横須賀を出て19日目、ついに鹿児島に着いた。大きなことを成し遂げるのに、特別なことはいらない。1日1日のノルマを着実にこなしていくだけだ。ぼくはこの旅を通じて、人生を学んでいた。
桜島へはフェリーで渡った。美しい山を眺めながら走っていると、突然山頂からボワっと煙が噴き出た。煙は雲となり、ぼくの上空へやってきた。と、その瞬間。何か降ってきた。雨?いや、違う。火山灰だった。雨のように灰が降ってくる。「地球も生きているんだ」。服やかばんが黒ずんでしまったが、この貴重な体験に興奮し、感動した。
油津の優しいおばちゃん、おじさんと
宮崎県に入り、油津で日が暮れた。駅前に素泊まり2500円の宿を見つけたので、そこに泊まることにした。夕食を食べに外へ出ようとしたら、宿のおばちゃんに呼び止められた。「良かったら、一緒に食べてかない?」それだけじゃない。翌朝出発しようとしたら、「たいした物は出せないけど…」と、朝食まで食べさせてくれたのだ。素泊まりのハズじゃ・・・。また人の優しさを知る経験になった。
高さ日本一(?)のかき氷。440円は安い
宮崎市を北上し、延岡までやってきた。遠くに高い山が見える。明日から、「ツール・ド・西日本」最大の山岳コースに突入する。高千穂、阿蘇、湯布院と高地の名所が続く。自転車で登れるだろうかと、不安になることもある。「だが、試練はそれを乗り越える奴のために存在するもんだ。足がつってでも登ってやる」。そう自分を励ましながらペダルを漕ぎ出した、25日目のよく晴れた朝だった。
(つづく)
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作者である弟のブログはこちらより:夢!冒険!ちゃいにっき!(この夏は自転車による西ヨーロッパ一周を計画中)