国境の橋 - 天使の降りた場所(15) –

しばらく間が空いてしまいましたが、ヴィム・ヴェンダース監督の「ベルリン・天使の詩」の舞台を巡り歩くシリーズを再開したいと思います。予定ではあと残り7回。写真はとうの昔にほぼ撮り終えているので、何とか今年中に完結させたいところです。
今回の舞台はノイケルンにあるLohmühlenbrückeという名の橋。ラントヴェーア運河とノイケルン運河の2つが合流する地点のたもとに位置する橋で、東西分断時代はこの運河に沿って国境が敷かれ、この写真でもわかるように橋を渡り終えたところで壁がそびえたっていた。
今年の7月半ばのある日、私は自転車に乗ってこの付近を散策した。Lohmühlenbrückeに来るのは初めてのことで、私は映画に使われた場所に立ってみた。当然のことながら、壁は取り払われ、正面のアパートも真新しいものに建て替えられ、橋の周辺は20年前に比べて大きく変貌していた。映画を通して伝わってきた、あの当時の重苦しい雰囲気はもう微塵も感じられない。
しかし、冬と夏という違いはあっても、ノイケルン運河方面の眺望はほとんど変わっていないことがわかる。画面左岸が当時は東ベルリンだった。
これは橋の反対側。天使ダミアンの向こうに見える少々みすぼらしいアパートに注目していただきたい。
そのアパートは20年後も同じ場所に立っていた!
ベルリン広しといえどもこんなボロいアパートはあまり見たことがないけれど、とにかく今もちゃんと人が住んでいるようだった。壁があった時代、このアパートの上の階からは、橋を隔てた西ベルリンがすぐ手の届く位置に見えたはずだ。
この前に立つと、いろいろなことが想像されてくる。
せっかくここまで来たので、橋を越えて旧東側を自転車で走った。しばらくすると、レンガ造りの古めかしい橋にぶつかった。明らかに鉄道の橋である。
これは一体何だろう?
地図を広げてみてすぐに謎が解けた。この橋の先に行くとゲルリッツ公園(Görlitzer Park)にぶつかる。現在は公園だが、戦前まではゲルリッツ方面に向かう鉄道の駅だった。この橋は駅を出た列車が最初に渡る橋だったのである。戦後この橋の下の川が東西の境界線となったため、この橋と廃線跡も廃墟として残ったのだろう。
戦前まで鉄道が走っていた敷地は、現在歩道になっている。私はその道に沿って自転車を飛ばしてみたが、今にも向こうから蒸気機関車が煙を上げてやって来そうな気がしてならなかった。
ちょっとした散歩のつもりが、時空を超えた旅になってしまうことがベルリンではよくある。

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2 Responses

  1. shinno
    shinno at · Reply

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    おお、時空を越えた旅、素晴らしいですねぇ。
    しかし、まさとさんはおれが全然知らないベルリンをこんなにまで極めていて、つくづく自分の知ってるとこって狭いなぁ、って思っちゃいます。

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >shinnoさん
    昨日のマーラー、どうでしたか?

    今回ご紹介した場所は、僕もこの夏初めて来たんです。
    ラントヴェーア運河に沿っての道が遊歩道になっていて、散歩するには最高でしたよ。おすすめです。

    ベルリンは本当に奥が深くて、自分の知らない場所がまだまだごっそりあります。しかし、外が寒いとなかなか歩いて回る気になれません(笑)

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