昨日、2008年最初のコンサートを聴いて来ました。エリアフ・インバル指揮のコンツェルトハウス管弦楽団で、メインがショスタコーヴィチの交響曲第11番「1905年」というプログラムです。タイトルから想像がつく通り、1905年の「血の日曜日事件」を情景的に生々しく描いた作品で、正直「年明けからケッタイな音楽をやるなあ」と半ば重い腰を上げて聴きに出かけたのでした。
ところがこれがとんでもなかった!希代の熱演といえるものでした。弦のトレモロは常にいきり立っていましたし、金管は咆哮、木管はところどころで慰めに満ちた歌を聴かせてくれ(4楽章のコールアングレの深い歌は特に印象的でした)、総勢5人以上の打楽器の迫力については言うに及ばず。インバルの一振りで、ホールが横揺れするくらいぐわーっと鳴ります。それも恐ろしいほどの切実感を伴って!指揮がインバルだからか、それともオケが(若いメンバーもたくさん加わっているとはいえ)旧東のオケだからでしょうか。とにかく、ショスタコの音楽を聴いてこうも圧倒されたのは自分でも他に思い浮かばないほどです。
家に帰ってプログラムを見てびっくりしました。あれほど燃焼度の高い演奏が、実は3日間のプログラムの初日だったのです。あんな演奏をあと2回もしたら、どうかなってしまうのではと心配になります。音楽家というのは大変な職業なんだなーと思いました^^;)。聴いているだけでもあれほどクタクタになったのに。
2008年の最初のコンサートがショスタコの11番で始まったというのは、自分に何かを暗示しているような気がします。過去、そして今世界で起こっている苛酷な現実に目を背けてはならない、ということでしょうか。いいことばかりでは決してないこの人間世界に立ち向かっていこうという悲壮な決心、といったら大げさですが(笑)、少なくとも正月明けののんびりムードは一気に吹き飛んだような気がしました。
Konzerthausorchester Berlin
Eliahu Inbal
Jing Zhao Violoncello
Ernest Bloch “Schelomo” – Hebräische Rhapsodie für Violoncello und Orchester
Dmitri Schostakowitsch Sinfonie Nr. 11 g-Moll op. 103 (“Das Jahr 1905”)
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インバルの指揮で私は2002年の秋にやはりベルリンのコンツェルトハウスでショスターヴチの5番を聴きましたが、それも忘れがたい名演でした。インバルの的確な指示でオケは余裕を持って細部まで鳴っていましたし、「証言」というやっかいな問題(ご存知ですよね?)などとは無関係に、あの演奏は純音楽的にも実に見事な演奏でした。
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インバル指揮のショスタコーヴィチは、おそらく脱「証言」後の演奏としては典型的なものでしょう。音を全て開示して、最後は聴衆に判断を委ねた….私にはそういうようにも聴こえました。
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まさとさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします!
いつもいつも楽しいブログをどうもありがとう!
ショスタコ・・大好きです。以前に、ショスタコの友人だったという、バルシャイさんがオケを振りに来られたときものすごく感銘を受けました。戦争の情景が浮かびました。ついでに、カルテットのレッスンもしてもらいました(もちろん、ショスタコ)ドイツ語でしたし、その頃はあんまりドイツ語が出来なくって全てを理解できなかったのが残念でした・・・。
この間、ランチコンサートでお見かけしましたよ~!私は息子と、Sacmacちゃんと上で聴いていましたよ!
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昨秋、日比谷公会堂で、井上道義マエストロによるショスタコ全15交響曲のプロジェクトがあり、3回聴きに行きました。それぞれ、ザンクトペテルブルグ交響楽団、広島交響楽団、名古屋交響楽団によるもので、都合6曲聞いたわけですが、その中に、11番も入っていました。普段、ショスタコなど聞くことのない愚亭ですが、とても魅入られました。とりわけ11番はよかったですよ。まったく同じ感想を持ちましたね。
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寒中お見舞い申しあげます。
一番年初めのコンサートが素晴らしいもので、よかったですね。これもマサトさんの日ごろの行いの良さからきているのでしょう!
いい事ばかりではないけれど、災いも転じて福となりますから、今年がマサトさんにとってよい1年でありますよう、日本より祈念しております。
今年もよろしくお願いいたします。
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はじめまして。いつも興味深く楽しく拝見させていただいていますが、コメントを残すのは今回が初めてです。
マエストロ・インバルのショスタコ11番、2006年11月にオケは東京都交響楽団で聴きました。前半は同じくブロッホだったんですよ(シェロモではなく、ヴィオラと管弦楽のための組曲)。
この時もとてつもなく凄まじい演奏が繰り広げられました。今でもずっと忘れられません。彼はマーラーが代名詞のようになっていますが、これからショスタコも聴いてみたいと思いました。
というのも、4月から都響のプリンシパル・コンダクターに就任するので、とても期待しています。オケとの相性も良く、都響の素晴らしい演奏技術を更に高めてくれそうです。4月の就任披露公演は、マーラー(千人の交響曲)です。
来月、約3年振りに大好きなベルリンを訪れます。また随分変わったんだろうなぁと、ぶらぶら歩くのを楽しみにしているところです!
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>la_vera_storiaさん
「証言」は中公文庫から出ているようですが、私はまだちゃんと読んだことはないので、恥ずかしながら詳しいことは知らないのです。
>音を全て開示して、最後は聴衆に判断を委ねた
なるほど。「音を全て開示」という演奏であったことは確かです。ショスタコーヴィチの演奏を考えるには、政治的な背景を知ることがとりわけ重要なのですね。またいろいろご教示ください。
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>Pukuさん
遅ればせながら、今年もどうぞよろしくお願いします!
>バルシャイさんがオケを振りに来られたとき
それは貴重な体験でしたね!僕が持っている交響曲全集はバルシャイ指揮なので、とても馴染みがある名前です。ショスタコのカルテットもいいですよね。これからじっくり聴き込んでいきたいジャンルです。
>私は息子と、Sacmacちゃんと上で聴いていましたよ!
Sacmacさんから聞きました。また今度ゆっくりお会いしましょう!
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>grappa-teiさん
>井上道義マエストロによるショスタコ全15交響曲
grappa-teiさんのブログでもその様子は拝見していました。12番と並べて演奏したところがすごいですよね。こういうあまりお金がかかっていなそうだけど意欲的なプロジェクトは今後も続けてほしいです。
今年もどうぞよろしくお願いします!
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>Kaninchenさん
寒中見舞いありがとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
>いい事ばかりではないけれど、災いも転じて福となりますから、
なるほど。そのお言葉を信じたいと思います(笑)。お互い、仕事も充実したいい年になるといいですね!
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>pmd_imaさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
インバルは都響でも11番を取り上げていたのですか。やはりホールを揺るがすような演奏だったようですね。ここでは触れなかった前半のシェロモもよかったのですが、やはりあの11番を聴いた後だと印象が薄れてしまった感は否めません。都響との今後は大変楽しみですね。