Peter-Behrens-Halle in Wedding (2011-08-02)
先日ご紹介した世界遺産のファーグス工場。ヴァルター・グロピウスはこの建築の設計に際して、ベルリン・モアビットにあるAEG社のタービン工場(ペーター・ベーレンス設計)から大きな影響を受けたことで知られています。このタービン工場とほぼ同時期の設計で、デザインもよく似た、やはりAGB社の製造組み立て工場(AEG-Montagehalle)が、ヴェディング地区のGustav-Meyer-Alleeにあります。先日、初めて昼間の内部の様子を見ることができたので、ここでご紹介しましょう。
この日の夕方、2人の友人に久々に再会しました。奥はベルリン工科大学(TU Berlin)で構造工学を研究している増渕基くん(以前この記事などでご紹介しています)。特に橋の構造には大変詳しく、最近共訳で「Footbridges―構造・デザイン・歴史」(鹿島出版会)という本も出版しているほど。専門書ゆえに高価なのは難ですが、非常に意欲的で、かつヴィジュアル的にも美しい本です。
手前は建築家の光嶋裕介くん。彼のことは2007年にこことここなどで紹介しています(久々に見直してみて懐かしくなりました)。彼は2008年に日本に帰り、建築事務所を設立したのですが、最近は内田樹氏の道場「凱風館」の設計を手がけるなど、すっかり有名人になった感があります。あの「ほぼ日刊イトイ新聞」でも連載(『みんなの家。建築家一年生の初仕事』)が始まり、これがまた非常にスリリングなので、ぜひお読みください。裕介くんがベルリンに来るのは、完全帰国以来初めてとのことで、いろいろな話で盛り上がりました。
1980年代まではドイツの大手電機メーカーAEGの大型機械、タービン、電車部品等の製造組立工場だったこのホール。現在はベルリン工科大学土木工学科の実験棟として使われています。増渕さんの仕事場ということで、中を案内してもらいました。レンガ壁の外観はさすがに重々しい感じがするのですが、内部のこの明るさには驚きました。さすがモダンの先駆けになった革命的な建築だけのことはあります。
ホール周辺に何本も見える引き込み線は、この工場ができる前ここにあった家畜市場時代のものだそう。敷地内は大変広く、大学キャンパスだけでなく、多くの企業のオフィスにもなっています。
増渕さんにもらった資料によると、大学の単独の実験棟としてはおそらく世界最大規模(幅33m、奥行き180m、高さ24m)とのこと。現在はベーレンスに敬意を表してPeter-Behrens-Halleと呼ばれ、国の文化遺産に指定されています。友人との再会でたくさんの刺激をもらった午後のひと時でした!
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フルトヴェングラーの有名なナチの宣伝映画でマイスタージンガーを演奏している場所は改めてフィルムをみますとタービン工場のようですが、これもなるほど似た感じですね。ところでそのモアビットの方は既にご覧になりましたか?
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pfaelzerweinさん
フルトヴェングラーの工場コンサートの会場は、ベルリン・フィルの知人の方が言うには、ヴェディングだそうで、そうなるとこの工場だった可能性はかなり高いはずです。これについては、一昨年ちょっとした論争になったのですが、確証はまだ得られていません。
http://berlinhbf.exblog.jp/11590304/
モアビットの工場は外観からですが、見たことはあります。
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過去記事読みました。これがブルンネン通りとなるのですね。組立工場ならば会場の大きさも、タービン状のものも置いてあってもおかしくはないです。窓ガラスの形状など、先ず間違いないでしょう。
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こんにちは。ベルリンを訪れたとき、現地の友人が車でこの工場の周りを一周してくれました。歴史的な建物だと教えてくれましたが、ご紹介の記事で詳細が良く分かりました。今では大学の実験棟になっているのですね。ドイツの大学、素晴らしい技術を持ったテクニシャンの方々が沢山いて、機器開発や研究も効率的、日本の大学・研究機関との違いをいつもうらやましく感じています。
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pfaelzerweinさん
そうですか。となると、ここが有名な工場コンサートの会場だった可能性はかなり高いわけですね!
ogurikさん
こんにちは。私もこの巨大な建物が大学のキャンパスに使われているというのには、最初びっくりしました。一度見学されると、ここのスケールが実感できるかと思います。