「ドイツの街にコンビニがあったら・・・」
私を含めドイツに長く滞在したことのある人なら、誰もが一度は抱く感想ではないでしょうか。ドイツと日本の買い物事情は、実はかなり違うのです。
ドイツの商店の営業時間は、長らく「閉店法(Ladenschlussgesetz)」という法律に支配されてきました。細かな規則は州によって違うのですが、その法律はいまも生きています。店員の休みを守るために定められた閉店法のそもそもの歴史は、100年以上昔にさかのぼるというから驚きです。このため、ドイツのスーパーやデパートの営業時間は、平日は18時半、土曜日は14時までというのが長い間不動の原則だったのです。現在でも日曜日や深夜も営業しているのは、大きな駅やガソリンスタンドの売店などごく一部に限られています。日曜日に買い物ができないなんて、日本では考えられないことですよね。
しかし、時代の流れとともに、この閉店法も少しずつ緩和されるようになってきました。営業時間の拡大は消費者に便利なだけでなく、不況にあえぐベルリンのような街にとっては有効な雇用対策につながるからです。
この8月、ベルリンのヴィルマースドルフ地区のスーパー「ライヒェルト」(Reichelt, Berliner Straße 24-25)が平日の24時間営業(土曜は23時まで)に踏み切ったのは、まさに画期的ともいえる出来事でした。
先日その様子を覗いてきました。入り口にセキュリティーの警備員が立っていたのには、ちょっとびっくりしましたが、平日の23時という時間帯にしてはかなり多くの人が訪れていて、昼間と違い行列もなく買い物はスムーズに済みました。これは便利です!
「ライヒェルト」の試みはまだ実験段階のようですが、ドイツの消費生活も確実に変わりつつあるのを実感しました。
(はまかぜ新聞 2007年9月No.541)
ここしばらくブログをゆっくり書く暇がなかなか取れないので^^;)、昨年「はまかぜ新聞」に書いた記事を転載してみました。
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まさとさん、こんばんは!
「そろそろできるらしい」という噂を耳にしたくらいだったので、
詳しいことお教え頂けて嬉しいです!行ってみます!!!
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『休むときはみんな休む』『家族との時間を大切にする』ドイツは、日本よりずっと人間らしい生活をしているのではないか、と思ってきました。
休日営業しているということは、休日働かなければならない人がいる。。ということで、なんだか微妙な気持ちですが、嬉しい試みですね。
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こんばんわお久しぶりです。
Stuttgartにもトルコ系のスーパー(というよりも売店)で24時間営業ができ始めてます。まだ普通のスーパーとはいきませんが、ガソリンスタンドの売店以外にも徐々に買い物が便利になってきてます。でも結局ドイツ人にはそんなに必要ないのかもしれませんね。ベルリンでは遊ぶところや遅くまで仕事をしているところが多いのでいいですが、Stuttgartでは限られたところ以外は寝静まっているんで。
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しかもこれは、うち近所のスーパーなので毎日のように通っています。が、実を言うと、20時以降はほとんど行っていません。しかしいつでも行けると思うだけに安心しますね。
セキュリティーは、本来は警備対策をあまりとっていなかったスーパーに対する深夜の強盗が多発したため、必要のようです(上述のスーパーは大丈夫でしたが)。
では、ちょっとupdateですが、最近ライヒェルトは2店舗目で24時間営業を始めました。場所はベルリン南部のLankwitz地区です。
また、「閉店法」は、連邦法令であって、2006年7月には営業時間に関す法令は各州が定めることになりました。よって各州がそれぞれの法令を施行したと共に、「閉店法」は存在を終えました。
今は多くの州では「6×24」(6日間24時間)または「5×24」(+土曜日20時まで)というルール当てはまりす。その各州の新しい法令の名は、やはり「開店法」と変わりました。ただし、カトリック教会の影響力が強い南及び西のBayern, Rheinland-Pfalz, Saarland州では規制がまだ比較的厳しいです。
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とうとう、24時間営業のスーパーですか!
最近は22時まで開いてたりして、凄く便利になったと思っていましたが、更に進歩ですね。
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雇用を生み出すという意味でも良いことですね。でもちょっと寂しいかも、、、開いていないのが普通という感じですから(笑)
あとは、治安がよければ是非利用したいですね。
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あけましておめでとうございます。
ご無沙汰しておりました。
ついに24時間営業の店!
うーむ。ドイツも変わったなあ。
去年の冬にボンのデパートに「9時まで営業」と書いてあるの見てビビッたんだけど、ついに24時間営業のスーパー登場か。
こりゃコンビニができるのも時間の問題かもしれませんな。
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「はまかぜ新聞」、実家では配布されていますよ…なんてローカルネタに
反応してしまいました。
経緯は単純ではないと思いますが、
日常サイクルを変化させることで雇用創出する余地があるというのは
成熟した考え方だなぁ…と思いました。
本当は"夜は休む"って発想は魅力的だし、環境にも良いんだろうけど…
日本の地方都市などはハコモノ建造に頼りがちですから。(^^;
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バタバタと音を立てて閉まる土曜日の正午が忘れられません。深夜に働く人は所得税率が優遇されるでしょうから、やはり日本よりいいのでは?
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立場によって評価が分かれそうな難しいテーマですね。1/7に掲載された朝日新聞の「地球温暖化」に関する世論調査によると、「深夜営業なくてもがまんできるか」という問いに対して83%の人が「がまんできる」と答えています。そろそろ、「二酸化炭素排出削減がうまくいっているドイツを見習わねば・・・」という雰囲気になるのかなと思いましたが・・・。日本での24時間営業店は1975年のローソンが最初らしいですが、その後の急増ぶりは大変なスピードだったので、ドイツの情報から目が離せませんね。
しかし、昨年のクリスマスイヴに、ドレスデン(クロイツ、フラウエン両教会での素晴らしい音楽を堪能したあと)の駅で簡単に夕食を済ませるつもりが、お店が一軒も開いておらずびっくり!!「コンビニでもあればなぁ」と思ってしまいました。(ベルリンに帰るブダペスト発の列車内の食堂車で、美味しいグヤーシュを食べることができたのは幸いでした。)
家族で過ごすドイツのクリスマス、数十年前の日本の元旦みたいでいいですが、便利な生活に慣れてしまうと、いざというときの不便さは否めませんね。しかし、さすがにドイツではクリスマスに24時間営業はないでしょう。
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>にわやまさん
9月に1度行って以来足を運んでいないので、今度様子を教えてくださいね。あのセキュリティーの人たちはまだ立っているのかしら。
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>Tilさん
> 休日営業しているということは、休日働かなければならない人がいる
そうですね。昔コンビニで深夜バイトをしていた私としては、ドイツで深夜や休日に働く場合の待遇は気になります。
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>sueshin114さん
へー、シュトゥットガルトにも24時間営業の店があるんですか!ベルリンではSpätkaufの小さな店は以前からありますが、やはりスーパーへの飛躍は大きいです。おっしゃる通り、ベルリンのような大都会だと深夜に活動している人が少なくないので、需要は高いと思います。
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>キートスさん
補足説明をありがとうございます!
セキュリティーのこと、2軒目が最近できたこと、閉店法がすでに役目を終えていたことなどを知れて、大変ためになりました。「閉店法」という名前の法令は、結局はまだあるのですね。
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>鮭さん
僕の近所のスーパーも、最近は平日24時まで営業するようになって、いつでも行けると思うと気分的にも大変楽です。
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>Kaorintanさん
ドイツも変わりつつあるということでしょうね。
>治安がよければ是非利用したいですね。
入り口にセキュリティーが2人立っていたのもそのためでしょう。5人組ぐらいの若者集団は、すぐに中には入れてもらえませんでした。
今年もどうぞよろしくお願いします。
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>ymzkさん
ドイツにコンビニがすぐにできるとは思えませんが、昨年訪れたコペンハーゲンにはセブンイレブンが至るところにありましたからね。ドイツだって、これからどうなるかわかりませんよ。今年もどうぞよろしく!
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>snowy_goodthingsさん
「はまかぜ」をご存知ということは、実家が神奈川の方でしょうか。コメントありがとうございます。
>日常サイクルを変化させることで雇用創出する余地があるというのは
ドイツにしては柔軟な試みだなあと思います。とはいえ、まだ実験段階なので今後の動きが注目されます。
馬場下の「三朝庵」の写真は懐かしいです。実は一度も中で食べたことはないのですが・・・
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>gramophonさん
閉店法が緩和されたのは96年頃ですから、gramophonさんがこちらにいらした頃はまだがちがちだったのでしょうね。閉店1分前に店に行ったら、目の前でシャッターを下ろされたり、とか(笑)。
>深夜に働く人は所得税率が優遇されるでしょうから、
やはりそうですか。でも、深夜のバイトはやはりキツかったなーと思い出します。
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>bachさん
皆さんからいただいたコメントを読んで、ドイツで24時間営業のスーパーが登場したことに驚いた方は少なくないようです。ドイツでは最近、環境に関する新しい政策を次々に打ち出しているので、今後それらとの兼ね合いも気になりますね。
>家族で過ごすドイツのクリスマス、数十年前の日本の元旦みたいで
さすがにこれは今後も変わらないのではないでしょうか。旅行者にとっては受難の日、ですよね(笑)。
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皆さまのコメントも様々で興味深いです。私は雇用の問題よりもグローバル経済化と生活環境の低下を重視します。共同仕入れのない零細の商店などは駆逐され、ますます消費の質が低下することが予想されます。
また夜間の労働人口を激増させる一因になるのは必至で、その結果、一律に生活環境の悪化は避けられません。
「アンチクリスト」とするうちはまだ反対運動は本格化しませんが、「対グローバライズ」、「環境・資源保護」、「脱大量消費社会」を掲げる事で、営業時間規制はドイツ国内のみならず英国を含むEU内で再び厳しくなる可能性はあると予想します。
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世界で今後も変わらないと思われることは、「人と物の流れは止まらない」ということです。負の要素は認めつつ、グローバル化は不可避でしょう。特に日本、欧州においては人材、雇用の流動性がより拡大するでしょう。なにしろ人間は飯を食っていかねばなりませんからね。 そういう中で商店の営業時間は、よりflexibleな設定になるだろうと思います。それは企業における勤務時間などと同様、従来通りの店、夕方から深夜まで営業する店、いろいろなパターンが出現するかもしれません。 そうしてみますと、今後、紆余曲折はあれ欧州においても従来の「閉店法」の状態に逆戻りすることは考えにくいと思われます。環境負荷削減のある程度レベル以上の達成は、より「効率化」された社会を作るという前向きの姿勢によってのみ達成可能と思われます。ライバル企業同士がlogisticsを共有化して、運送のためのトラック運行台数を削減するとかはその一例です。
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「24時間スーパーが雇用を創出する」という問題は.....実はこれは一筋縄ではいきません。以下の2つのレポートを読んでみて下さい。 これは一つの見方にしかすぎず、私には賛成し難い部分もありますが(特に、ドイツの「閉店法」の効率化効果など)、しかし有益な情報や視点もたくさんあります(特に私の長年住んでいたフランスでの事例)。 あくまでも2002年時点のものであり、現在とは状況が違うことはご承知の上で。
http://www.study-mirai.org/works/the_world_compass0207.htm
http://www.study-mirai.org/works/the_world_compass0209.htm
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pfaelzerweinさんとla_vera_storiaさんのご意見、対照的ですが、どちらも興味深く拝読しました。今後の予想をするのは私には難しいものの、「商店の営業時間は、よりflexibleな設定になるだろうと思います」というla_vera_storiaさんの見方は、実感として理解できるような気がします。
それにしても、お2人とも本当にさまざまなテーマに博識でいらっしゃいますね。いつも勉強させていただいております。