ちょうど1年前、近所に住む友達の車を借りる機会を得て、妻と日帰りでどこかに行こうという話になった。私はこの機会に、ユーターボーク(Jüterbog)に行ってみようと思った。何年か前に、ベルリンの新聞で「中世の面影がほぼ完全に残る街」とユーターボークが紹介されていて、興味を持っていたのである。
ユーターボークはベルリンから南に約60キロほど、ベルリンーライプツィヒの鉄道の線上にあるブランデンブルク州のテルトウ=フレーミング群の街だ。もっとも、ユーターボークの旧市街は駅から大分離れているので、車窓からこの街を望むことはこれまでなかった。ベルリンからさほどの距離ではないとはいえ、久々の車の運転、しかもナビも付いていない状態だったので、道に迷いながら結局2時間近くかかった気がする。
旧市街に入った頃から街の閑散ぶりに驚いた。土曜日のお昼にも関わらず、人通りが皆無なのだ。マルクト広場に車を止めて、営業している数少ないお店の中からAmerican Dinerという周囲から若干浮いた感じのレストランに入ってハンバーガーを食べる。地元の若い人が出入りしているような店だった。写真は広場から伸びているニコライキルヒ通りの様子。まずはニコライ教会の方に行ってみることにした。
ユーターボークに都市権が与えられたのは1174年のこと。法的にはブランデンブルク州最古の都市になるそうだ。13世紀半ば以降、この街は遠隔貿易の中心地として栄え、3つの教会や市壁などがこの時期に形作られた。2つの対照的な塔を持つゴシック様式のニコライ教会もその時代に建設が始まった(写真)。しかし、1478年の大火災、そして17世紀の30年戦争で街は壊滅的な被害を受ける。現在の街並みは30年戦争以降に再建されたものが主体になっているそうだ。
ここがGroße Straßeというまさに「大通り」という名のメインストリート、なのだが、道行く人はほとんどいない・・・
人口約1万2000人の街なのだが、この街の住民はどこでどういう生活を送っているのだろうと思う。
19世紀までは、ユーターボークは「マルク地方のマントヴァ」「マルク地方のローテンブルク」などとも呼ばれていたそうだ。建築的には大変興味深いのだが、人があまりに少ないので、いくらかわびしい気持ちにもなってくる。