6月22日、ベルリン国立歌劇場の2017/18年シーズンの全容が発表されました。同歌劇場は2010年から、大改装のためにシラー劇場を仮住まいとして公演を続けてきました。当初は3年ほどで工事が終わる予定でしたが、度重なるトラブルから大幅に延長。その混乱の模様は度々ニュースで報じられてきました。しかし先頃、劇場側はついに今年の10月に再オープンすることを発表し、この日の記者会見にも多くの報道陣が集まりました。
ウンター・デン・リンデンにある歌劇場裏手の別館で行われた会見には、インテンダントのユルゲン・フリム、音楽監督のダニエル・バレンボイム、さらに次期インテンダントのマティアス・シュルツの3氏が出席。「ベルリンの新空港よりもわれわれの方が早く完成しました」とジョークを飛ばしたバレンボイム氏。この日の発表によれば、国立歌劇場は10月3日のドイツ統一記念日にシューマンの『ゲーテのファウストからの情景』にて幕開けします。7日にはズービン・メータ指揮ウィーン・フィルが客演するなど、Präludium(前奏曲)という名の祝祭週間が9日間に亘って行われますが、その後劇場は2ヶ月弱の休業に入ります。フリム氏は、「タイヤの交換作業のようなもので、音楽家に(劇場の)新しい技術に慣れてもらうためこの時間が必要」と説明しました。
本格的な幕開けは、12月7日に行われる歌劇場275周年の記念コンサートからになります。バレンボイム指揮によるワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』(2月)、ヴェルディの『ファルスタッフ』(3月)、『マクベス』(6月)などの大型プレミエ(新演出)が続くなど、話題性は十分。新シーズンには8つのプレミエ、13のレパートリー作品、90のコンサート等が予定されています。
会見が終わると、報道陣のために見学ツアーが開催されました。ヘルメットを被り、別館のリハーサルセンターから地下に続く真新しいトンネルを通って、劇場の本館へ。途中で目にした、舞台装置を舞台に運ぶための巨大なトンネルには、オペラという舞台芸術のスケールを改めて思い知らされました。とりわけ気持ちが熱くなったのは、ステージの上から、生まれ変わった客席空間を眺めた時。もっとも、まだ至る所で作業が続けられており、「本当に10月のオープンに間に合うのかしら」と思ったのも事実です。最後までハラハラさせられながらも、リンデン(菩提樹)の葉をモチーフにしたオペラ座の新しいロゴがあしらわれたプログラム冊子をめくっていると、期待はいよいよ膨らみます。
www.staatsoper-berlin.de
(ドイツニュースダイジェスト 7月21日)