先日、東京でとてもいい音楽映画を観る機会がありました。そろそろ一般公開が始まるそうなので、ここでご紹介したいと思います。ダニエル・アンカー監督の『オーケストラの向こう側~フィラデルフィア管弦楽団の秘密』という作品(公式サイトはこちらから)。
主人公は、アメリカの名門フィラデルフィア管弦楽団の105人の演奏家たち。彼らへのインタビューが映画の重要な進行役となっていきますが、その一方で、普段コンサートで一番の脚光を浴びる指揮者が全く表に出てこないのが、この作品のユニークなところといえるかもしれません。
様々な演奏家の話の一つ一つがとても面白かった。
例えば、画家と音楽家両方のキャリアを持ち、2つの芸術の相互関係を探り続けるヴァイオリニスト。パレスチナ人の音楽家とコラボレーションを試みるイスラエル人のチェロ奏者。水曜夜はオケのコンサートの後、サルサクラブのバンドに参加するトロンボーン奏者。かつて住んでいたイタリア人労働者街を訪ね、自分のルーツを見出そうとするヴァイオリニスト兄弟。1年を通してマラソンを欠かさず続けるホルン奏者。ソリストとしての道を挫折した後、オーケストラで仲間と音楽することの喜びを見出したコンサートマスター・・・。
彼らの音へ探求する姿を見ているうちに、「音楽とは何か」、「オーケストラとは何か」という主題が、そのまま「人生とは何か」という問いにつながっていることを、この映画では確かに実感することができました。
実際のコンサートの他、この映画のために撮られたというスタジオでの演奏シーンもたくさん盛り込まれます。フィラデルフィア管のメンバーが、例えばベートーヴェンの《英雄》の第1楽章を例に、専門用語を全く使わないで、この音楽がどうすごいのかということを解き明かしていくのですが、それを見ていたら、中学生のとき自分が初めてこの曲を聴いて感動したときの気持ちがよみがえってきました。
ヨーロッパの演奏旅行中、ケルンのレストランでメンバーが飲んでいると、一人が「おい、アコーディオンのすごいうまいヤツが外で弾いているぞ!」と駆け込んで来るので、みんなで一斉に外に出て、ストリートミュージシャンの演奏するヴィヴァルディに聞き惚れるシーンなんかいいですね。私も数年前、フィレンツェの広場でものすごいアコーディオン奏者が弾いているのに出くわして、時間を忘れて聞き入ったことを思い出しました。こんな風に、自分と音楽との関わりも振り返りながら楽しめた映画でした。
音楽が大好きな人、音楽家を志している人、アマチュア・オケで演奏している人など、とにかくいろいろな方に観ていただきたい映画です。22日(木)には、来日中のフィラデルフィア管弦楽団メンバーがやって来て、生演奏付きのイベントも用意されているそうなので、こちらもよかったらぜひお越しください!
以下、案内文を添付します。
映画『オーケストラの向こう側~フィラデルフィア管弦楽団の秘密』公開を記念し、5月22日(木)の本編上映前に、日本公演のため、来日中のフィラデルフィア管弦楽団メンバーによる舞台挨拶&生演奏イベントを開催!世界のステージで活躍し、多忙を極めるオーケストラのメンバーによるトークと音楽セッションを映画上映前にお楽しみください。
是非、ご家族、ご友人の方々とお誘い合わせの上、ご来場下さい!
【イベント内容】 ※ 舞台挨拶&生演奏イベントは15分ほどの予定
フィラデルフィア管弦楽団にて、首席ティンパニーを務めるドン・リッツィー率いるパーカッション・トリオほか数人の演奏家が、舞台挨拶と共に生演奏を披露!
【日時】 5月22日 (木)
21:00~ フィラデルフィア管弦楽団メンバーによる舞台挨拶&生演奏 (15分)
21:20~ 本編上映 (上映時間:90分/22:50終映)
【場所】 ユーロスペース
TEL:03-3461-0211 (渋谷・文化村交差点左折/渋谷区円山町1-5)
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とっても面白そう!是非観てみたいな。情報をどうも有難うございます。
私も、何年か前にU-BahnとS-Bahnの(Stegliz)連絡通路でものすご~~~いアコーディオン奏者の演奏を聴いたことがあります。立ち止まって聴けなかったのがとても残念。もう一度彼女の演奏を聴いてみたい、とアコーディオンが聴こえてくると期待してしまいます。でもそれっきりお会いしたことはありませんが、実は彼女は日本人。私の友人の友人でした!
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これアメリカでも上映されるんでしょうか。とてもソソラれますね(笑)
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行ってみます♪
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興味深い映画のご紹介有り難うございます。
調べましたところ、大阪それも比較的近くで上映があるようなので、観に行きたいと思います。
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映画のタイトルから、「コンサートは始まる」という本を思い出しました。
ボストン交響楽団の音楽監督・小澤征爾とトランペット奏者の確執を軸に、マーラーのコンサートを上演するまでをアメリカのジャーナリストが書いたドキュメンタリーです。
決して楽しいというような内容ではありませんでしたが、全編に漂う緊張感が一気に読ませます。普通では窺い知ることの出来ないオーケストラの裏側や指揮者と楽団員の関係を垣間見ることができ、とても興味深いものでした。
もしかしたら既に読まれているでしょうか。
映画もぜひ観たいと思います。ユーロスペースは、地味ながらもいい作品を上映する劇場ですね。
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>PUKUさん
日本滞在を楽しまれている頃だと思います。
>実は彼女は日本人。私の友人の友人でした!
へ~。日本人のアコーディオン奏者が、ベルリンで、しかもストリートミュージシャンとして活動しているなんて知りませんでした。機会があったら聴いてみたいですね。
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>TMさん
この映画は2004年の作品なので、アメリカではもう公開済みではないでしょうか。ちなみに原題は、"Music From The Inside Out"です。
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>TMさん
この映画は2004年の作品なので、アメリカではもう公開済みではないでしょうか。ちなみに原題は、"Music From The Inside Out"です。
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>らっぱ@たかさん
たかさんには、絶対見ていただきたい映画です!
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>らっぱ@たかさん
たかさんには、絶対見ていただきたい映画です!
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>CORCOVADOさん
大阪でも上映されますか。それはよかったです!
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>Tsu-buさん
コメントありがとうございます!
「コンサートは始まる」という本は、昔図書館で見かけたことがありますが、読んだことはありません。でも興味を惹かれました。「普通では窺い知ることの出来ないオーケストラの裏側や指揮者と楽団員の関係を垣間見ることができ」るという意味では、この秋に公開される"Trip to Asia"というベルリン・フィルの映画もおすすめです。
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>Tsu-buさん
コメントありがとうございます!
「コンサートは始まる」という本は、昔図書館で見かけたことがありますが、読んだことはありません。でも興味を惹かれました。「普通では窺い知ることの出来ないオーケストラの裏側や指揮者と楽団員の関係を垣間見ることができ」るという意味では、この秋に公開される"Trip to Asia"というベルリン・フィルの映画もおすすめです。
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amazon.comに出てました、ありがとうございます。
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