大戦期の前夜を切り取った展覧会『ベルリン1937年』
5月4日から、ベルリン市営のメルキッシュ博物館で『ベルリン 1937年-明日への影の中で』という展覧会が開催されています。最初にこの展覧会のタイトルを聞いた時、ヒトラーが政権を取った1933年でも第二次世界大戦が始まった…
岩波書店『世界』2017年3月号 –生への列車・キンダートランスポート–
岩波書店の月刊誌『世界』3月号に「生への列車・キンダートランスポート ――クエーカーが救った子供たち」という12ページのルポルタージュを書かせていただく機会がありました。『世界』に寄稿するのは3回目になりますが、今回のテ…
発掘の散歩術(77) 不寛容の行き着く先にあるもの ― ナチスの恐怖政治の原点を訪ねて ―
ベルリンにある鉄道ターミナルの一つ、ズュートクロイツ駅のホームに立つと、青いイケアの買い物袋を持った人の姿によく出会う。この近くに大型家庭用品の店がいくつも並んでいるからだ。いつもは自分たちも通る買い物客の流れから外れて…
発掘の散歩術(74) -「安楽死」殺人の記念碑で考える人間の命-
光を浴びて輝くベルリン・フィルハーモニーのジグザグの屋根に向かって、透明の青いガラスの壁が伸びている。その横には様々な歴史的情報や写真が掲載されたプレートが設置され、コンサートのオフ・シーズンにもかかわらず、旅行者や地元…
2014年夏の山陽の旅(2) – 広島再訪 –
71回目の広島・長崎の原爆投下の日に際して、2年前の2014年夏に広島を訪れたときのことを書いてみたくなった(このときの旅行記は1年前に一度書いたきり、止まったままになっていました)。 広島を訪ねたのはようやくこれが2度…
発掘の散歩術(68) -ケーテ・コルヴィッツと戦争体験-
西側の繁華街、クーダムから一歩入ったファザーネン通りにあるケーテ・コルヴィッツ美術館がこの春オープンから30周年を迎える。1月末に行われた記念行事に足を運ぶと、そこは和やかな雰囲気に包まれていた。 私はそこで1枚の写真に…
発掘の散歩術(67) -ベルリン動物園 子供たちの笑顔の向こうに-
昨年初頭、息子が誕生して少し経ってからベルリン動物園の年間カードを購入した。年間カードにもいくつか種類があるが、子供が満1歳の誕生日の翌月末まで有効なBabyCard XLは、赤ん坊と両親の分の入場料を含め35ユーロで購…
ユダヤ人のスポーツの祭典
7月末、「マカビ」という聞き慣れない言葉がベルリンのメディアに頻繁に登場しました。正式には「欧州マカビ競技会」と呼ばれるユダヤ人のスポーツ大会が、ホロコースト以降ドイツで初めて開催されるということで、大きな話題を呼んだの…
ベルリン 発掘の散歩術(61) – バイエルン広場の隣人たち –
「あなたもここに住んでいたのですか!」。思わず本人にそう声をかけたい気分に駆られた。 地下鉄U7のバイエルン広場駅の周辺は、戦前多くのユダヤ人が住んでいたことで知られる。最近、駅が改装されたのを機に、この場所の歴史を伝え…
岩波書店『世界』2015年9月号 – ドイツ人と「5月8日」-
今日発売の岩波書店の月刊誌『世界』9月号に、「過去への取り組みは、人を強くする」──ドイツ人と「5月8日」というタイトルのルポルタージュを寄稿させていただきました。『世界』に寄稿するのは、今年2月号の「インゲ・ドイチュク…
発掘の散歩術(59) – 70年目の「解放」の日、ドイツ・ロシア博物館にて –
5月8日の終戦記念日の夜、ベルリン東側の郊外リヒテンベルク区にあるドイツ・ロシア博物館を目指した。ドイツ鉄道(DB)のストライキのため、通常の最寄り駅であるSバーンのカールスホルスト駅を避け、地下鉄のティーア・パーク駅か…
ドイツニュースダイジェストの1000号と終戦70周年特集
ドイツニュースダイジェストは、日本にお住まいの方にはあまり馴染みがないと思いますが、ドイツ在住の邦人の方は、おそらく一度はどこかで目にされたことがあるのではないでしょうか。日本関係のお店やレストランなどによく置いてあるフ…
岩波書店『世界』2015年2月号 – アウシュヴィッツ解放70周年 –
岩波書店の月刊誌『世界』2月号に、「インゲ・ドイチュクローンが心に刻んできたもの—アウシュヴィッツ解放70周年—」というタイトルのルポを寄稿させていただきました。間もなくやって来る1月27日のアウシュヴィッツ解放70周年…
発掘の散歩術(45) -ナチスの「机上の殺戮者」の館-
※ザクセンハウゼン強制収容所の一連のルポの最後に、最近ドイツニュースダイジェストの連載に取り上げた「強制収容所監査部」の記事を転載したいと思います。 フリードリヒシュトラーセ駅からSバーンに乗って約45分、列車は終点のオ…
ザクセンハウゼン強制収容所跡を歩く(5) -収容所で見た夕日-
とびとびの連載になってしまったが、ザクセンハウゼン強制収容所の規模の一端をいくらかお伝えできただろうか。午前中にベルリンを出発しても、強制収容所の奥にあるクレマトリウムまで見学して、再び収容所の門に戻る頃には、大体もう夕…
ザクセンハウゼン強制収容所跡を歩く(4) -壁の向こうのガス室-
2007年に私が初めてザクセンハウゼン強制収容所跡を訪れたとき、正三角形の頂点に近い位置まで歩いたのだが、そこで引き返してしまった。それだけに、その数年後、壁の向こうに「隠れて」いたものを目にした驚きは大きかった。 壁を…
ザクセンハウゼン強制収容所跡を歩く(3) – バラック跡 –
ザクセンハウゼン強制収容所のことをブログに書き始めてから、ある知人の方が指摘してくださったのだが、ここはとにかく広いので、歩き慣れた靴で行くことは大事かと思う。またベルリン市内から片道1時間20分程度かかることを考えると…
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