難民出身の俳優たちが演じる マキシム・ゴーリキー劇場の「冬の旅」
一時期に比べると、難民関連のニュースがドイツのメディアを賑わす頻度は減ったように感じられます。しかし今もアクチュアルな主題であることに変わりはなく、外交問題のこじれや紛争やテロの激化などで、いつ新たな難民が出現しても不思…
大戦期の前夜を切り取った展覧会『ベルリン1937年』
5月4日から、ベルリン市営のメルキッシュ博物館で『ベルリン 1937年-明日への影の中で』という展覧会が開催されています。最初にこの展覧会のタイトルを聞いた時、ヒトラーが政権を取った1933年でも第二次世界大戦が始まった…
発掘の散歩術(82) – デュッペル村で味わう中世の春 –
オーク材を組んで作った防御柵から中に入ると、わらぶき屋根の家々が見えてきた。中央の広場には二人の男がバグパイプと太鼓の陽気な音楽を奏で、親子連れが集まっている……。 ここはベルリンの西の郊外、ツェーレンドルフ地区にあるデ…
森鴎外の文学と多面性を紹介 記念館がリニューアル・オープン
ミッテ地区のルイーゼン通りにあるベルリン森鴎外記念館(Mori-Ôgai-Gedenkstätte)が、約半年の準備期間を経て、この3月末にリニューアル・オープンしました。現在フンボルト大学(旧ベルリン大学)の付属施設で…
発掘の散歩術(81) – チェロとフランス風ケーキを味わいながら –
昨年末、ベルリンのシェーネベルク地区に日本人パティシテのカフェがオープンしたと聞き、ヴィッテンベルク広場駅から近い閑静な住宅街にあるカフェを訪れた。オーナーの小峯晋さんと立ち話をしていると、10年以上前に、あるチェリスト…
「ムッター・フォラージュ」園芸用品市やコンサートも
久々に晴天となった土曜日、Sバーンに乗って西の郊外のヴァンゼーに行きました。約10年ぶりに足を運びたくなった場所、「ムッター・フォラージュ」をご紹介します。バス316や118に乗ってRathaus Wannseeのバス停…
発掘の散歩術(80) 光に彩られた生と死の空間 —ドロテーエンシュタット墓地を歩く—
書店に設けられたベルリンのコーナーに行くと、ガイドブックや都市の歴史を紹介した本に混じって、必ずといっていいほどベルリンの墓地に関する本が置かれている。多くの著名人がこの街を永遠の住処に選び、眠っているだけに、「墓地巡り…
岩波書店『世界』2017年3月号 –生への列車・キンダートランスポート–
岩波書店の月刊誌『世界』3月号に「生への列車・キンダートランスポート ――クエーカーが救った子供たち」という12ページのルポルタージュを書かせていただく機会がありました。『世界』に寄稿するのは3回目になりますが、今回のテ…
山田耕筰のオペラ『黒船』がノイケルン・オペラで欧州初演
ベルリンのノイケルン地区にあるノイケルン・オペラは、ベルリン3大歌劇場に比べると規模はずっと小さいながらも、古典の大胆なアレンジやオリジナル作品によりピリリとした魅力を放っている劇場です。2月18日から、山田耕筰の作曲に…
発掘の散歩術(79) -あの夜から1ヶ月 カイザー・ヴィルヘルム記念教会前で-
ベルリンのクリスマスマーケットにトラックが突っ込み、12人が死亡、50人が重軽傷を負ったテロ事件の一報を、私はちょうど一時帰国中に、実家の寝床の中で知った。トラックが突っ込んだ先がカイザー・ヴィルヘルム記念教会前のブライ…
王宮と歩んだ歴史 都市の発展を知る展覧会
ドイツのお城といえば、多くの人はライン川や南ドイツの古城を思い浮かべるかもしれません。城のイメージには遠いベルリンにも、かつて壮麗な王宮がありました。この「ベルリン王宮」をテーマにした展覧会「王宮。都市。ベルリン。」(S…
発掘の散歩術(78) 「ユートピアの響き」を奏でること —バレンボイム・サイード・アカデミーのオープニングから―
指揮者・ピアニストのダニエル・バレンボイムによると、音楽には二つの可能性があるという。一つ目は現実から逃避させる手段になるということ。そして二つ目は、現実をより深く理解するための助けになるということ。どちらかといえば抽象…
作家・多和田葉子 クライスト賞授賞式
ドイツの文学賞・クライスト賞の受賞が決まった作家・多和田葉子氏の授賞式が11月20日、ベルリンで開かれました。18世紀の作家ハインリヒ・フォン・クライストに因んだこの文学賞は1912年に創設され、ベルトルト・ブレヒト、ア…
Berlin…
毎年この時期のクリスマスマーケットは、ドイツでは季節を感じられる数少ない行事に属する。ベルリンの西側に住む私たちにとって、動物園駅からほど近いブライトシャイト広場のマーケットは特になじみ深いものの一つだ。12月5日(月)…
発掘の散歩術(77) 不寛容の行き着く先にあるもの ― ナチスの恐怖政治の原点を訪ねて ―
ベルリンにある鉄道ターミナルの一つ、ズュートクロイツ駅のホームに立つと、青いイケアの買い物袋を持った人の姿によく出会う。この近くに大型家庭用品の店がいくつも並んでいるからだ。いつもは自分たちも通る買い物客の流れから外れて…
イエス・キリスト教会でアバドのメモリアルコンサート
地下鉄U3のティールプラッツ駅から徒歩5分の距離にあるダーレム地区のイエス・キリスト教会は、数あるベルリンの教会の中でも独自の道を歩んできた場所です。1930年に完成したこの教会は、ナチス時代、反ナチ運動を担った組織「告…
発掘の散歩術(76) -アレッポ商人の応接間に笑みが戻る日は-
ペルガモン博物館2階のイスラム美術の展示はこの部屋から始まる。背の低い入口から入ると、T字型の部屋の9面の壁に隙間なく描き込まれた赤地の装飾に目を奪われた。次々とやって来る世界中からの客人も、イヤホンガイドを聞きながら、…
最近のコメント