今夜準決勝!変わりゆくドイツ代表チーム

先週土曜日、アルゼンチン戦後のクーダムの様子。試合が終わってから2時間近く経っていたので、ほとぼりはやや冷めていたものの、大通り全体は興奮状態にあった。やはり対アルゼンチンだった4年前の準々決勝の後、クーダムのほぼ端から端まで歩いた時のことが脳裏に蘇ってきた。
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それにしても、あのアルゼンチンを相手に4点差でドイツが勝つなんて、誰が予想しただろう。あの強さには本当にびっくりした。
ブブゼラを吹く子供たち。非ドイツ系の人たちも結構見かけたのが印象的だった。
ドイツ代表チームを取り巻く環境も変わってきたものだと思う。2002年の日韓大会、ドイツが韓国に勝って決勝進出を決めた時、私はやはりクーダムにいたが、あの時のドイツ人(男の割合がずっと高かった)の熱狂ぶりには圧倒されると同時に、ちょっと恐い空気を感じていた。それが2006年、老若男女問わずにサッカーに熱狂する「真夏のメルヘン」があり、車や自宅の窓にドイツ国旗を掲げることを厭わなくなった。あの年、ドイツの人々は、自らの負の歴史と結び付いた呪縛をどこかで解き放ったような気がしてならない。
Stern誌の今週号。「移民の子供たちがワールドカップのチームをいかに奮い立たせるか。ドイツにとって1つのモデル」が表題
そして、2010年のドイツ代表チームは、ÖzilやKhediraといった見た目も名前の響きも「ゲルマン」でない素性の若手選手がチームの中核で活躍するようになった(そういえば、日本のマスコミも最近はあまり「ゲルマン魂」という表現を使わなくなった)。クロイツベルクのトルコ人も、Mesut Özilに対しては親近感を持って応援しているそうだし、移民統合が遅れるドイツにおいて、彼は社会的にも期待の星である。
ドイツがワールドカップに最後に優勝して今年で20年、ドイツが再統一して20年、私がベルリンに来て10年、とこれはどうでもいいが、何となくドイツが再び優勝する番が回ってきた気がする。「移民」の1人として、私も今夜はドイツを応援しようと思う。



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10 Responses

  1. 冬風
    冬風 at · Reply

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     すっかり盛り上がっているクーダムですね、真冬のあの光景しか見たことがないだけに何だか新鮮です。日本でも日本が勝利した際の渋谷や道頓堀での騒ぎが報じられていましたが、矢張り格が違うと言うかレベルが違う盛り上がりなのを感じてしまいます。
     目下のところ、ドイツ対スペイン戦の最中ですがタコの予言が外れることを願いたいものです。

  2. Yozakura
    Yozakura at · Reply

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    Masato様
     その、熱狂に後押しされたドイツがスペインに惜敗した後の、ベルリンの街頭風景はどんなものだったのでしょうか?
     Masatoさんが見聞された事実や、率直な感想をお聞かせ下さい。お元気で。

  3. みづ
    みづ at · Reply

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    「ゲルマン魂」という言葉、どこから来てるのかな、と不思議に思っています。
    「ドイツ語でそれにあたる言葉があって、それを日本語に翻訳したのかな」と思っていたのですが、「そもそもドイツ語には該当する言葉がない」(or あるけど今はもう使わない?)という意見を読んだこともあって。
    ドイツ人が使わない言葉を、日本人が勝手に使うというのも何だかひっかかりますよね。

  4. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    冬風さん
    準決勝、ドイツ破れました・・・

    >矢張り格が違うと言うかレベルが違う盛り上がりなのを
    >感じてしまいます。
    ドイツは、確か15大会連続だかでベスト8に進出という、とんでもなく安定した実績を持っているので、試合後のファンのパフォーマンスにも定着したパターンがあって面白いです。

    しかし、あのタコの騒がれようには笑ってしまいますね。彼の予想通りスペインが勝つか??

  5. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    Yozakuraさん
    お久しぶりです。
    >ベルリンの街頭風景はどんなものだったのでしょうか?
    クーダムの近くにいたのですが、試合後の街は静かで、皆さんどこかさばさばしていました。スペインが優勢の試合だったのは明らかだったので、一言で言えば「しょうがない」でしょうか。完敗はしたものの、レーヴ監督の評価は揺るがず、続投を求める声は強いですね。

  6. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    みづさん
    >「そもそもドイツ語には該当する言葉がない」
    実際、ドイツ語でそれに相当する言葉は聞いたことがありません。いつ、誰が使い出した言葉なのか、ちょっと興味がありますね。今までは「勝負強さ」とか「最後まで諦めない」の同義語として、使われてきましたよね。強いて言うなら今回は、スペインにリードを許してからの「ゲルマン魂」を見たかった^^;。

  7. いっさいがっさい
    いっさいがっさい at · Reply

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    ドイツ残念でした・・・。でもスペインとの力の差は歴然でしたね。
    試合後に町にいましたが、行き交う車につけられていたドイツ国旗が軒並みなくなっててびっくり。勝った後は夜中までドンチャン騒ぎ、負けたら何もなかったかのような空気。サッカーだけに限りませんが、切り替えのはやさ?を感じました。

    何はともあれ、WMは独特な雰囲気。この季節が過ぎていくのがちょっと寂しいです。

  8. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    いっさいがっさいさん
    >勝った後は夜中までドンチャン騒ぎ、負けたら何もなかったか
    >のような空気。
    面白い表現ですね。僕はスペインに負けた直後、クーダムにいたのですが、まったく書かれている通りの情景で笑ってしまいました。ある種の潔さを感じましたね。

    キートスさん
    いただいたコメント、なぜか突然消えていました。ご自分で消されたのならまったく問題ないのですが、Schlandのことなど(この言葉知りませんでした)、とても興味深いコメントだったので・・・

  9. キートス
    キートス at · Reply

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    消えました?!一旦消して一か所訂正し再びアップしたかったのですがね。とにかくイギリスの新聞でさえドイツ代表チームのサッカーを高く評価する中、なぜ日本のマスコミでは再び「ゲルマン魂」が出てくるのでしょうね。8年前の日本大会で初めて聞いたのですが、あれからドイツのサッカーは180°転回し、選手の名はエジル、ケディラ、ゴメス、ポドルスキなど、何が「ゲルマン」だよ。と思いました。

  10. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    キートスさん
    改めてコメントを書いてくれてありがとうございます。ドイツと日本にルーツを持つキートスさんのコメントからは、いつも新鮮な視点を与えられます。今後ともよろしくどうぞ!

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