Das Konzentrationslager Auschwitz-Birkenau (07.11.17)
クラクフから約2時間、友人の運転する車が止まったのは、オシフィエンチム駅を越えたところにあるアウシュヴィッツⅡ(ビルケナウ)の前だった。友人のヒロくんが言うには、最初ビルケナウにやって来たのは「全くの偶然」らしいのだが、こちらから回れてよかったと後から思った。
アウシュヴィッツには鉄道の線路を挟んでⅠとⅡの2つの収容所があり、1940年に最初に作られたⅠは現在国立のミュージアムになっている。ミュージアムの方はよくも悪くも観光地化されており、観光バスの流れが絶えることがない。団体ツアーによっては、時間節約のためミュージアムだけを見て次の目的地へ向かうこともあるのかもしれない。だが、人類史上類を見ない「殺人工場」アウシュヴィッツのはかり知れないスケールを実感するには、やはりビルケナウ(ブジェジンカ村)に来ることが必須なのだと思う。それにミュージアムを一巡するのは相当精神的に疲れるので、そういう意味でも最初にビルケナウを訪れるのは賢明かもしれない(特に冬の季節は)。
通称「死の門」と言われる入り口の監視塔は戦後再建されたもの。ユダヤ人を乗せたヨーロッパ中からの列車は、この1本のレールを通って中へと入って行った。
アウシュヴィッツについてはもはやあまりに多くのことが語られてきたし、私が1日見て回っただけで伝えられることも限られている。そこで、せっかく写真という手段があるので、今回はビルケナウの空間のスケール感をお伝えできたらと思う。これが監視塔からの正面方向の眺め(西側にあたる)。ビルケナウ収容所の面積は約175ヘクタール(約53万坪)あり(東京ドームの約37個分だとか)、ピーク時の1944年8月には囚人の数は男女合わせて10万人に達したという。この向こう側に、あのガス室があった。
こちらがその右側(方角では北になる)で、B-Ⅱと言われる区域になる。地平線が見えるほどの広さだ。ビルケナウにはかつて全部で300棟以上のバラックがあったというが、現在残っているのはそのうちの一部に過ぎない。
B-Ⅱのいくつかのバラックに入ってみた。これはどうやら便所のようだ。こんな天気だったこともあり、寒さが一層身に沁みる。今回は友人と一緒だったのでよかったが、1人で回らなければならないとしたら精神的にも相当堪えただろうと思う。
ふと上を見ると、ドイツ語で”Sauberkeit ist Gesundheit”(清潔は健康)という恐ろしい「標語」のようなものが書かれている。ちなみに、アウシュヴィッツ内の説明文は英語、ポーランド語、ヘブライ語で書かれており、ドイツ語は一切見られない。
こちらが塔の左側(南側)。右手奥に見えるのがB-Ⅰと呼ばれる区域で、ビルケナウの強制収容所はそれまでここに住んでいた農民を追い出し、B-ⅠからB-Ⅱへと向かっていく形で建設された。もちろん強制労働によって。
監視塔からガス室のある正面へ真っ直ぐに歩いて行くと、線路がここで途切れる。その向こうに先ほどの監視塔がかすかに見えるのがおわかりいただけるだろうか。監視塔からここまでの徒歩での所要時間は、何度か迂回したとはいえ約25分もかかっている。この途方もないスケールは、やはりあの場に身を置いてみないとわからないのかもしれない。
(つづく)
参考:
国立オシフィエンチム博物館日本語版パンフレット
「アウシュヴィッツ博物館案内」(中谷剛著)凱風社
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はじめまして。
ありがとうございます。一度はアウシュビッツを訪れたいと思っています。写真からでさえ、絶たれてしまった生命の生々しい臭いが感じられるように思います。それが寒々とした空の下で凍結され冷笑されているような感じも受けます。恐ろしいけれど直視しなければいけないことですね。
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はじめまして。
4年前に私も行きました。
実は、アウシュビッツを先に行ったのですが、
何も感じることができませんでした。
遺品の数々を見てもガス室に入っても全く何も感じませんでした。
が、次にビルケナウに行って、あの広大な土地を見た瞬間、
胸が痛くなりました。
きっとアウシュビッツは、展示室などで”人の手”が加わってしまって、
ただの、と言ってしまば語弊になりますが、
展示品を見た感覚になってしまったのだと思います。
アンネフランクの家に行った時も
確かそんな感情しか持てませんでした。
ところが、あの、手付かずのビルケナウを見た瞬間、
言いようのない何かで胸がいっぱいになりました。
訪れてよかったと思っています。
余談ですが、アウシュビッツでこけて手首に擦り傷を作ってしまいました。
その時、かなり派手に転んだものの所詮擦り傷、
消毒・抗生剤入りの薬を持参していて、すぐに応急処置したのに、
完治するまでに1ヶ月かかりました。
(ずっと化膿し続けました。)
今でもあそこの土壌には毒ガスの残り?か何かがあったのでは・・・と
疑っている私です。
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マサトさん、こんにちは。
富山も今日は大雪の注意報が出ています。
雪が降る直前の寒さの中で
このビルケナウの写真が迫ってきて身も心も震えております。
一度はアウシュビッツ、ビルケナウを訪れたいと
思っていますが、確かに精神的にかなり堪えそうです。
この広さに、歴史に押し潰されそうな気がします。
ベルリンに行き、それもドイツにおけるユダヤ人の歴史に
興味を持っていながら、いまだザクセンハウゼンに行けない
私なのです。
それでは続きを楽しみにしています。
今年はいろいろお世話になりました。
ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
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>alexさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
アウシュヴィッツを訪れて人生観が変わったかどうか、それはわかりませんが、少なくとも行ってよかったとは思っています。あの場に身を置いてみたことは、今後物の見方や感じ方に何らかの影響を及ぼすかもしれません。
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>solairさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
私とは訪れた順番が逆だったようですが、おっしゃっている「感覚」のようなものは、とてもわかる気がします。続きの記事で書いたように、”人の手”が加わっている「ミュージアム」と1945年から時の流れが止まったままのビルケナウとは、受ける印象が大きく違いますよね。やはり両方訪れるべきなのでしょう。ビルケナウはこういう形で残してくれてよかったと思います。
アウシュヴィッツの擦り傷のエピソード、「まさか」と思いつつも、笑えない話ですね。
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>しゅりさん
こんにちは。富山は大雪ですか。厳しい寒さだとは思いますが、どうぞよいお年をお迎えください。しゅりさんからは、今年も味のあるコメントをたくさんいただきましたね。2008年もどうぞよろしくお願いします。
ザクセンハウゼンは、私も今年2月になって初めて訪れました。機会があったらそちらの様子もアップしたいと思います。