昨年初頭、息子が誕生して少し経ってからベルリン動物園の年間カードを購入した。年間カードにもいくつか種類があるが、子供が満1歳の誕生日の翌月末まで有効なBabyCard XLは、赤ん坊と両親の分の入場料を含め35ユーロで購入することができる。通常の1日券が14.50ユーロ(子供7.50ユーロ)であることを考えると、新米のパパとママには大変ありがたい配慮といえる(その次のファミリーカードになると料金はぐっと上がる)。これを持っていると年中無休の動物園にいつでも並ぶことなく入場できる。もともと西側の交通の便のいい場所にある動物園は、私たちの散歩コースに加わった。
生後数カ月の頃は動物を見せても大体無反応で、すぐに寝てしまうことも多かったのだが、10カ月を超えたあたりから子供の反応が目に見えて変わってきた。お気に入りはライオンとカバで、特に後者の館では、大きな図体をしたカバが人の目線で泳ぐ姿を見られるので子供は大喜び。入り口でもらえる地図には餌やりの時間も記されていて、毎日15時15分から始まるカリフォルニアアシカのショーなど、名物になっているものもある。
先日、人通りの少ない冬の動物園の中を歩いていたら、ライオンの家の近くに動物園の歴代の園長の胸像が並んでいるのに気付いた。その中のルッツ・ヘック園長(在1932~45)の像の前に、真新しい金色のプレートが置かれ、そこにこのようなことが書かれていた。
「ルッツ・ヘックは、自らとベルリン動物園を進んで国家社会主義に適合させた。彼の在職期間、外国人の労働者が動物園で搾取され、1945年、彼は逮捕を逃れて逃亡した。この胸像はヘックが1984年に亡くなった翌年に設置された」
かつてベルリン動物園はブルジョワジーの社交の場でもあったという。動物園の株を所有していると、社会の中で名声を得られ、入場も無料となった。しかし、1933年以降、ユダヤ人の株主は監査役から押し出され、やがて1938年にはヘック園長のもと、ユダヤ人の入場自体が禁止されるに至る。これはナチスが国として命令を下す1年前のことであった。
ドイツの多くの施設や機関同様、ベルリン動物園も暗い、そして今もほとんど知られていない過去を持つ。昨年秋、この動物園は長年の沈黙を破り、50万ユーロの費用をかけて、ナチス時代の過去の問題に取り組むことを発表した。今年の11月には、歴史家の監修の元、新しい常設展が始まる予定だ。会場に選ばれたのは、キリンやレイヨウが住むオリエンタル風の美しい建物(1872年、ドイツのヴィルヘルム1世、ロシアのアレクサンドル2世、オーストリアのフランツ・ヨーゼフ1世という3人の皇帝が朝食を取った歴史的な場所でもある)。
子供が物心ついたら、この中でゆったりと草を食べるキリンのことだけでなく、この展示の内容についても聞いてくるかもしれない。そのときは、人間の間で起きた歴史のこともしっかり答えられる親でいたいと思っている。
(ドイツニュースダイジェスト 2月5日)
Information
ベルリン動物園
Zoologischer Garten Berlin
1844年にオープンしたドイツ最古の動物園。約1500種、計20000以上の動物が飼われており、その種類の豊富さで世界でも屈指の動物園に数えられる。この2月から、1日券が13ユーロから14.50ユーロに値上がりする一方、ファミリーカード(122ユーロから99ユーロに)などの年間券は割安になる。
オープン:月〜日9:00〜16:30(夏期は〜18:30)
住所:Hardenbergplatz 8, 10787 Berlin
電話番号:030-254010
URL:www.zoo-berlin.de
ベルリン・ティアパーク
Tierpark Berlin
東のリヒテンベルク地区にあるベルリンのもう1つの動物園。東独時代の1955年にオープンした。160ヘクタールという敷地面積は西側の動物園(35ヘクタール)よりもはるかに広く、ヨーロッパでも最大規模を誇る。特にアフリカ象の飼育で有名。現在は西側の動物園と同じ傘下にあり、2月から同様に料金体系が変わる。U5のTierparkが最寄り駅。
オープン:月〜日9:00〜16:30(夏期は〜18:30)
住所:Am Tierpark 125, 10319 Berlin
電話番号:030-515310
URL:www.tierpark-berlin.de