旧フィルハーモニー(Alte Philharmonie)へ続く道
(Bernburger Straßeにて、 4月18日)
HMVのホームページで最近知ったところによると、ベルリン・フィルが9月に自主制作CDを発売するらしい。全部で12タイトルからなる『IM TAKT DER ZEIT(時代のタクト)』というこのシリーズ、ラインナップを眺めてみると興味深いものばかりなので、ここで少しご紹介してみたい。
年代別に並べてみると、例えば1963年新フィルハーモニーのこけら落としのコンサートでカラヤンが指揮したベートーヴェンの第9。現在の音楽監督のラトルが1987年にベルリン・フィルのデビューで振ったマーラーの6番。1989年11月12日、つまり壁崩壊の3日後に東独市民を無料で招待して行われたコンサート(バレンボイム指揮)など、このオーケストラにとって、あるいはベルリンという都市にとっても歴史的な意味合いの強いライブ録音が多いのが特徴といえる。また、ラトルの前任者のクラウディオ・アバドはモーツァルトの「ハフナー・セレナード」(1996年)、大御所のクルト・ザンデルリンクはショスタコーヴィッチの交響曲15番(1999年)と、こちらも注目度が高い。一番新しい録音はアーノンクールがバッハの管弦楽組曲などを振ったプログラム(2002年)で、これは私も会場で聴くことができたのでまだ記憶に新しい。
逆に古い録音も少なくない。戦中・戦後のフルトヴェングラーやチェリビダッケあたりまではこのようなシリーズに収められるのも想像が付くが、さらに古いものもある。例えばエーリヒ・クライバー(1930-35年)、ホーレンシュタイン指揮のブルックナー(1928年)、アルトゥール・ニキシュ(1920年)と続いて、一番古い音源はアルフレート・ヘルツという人が指揮したワーグナーの「パルジファル」組曲、録音はなんと1913年というから驚く。一体どんな響きがするのだろう。
こうして見てみると、この『IM TAKT DER ZEIT』はベルリンの20世紀の音楽史という観点からも興味深いシリーズだと思う。ちなみに冒頭の写真はポツダム広場からほど近いBernburger Straßeの一角で撮ったもの。1882年から1944年に連合軍の爆撃によって破壊されるまで、旧フィルハーモニーがここにあった。これらのCDを聴きながら、往年の名ホールの響きに思いを馳せるのも悪くなさそうだ。
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今回紹介されたCDのラインナップですが、あまりクラシックに強くない私にもとても興味が持てました。これから始まる秋の夜長に聴いてみるのも素敵ですね。さて、先日モンサンミッシェルに行ってきました。あのおみやげ屋の多さに驚いた。なんか江ノ島行ったみたいでした。
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19年前の秋の晩、イギリスから来たチリチリ頭のお兄ちゃんがベルリンフィルの猛者連を相手に立ち回った演奏会を、昨日のことのように覚えています。あのマーラーの6番の録音が出るのですね。感無量です。まだまだ録音はどっさりあるはずです。今後にも期待。
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>ヒッシーさん
お久しぶりです!今回ご紹介したCDは秋の夜長にもいいと思いますよ。時には古いモノラル録音で聴く音楽というのも、味があっていいのではないかな。
モンサンミッシェル!写真で見たことがあるだけですが、すごくインパクトがありましたね。それだけに観光客は多いのでしょうね。「江ノ島みたい」というのが何だかおかしいです。
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>焼きそうせいじさん
前にもお話聞きましたが、焼きそうせいじさんはラトルのベルリン・フィルデビューをライブで体験されているのですよね。すごい!写真を見てもそうですが、あの頃のラトルはまさに「もじゃもじゃ頭のお兄ちゃん」という風貌ですよね。一体どういう演奏を展開したのか、ぜひ聴いてみたいところです。こういう貴重なライブ録音はこれからも少しづつ出てくるはずですから、気長に待つことにしましょう。
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すげぇ。ラインナップも去る事ながら、これをグラモフォンなんかが出すのではなくて、自主制作するところにものすごい意義を感じます。
音楽レーベルの存在って・・・。今やアマチュアも 自主制作できるほど、いろんなツールがある時代。CDのあり方が音楽界を変えていると感じました。
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>あっきんさん
コメントありがとうございます!しばらく前から、ロンドン響の自主制作CDをCD屋でよく見かけるようになりました。ラインナップに独自色が感じられ、かつ安価なのが魅力です。ベルリン・フィルまでこういう試みを始めたことで、メジャーレーベルの存在意義が問われることにもなっていくのかもしれませんね。