ベルリンのショッピングストリートといえば、まず名前が挙がるのがクーダム(Kurfuerstendamm)だろう。旅行ガイドには必ずこの通りのことが載っている。しかし、かつて「東のクーダム」と呼ばれたこともある、カール・マルクス通り(Karl-Marx-Allee)を紹介した日本語のガイドブックはおそらくないのではないだろうか。有名ブランド店が立ち並ぶ、よって似たような通りは世界中に他にいくらでもありそうな西のクーダムよりも、今となっては、「東のクーダム」の方がおもしろいし、希少価値がある。ここには社会主義時代の建物がほぼそっくりそのまま残っていて、一種独特の気分に浸れること請け合いだ。今回はこの通りを散歩してみよう。
間近から見上げると、巨大なテルテル坊主のように見えるテレビ塔。駅をはさんで現在大改装中のアレクサンダー広場(通称アレックス)が今回の散策の出発点となる。
広場には世界の時刻を示すWeltuhr(1969年完成)が立っている。この広場から全長約3キロに及ぶカール・マルクス通りが始まる。
この通りはとにかくだだっ広いので、通して歩くのはちょっと大変かもしれない。自転車で周れたら一番いいだろう。写真の右側に見える赤いラインは自転車道を表す。ドイツでは町の多くの通りに、車道とは別の自転車用のスペースが確保されているため、とても走りやすい。
通りの周りには社会主義時代の典型的な建物が並ぶが、それにしても、かつて東ドイツが国家の威信をかけて造った通りにしては、少しあっさりし過ぎてやいないだろうか。
それには実は理由があって、後に出てくるシュトラウスベルク広場から東へ続く建物に予算がかかり過ぎてしまい、そこから西へは簡素なものにせざるを得なくなったというのが、大きいのだそうだ。
しばらく経って左手に見えてくるのがKino Internationalという60年代に造られた映画館。外観はこんなだが、シャンデリアと独特の曲線美が彩る内装はすばらしい。私はここで映画を観るとちょっとゴージャスな気分になれる。写真には写っていないが、その向かいの「カフェ・モスクワ」も有名。
やがて、噴水に囲まれたシュトラウスベルク広場(Strausberger Platz)にたどり着く。ここからフランクフルト門(Frankfurter Tor)までの約1,8キロがカール・マルクス通りの最大の見所だ。景観がそれまでとがらりと変わる。続きはまた次回に。
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そういえば、このカールマルクス大通り、私は一度も歩いていません。東独時代に用があったのは、フリードリヒシュトラーセの検問所からアレキサンダープラッツまででした。この東ベルリンの中心街は、戦前の姿をかなり残していたわけですが、思い切り「社会主義リアリズム」だかの建築を展開したのが、このカールマルクス・アレーだったわけですね。
続きを楽しみにしています。
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東独時代の生のベルリンを知る焼きそうせいじさんでも、カールマルクス通りにはまだ行かれたことがなかったのですか。確かに町の中心からは少し離れているので、あそこまで行ったら帰って来れなかったかもしれませんね(笑)。
「社会主義リアリズム」、実は自分でもよくわかっていないのですが、カール・マルクス通りの重要なキーワードですね。ご指摘いただきありがとうございます。
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いわゆる「スターリン様式」というジャンル(?)の建築様式ですね。
マサトさんが以前話題に出してた映画「グッバイレーニン」に
たくさん出てきますね。
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モスクワなどに行くと、この様式の建物がたくさん見られそうですね。「グッバイレーニン」には、このカール・マルクス・アレーのパレードのシーンがあったようななかったような・・
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「カールマルクス大通り」の以前の名称は「スターリン大通り(Stalinallee)」ですね。Cafe Sibylleの中にこのスターリン大通りの建設計画についての展示があります。50年代の前半に建設されたのですが、その時期の写真が以下で見られます。
http://sambamarco.piranho.de/Stalinallee.htm
ちなみに以下の本をわざわざカールマルクス書店で買って、隣のCafe Sibylleでコーヒーを飲みながらぱらぱらめくっていました。
http://www.kmbuch.de/Stalinallee/Stalinalleeindex.htm
すべて「幻影」にくわしく書きたいと思っています。
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ゴメンナサイ! この大通りとかその周辺とかの話になりますと、つい力が入ってしまって(笑)。 実はこのカールマルクス大通りと某通りとの角に「東側某国」の国営航空会社のオフィスがありました。DDR時代、そして統一後も、2年くらいはまだここにあったと思います。DDR時代に、このほぼ無人のオフィスを好奇心で覗き込んでいた私に「東側某国」のある人物が私に声をかけてきました。背後からの声で心臓が止まるくらいの恐怖を感じました。それは「ちょっと頼みがある。」というような内容でした。この話、書くと長い話になりますし、恐るべき内容の話であり、そして危険な話でもあります。スパイ小説そのもののような体験です。なんとか「幻影」に何回かに分けて書きたいと思いますが、依然としてこの話、危険であり続けています。
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>la_vera_storiaさん
熱く語っていただきありがとうございます。本当にすごい体験をされているのですね。もし差し支えなかったら、ぜひ「ベルリン幻影」につづってください。ここまで聞いてしまうと、一体あの通りで何を体験されたのか、是が非でも知りたくなってしまいます(笑)。