西側。
壁の前は、ビーチバレーの競技場に。
これは、Nordbahnhofから東へと続く有名なベルナウアー通り(Bernauer Straße)。まさにここがかつての東西の境界線だった。画面右手奥に見えるのも壁の遺構で、この少し先には壁記念館がある。
奥から手前へと延びるトラムは、その後さらに西へと拡張され、2009年にはベルリン中央駅にまで達する計画だという。
この線路の先に、ベルリンの未来がある。
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お久しぶりです。Nordbahnhofに壁がこんなにも残ってるんですね!!知りませんでした…。あまり行く機会はないですが、こんどぶらっと散歩してみたくなりました。
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今朝、ZIP-FMでベルリン在住の人が出演していました。
またマサトさんもラジオ出演してくださいね!
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>sachiさん
こんにちは!Nordbahnhof、私もそれまではSバーンで通過するだけで、こんな場所だったと知ったのはつい1年前のことです。面白いものは意外と身近な場所にころがっているのですね。
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>pichininiさん
へ~そうなんですか。ラジオ出演、なかなか楽しかったので、また機会があったらとは思っています。しゃべるより書くほうが気は楽ですが(笑)。
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マサトさん、こんにちは!
上の写真を見てビックリ!
壁記念館に向かってのこの道を去年歩いた時は
工事中で雑多な感じだったのに
あの工事がトラムの工事で、それでもって
こんなにキレイになってしまったとは、本当にオドロキです!
工事のおじちゃんたちの邪魔にならないように
あっちに行ったりこっちに行ったりと歩いたのが懐かしい!
さて、前回このあたりのアパートがちょっとブルジョア・・・と
書いたのは、マサトさんの上の私が懐かしがっている
写真の左に屋根のあたりだけ見えるアパートのことです。
壁記念館の並びの。
ブルジョア・・・と書くと大げさなんですけど。
集合住宅にしては一階が日光の良くあたる食堂のようにも見え
なんだろうーと思ったものでした。
しかし、懐かしい!
疑問に思いながら通った通りの謎がとけるなんて嬉しい限り。
マサトさんのブログには興奮しっぱなしです。
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はじめまして。
2004年夏にベルリンに行った際、フリードリヒシュトラーセからゲスントブルンネンまでSバーンに乗りました。その時、地下から地上に出て辺りで車窓に木立の中に線路が隠れている状態に、時が止っているかのように感じました。
以来、疑問だったシュテチン駅跡ですが、こんな風になっていたのですね。最近はgoogleのサテライトで、容易にわかったりもするのですが、やはり普通の目線で見ると全く違います。
他の消えたターミナル、ゲルリッツ駅や旧北駅なども気になるところです。
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トラムの情報有り難うございます.そうすると初代北駅の Mauer Park の下も通る訳ですね.
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>しゅりさん
こんにちは!しゅりさんもこの辺りを探索されたんですね。興味深く読んでいただけたようでうれしいです。7月にベルリンに戻ったら、この場所はまた訪れたいと思っています。
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>hiro_hrkzさん
はじめまして!
>地下から地上に出て辺りで車窓に木立の中に線路が隠れている状態
Nordbahnhofから地上に出た時の風景は独特ですよね。hiro_hrkzさんのベルリン旅行記、とても興味深く拝見しました。Lahnsdorfのトラムは私も一度乗ってみたいと思っていました。ゲルリッツ駅跡のこともいつかお伝えできるかもしれません。これからもどうぞよろしく!
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>Kamanoさん
>初代北駅の Mauer Park の下も通る訳ですね.
そういうことだと思います。