大分前から楽しみにしていたイタリアの古楽グループ、イル・ジャルディーノ・アルモニコのコンサート(24日、フィルハーモニー室内楽ホール)。ところが、この日の大事なインタビューの仕事が長引いて、前半最後の曲からしか聴けませんでした(残念・・・)。当夜のプログラムは”A VENEZIA!”と題して、17世紀から18世紀にかけてヴェネチアで生まれた音楽をほぼ年代順に演奏していくというもので、前半はカステッロ、メールラ、ブオナメンテ、レグレンツィといった相当知られざる作曲家の作品が並んでいました(聴かれた方の感想も聞いてみたいところです)。後半のヴィヴァルディのアルトリコーダーのソナタ、ガルッピのコンチェルトはどちらも短調のしっとりした曲だったせいもあってか、このアンサンブルを形容するときによく使われる「過激」とか「先鋭」とかいう感じはあまり抱きませんでした。最後のヴィヴァルディのピッコロ協奏曲は、指揮をしながら笛を吹くアントニーニお得意の見事というしかないパフォーマンスでしたが、ベルリン・フィルをバックに縦笛を吹きまくるアントニーニ(そのときの感想はこちら)をすでに2回聴いているせいか今回はさほどの衝撃は受けず。
前半を聴き逃したこともあって消化不良な感は大ありでしたが、最後のアンコールは文句なしにすごかった。リュートのなだらかな伴奏に乗って、エンリコ・オノフリとマルコ・ビアンキという2人のヴァイオリンの名手が交わす超絶的なやり取りと緻密でクールな伴奏。なんだかジャズの即興を聴いているようでもあり、とても400年近く前の音楽とは思えなかった。曲のタイトルが後からどうしても気になったので、楽屋に行って演奏者に直接聞いてみたら、Tarquinio MerulaのCiaccona per due violini e basso continuoという前半に演奏した曲とのこと。家に帰って見つけたアルモニコのViaggio MusicaleというCD(写真)に実は収録されていたので(笑)、早速聴いてみましたが、確かに同じ曲なんだけれど、受ける印象は微妙に違う。いまこの瞬間に音楽が生まれてきたようなみずみずしさとそれを全身で受ける喜び、あれこそがライブの醍醐味なのでしょうね。そんな体験をさせてくれたイル・ジャルディーノ・アルモニコは、またいつか生で(今度は最初からゆっくり)聴いてみたいです。
Originalklang
Auf Einladung der Berliner Philharmoniker
Giovanni Antonini Flöten und Leitung
Il Giardino Armonico:
Enrico Onofri Violine
Marco Bianchi Violine
Stefano Barneschi Viola
Paolo Beschi Violoncello
Giancarlo De Frenza Kontrabass
Luca Pianca Laute
Riccardo Doni Cembalo
Dario Castello
Sonata decimaquinta a quattro
Tarquinio Merula
Canzone a Quattro »La Lusignola«
Ciaccona per due violini e basso continuo (アンコールで再演)
Giovanni Battista Buonamente
Sonata per tre violini e basso continuo
Giovanni Legrenzi
Sonata seconda a quattro op. X
Antonio Vivaldi
Concerto für Flöte, Streicher und Basso continuo C-Dur RV 444
Concerto für Blockflöte, Streicher und Basso continuo c-Moll RV 441
Baldassare Galuppi
Concerto a quattro g-Moll
Antonio Vivaldi
Concerto für Flöte, Streicher und Basso continuo C-Dur RV 443
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こんにちは。イル・ジャルディーノ・アルモニコ、もう3度目なのでしょうか・・?羨ましいですねぇ(ため息)。私も大ファンでCDは見つけ次第とりあえず買う、という感じ。来日とかもしているんでしょうが、なかなかチャンスがなくて・・・。またレポートお願いします。
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イル・ジャルディーノ・アルモニコって訳したら
ハーモニー・ガーデンですよね?(あってる?)
>このアンサンブルを形容するときによく使われる
>「過激」とか「先鋭」とかいう感じ
面白そうなグループですねえ。聞いてみます!
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>楕円球さん
アントニーニのソロは2度ほど聴いたことがありますが、アルモニコとしては実は初めてだったんです。ベルリンにはバルトリのソロの伴奏として来ていたようですが、当時はまだその存在を知りませんでした。さぞやすばらしかっただろうなーと思います。
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>Kenさん
>ハーモニー・ガーデンですよね?
なるほど、ジャルディーノは「庭」ですか。楽屋に行ったらイタリア語が飛び交っていました。またいつか勉強したいなあ。CDはたくさん出ていますが、どれもおすすめですよ。Musica Baroccaが入門用にはいいかもしれません。
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イル・ジャルディーノ・アルモニコは、一度ぜひ生で聴いてみたいアンサンブルです。「イタリアン・バッハ・イン・ヴイエンナ」というタイトルのDVD(ラベック姉妹も共演!)を持っていますが、乗りのいい演奏で聴いていてわくわくします。アントニーニの指揮もオノフリの独奏もかっこよく、視覚的にも楽しめます。もちろん数あるCDもいいですが、映像があると魅力倍増です。
そういえばこのDVDで、オノフリがヴァイオリンにスカーフをつけて首に巻いていたのですが、ベルリンでの演奏会ではどうでしたか?
寺神戸亮が、以前バロック奏法(クイケン奏法?)でヴァイオリンを落としそうになったことがある、とコメントしていたような気がしますが、オノフリもあんなにぐるぐるとスカーフを巻いていたのは、その心配があるからかな??
このDVDにはアントニーニのソロはありませんが、テレビでソロを見た記憶があります。まさにイタリア版ブリュッヘンでしたね。最近ベートーヴェンのシンフォニーの指揮も始めたようだし・・・。でも、(ブリュッヘンに倣わずに)リコーダーも長く長く吹き続けて欲しいです。
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Masatoさん
ご無沙汰しています。いつも読ませていただいてますよ!!
日曜日にはコンサートにいらしてたんですね!びっくりしました。でも、私は前半で帰ってきてしまったんですが、Masatoさんは後半ということで、すれ違いでしたね。
Masatoさんも、すこぶる良い印象をお受けになっていらっしゃらないようで、なんだか安心しました。
やはり旅なれて舞台慣れしている彼ら、ちょっとドサ周りに疲れているのかなという印象も受けましたね。あれだけの才能ですから、そろそろいろいろな意味で次のステップに行って欲しいものです。
自分のブログに、やはりふつふつとした思いをいつまでもため続けるのが嫌で、ちょっと感想を吐き出してしまいました。
Masatoさんのブログとも、お久しぶりに話題がマッチングしたので、勝手にトラックバックさせていただきました。
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>bach!!さん
>「イタリアン・バッハ・イン・ヴイエンナ」というタイトルのDVD
CD屋で見かけたことはありますが、観たことはなかったです。バルトリのDVDでも、歌の合間にアントニーニがヴィヴァルディを吹いていますよね。
>オノフリがヴァイオリンにスカーフをつけて
うーん、残念ながらこれは未確認です。あの場にいらした方、どなたかご教示いただけるといいのですが。
>最近ベートーヴェンのシンフォニーの指揮も始めたようだし
今度ベルリンでもコンツェルトハウスで、バーゼル室内管と「運命」をやるようです。ブリュッヘンのリコーダーは今でもたまにCDで聴きますが、本当にすばらしいですね!
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>momidoriさん
こんにちは、お久しぶりです!TBもありがとうございました。
momidoriさんのご感想も気になっていましたが、やはりそうでしたか。しかも前半で帰られていたとは・・・。確かに見事な演奏ではありましたが、期待していたほどの「新しさ」を僕も感じなかったのは事実です。もっと小さな、より親密な空間で聴きたいご感想には全く同感。すばらしいホールなのですが、あそこで聴く弦楽四重奏も場所によっては相当つらいことがあります。それにしても古楽が本当にお詳しいのでびっくりです!
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>ブリュッヘンのリコーダーは今でもたまにCDで聴きますが、本当にすばらしいですね!
同感です。実は、ブリュッヘンが笛吹きとして最後に来日した1980年のコンサートを最前列の席!で聴きました。確か前半は17世紀のリコーダー曲、後半はバッハのフラウトトラヴェルソの曲だったと思います。本当に神がかり的な素晴らしい演奏で、プログラムが進むにつれ客席が異常に盛り上がって総立ちになり、拍手がいつの間にか手拍子に変わり、それにこたえて何度も何度もアンコールしてくれたという、忘れられないコンサートでした。(どこかに映像が残っていないのかな?)
その後、指揮者として来日したブリュッヘンのコンサートを3回ほど聴きましたが(それはそれで良かったけれど・・・)、ひょっとしてアンコールでリコーダーが聴けるのではないか、という期待がいつもありました。でも残念ながら・・・(笑)。
>バルトリのDVDでも、歌の合間にアントニーニがヴィヴァルディを吹いていますよね。
これは是非見てみようと思います。ブリュッヘンとはタイプが違うけれど、今はアントニーニに期待したいですね。私が生で聴くまで引退しないで!(笑)
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>bach!!さん
ブリュッヘンの笛吹きとしての来日は1980年にまでさかのぼるのですか。それにしても、リコーダーでそれだけお客さんを熱狂させるなんて、ちょっと想像がつかないほどです。そんな人、今ほかにいるでしょうか。
私が聴いた中では、アントニーニがベルリン・フィルをバックに吹いたサンマルティーニのコンチェルトも忘れられません。若手ではMaurice Stegerという人に注目しています。ベルリン古楽アカデミーとは、テレマンやサンマルティーニのCDを出していますね。