『ベルリン中央駅』の読者のみなさん、はじめまして。
中村真人の弟、中村洋太です。
現在早稲田大学の3年生で、就職活動を行っているところです。
ぼくは去年の夏に、「ツール・ド・西日本」と題し、自転車で西日本を一周しました。1ヶ月間で2700kmを走行し、旅先での数々の出会いと共に、人の優しさを知り、思い出に残る一人旅となりました。
さて、旅が終わってからずいぶん時間が経ちましたが、今回はそのときの旅をテーマに、ご縁があって地元紙(はまかぜ新聞)に連載を書かせていただくことになりました。
月に一度の小さな連載ではありますが、自分の旅を振り返り、そこで感じた大切なことを思い出す良い機会となっています。
現在はブログもできるだけ毎日更新しているので、少し覗いていただけたら幸いです。「ツール・ド・西日本」の日記も、ブログで見ることができます。
実は、今年の夏に自転車でヨーロッパを一周しようと思っています。
現在は先の見えない不安な時代で、「やりたいことをやる」という当たり前のようなことでさえ、何かと理由をつけて諦めてしまう人も少なくないと思います。
しかし、そんな時代だからこそ、ぼくはリスクを負ってでも挑戦したい思っています。
今のぼくには、その資金もないし、時間が確保できるかもまだわかりません。しかし、「お金がないから」、「時間がないから」と、できない理由を考えていても何も始まりません。「どうしたらできるか」と実現に向けて少しでも前向きに考えることにしています。
自分の挑戦を通じて、ひとりでも多くの人が、「自分も何か挑戦してみよう」と感じてくれたらこの上ない喜びです。
まだ実現できるかわかりませんが、やれるだけの努力をしますので、よかったらご応援よろしくお願いいたします。
中村洋太
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そういうわけで、弟のことを応援してやりたい気持ちもあり、「ベルリン中央駅」でも彼の旅行記を掲載させてもらうことにしました。以下がその第1回目です。若さゆえの生意気な箇所もあるかもしれませんが、折に触れて読んでやっていただけると幸いです。中村真人
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はじめまして。追浜高校出身で、現在早稲田大学3年の中村洋太です。ぼくは高校1年のときに「ツール・ド・フランス」という世界最高の自転車レースをテレビで見て、自転車競技に興味を持ち始めました。それ以来、ロードバイクというタイヤが細くスピードの出る自転車を購入し、家から高校まで片道15kmの道のりを自転車で通っていました。
この夏休み、ぼくは一ヶ月間の一人旅に出ました。「ツール・ド・西日本」と題し、自転車だけで横須賀から九州まで行き、更に九州を一周して帰ってきたのです。全走行距離は2700kmを超え、旅行中更新し続けていたブログは日に日にアクセス数が増え反響を呼びました。
飛行機も電車も車もバイクもある中で、なぜわざわざ自転車で行ったのか。それは自転車が唯一、自分の力で行くことができる乗り物だったからです。坂道はもちろん辛い。でも乗り越えたときの達成感は他の乗り物では味わえません。また、もし横須賀から鹿児島まで自力で行けたら、日本の大きさの約半分の距離を走ったことになります。ぼくは日本がどのくらいの大きさなのか、体で感じてみたかったのです。
台風9号が過ぎ去った8月12日の朝6時、両親に見送られていよいよ横須賀を出発。しかし、最初のペダルを漕ぎ出した瞬間、言葉を失いました。(お、重い…)テントを始め多くの荷物を積んでいるので、二人乗りしているような感覚。両親に手を振り返すも、自転車は右へ左へふらふら。少しでも気を抜くとバランスを崩して倒れてしまいます。「無事に九州までたどり着けるだろうか」「そもそもこんな自転車で箱根の山を登りきれるんだろうか…」
不安は山済み。しかし後には引き返せません。こうして、中村洋太のツール・ド・西日本は幕を開けたのです。
(つづく)