シュプレー川沿いの「本日開通」の道を歩く(1)

今週は日本からお客さんラッシュ(といっても全部で2人だが)。昨日は日本から大学時代の友達がベルリンにやって来た。彼女は私のブログを読んでくれていて、その影響からか、ベルリンの新しい場所を見たいという。いつもなら、「ベルリンの新しい場所」というと候補はいくつかあるのだが、この日に限って、私に全く迷いはなかった。実は昨日の新聞のベルリン欄に、「シュプレー川沿いの新しい道路が本日開通」という記事が大きく載っていたのである。あいにくの天気だったが、早速その道を一緒に歩いてみることになった。
S-Bahn Friedrichstrasseの駅から、シュプレー川沿いに西に向かって歩いて行くと、通称”Regierungsviertel(政府地区)”と呼ばれる広大な区域が見えてくる。シュプレー川がゆったり半円を描いて流れる岸辺に、首相官邸や連邦議会を始めとする政府の重要な建物が並び、この一角の北側のてっぺんには例のベルリン中央駅が建設中である。前にも触れたが、この場所はかつて壁によって東西に分断されていたため、さら地と化していた。1990年の統一後、ボンからベルリンへの首都移行が決まってから10年以上を経て、この政府地区はようやく完成に近付きつつある。
新しい道路(neuer Uferweg am Schiffbauerdamm)はここから始まる。左の大きなドームのある建物は、ドイツ連邦議会(Reichstag)。これは裏側から見た形になる。
この日の11時に、連邦議会議長のWolfgang Thierseらによってこの通りが開通してから、まだ数時間しか経っていない。しかし、この天気と寒さからか人通りはほぼ皆無(テレビのクルーは一台見かけたが)。それでも、できたてほやほやの道路を歩くのは気持ちがよい。
やがて、川の向こうにPaul-Loebe-Hausが見えてくる。Stefan Braunfels設計による議員会館である(ついでに、建物の左に並ぶ看板のようなものにも注目していただきたい)。この建物の前はシュプレー広場(Spreeplatz)と呼ばれるのだが、この広場は非常にユニークだ。
というのも、川を挟んで対に並ぶこのMarie-Elisabeth-Lueders-Hausという建物の前の広場も、同じく「シュプレー広場」であるからだ。川を挟んだ2つの広場が同じ名前で呼ばれることは、普通はない。これは、かつてこの両岸に壁があったゆえ、東と西の掛け渡しと壁の超克を象徴する意味合いを込めての広場だからという。
となると、Paul-Loebe-Hausの横にあるこの十字架の意味も見えてくる。これはかつてシュプレー川を越えて東から西側に逃げようとして殺された人々を追悼し、彼らのことを忘れないという意味のものなのである。一番上の写真のGuenter Litfinという人は1961年の8月24日に亡くなっているが、壁ができたのは8月13日なので、その11日後に川と壁を越えようとして射殺されたものと思われる。
さて、この十字架の背後に、川を隔てて大きな階段が見えるが、この階段には「スペイン階段(Spanische Treppe)」の名前が付いている。一体なぜ「スペイン」なのかさっぱりわからなかったのだが、家に帰って新聞の記事をゆっくり読んで納得した。これについてはまた次回に。



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2 Responses

  1. ymzk
    ymzk at · Reply

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    なかなか興味深い道ですな.
    ベルリン,もう5年も行ってないです.
    久々に遊びに行こうかな.冬休みとか.

    ところで,ついに10位に入りましたな.
    おめでとうございます.
    これからも頑張ってください.
    応援してます!

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    ありがとうございます。10位入りは正直かなりうれしいです。1位から10位までの中でドイツは私だけなので、日本における地味なドイツの印象をアップさせるためにも(笑)、ここはもうちょっと踏ん張りたいと思っています。とりあえずはこの順位をキープしたいですね。

    ベルリン、ぜひ遊びに来てください。この5年間の間に町は相当変わっているし、楽しみは尽きないと思いますよ。

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