少し時間が経ってしまいましたが、最近聴いた音楽のことをいくつか書いてみたいと思います。まずはアダム・フィッシャー指揮のハイドン・フィルのコンサートより(4月20日。フィルハーモニー室内楽ホール)。
ハイドンの交響曲第88番「V字」は冒頭のざくっとした響きに耳を奪われた。オケのアンサンブルは最上ではないかもしれないが、アダム・フィッシャーの棒のもと歯切れのよい生き生きとした音楽を聴かせてくれる。3楽章の中間部のデフォルメは、2月に聴いたラトルの演奏とはまた違う意味で面白かった。テンポよく進む4楽章はまさに上機嫌なハイドンの面目躍如といった感じで、終結部での盛り上げもお見事。実はこの週は知人の突然の訃報もあって気が滅入っていたのだが、ハイドンの音楽に少し慰められた気分だった。ハイドンとモーツァルトのみという何の変哲もないプログラムだったけれど、こういう時は自分にとって馴染みの深い音楽が聴きたくなる。
続いてアルブレヒト・マイヤーがソロのモーツァルトのオーボエ協奏曲。
空間的広がりを感じさせる太くてまろやかなオーボエの音に、オケが硬質の響きで寄り添う。マイヤーは冒頭から自分のソロが入る直前まで伴奏部分も吹き、その様はオケに新たな命を吹き込むかのよう。とにかく全身で音楽を表現する人だという印象はいつもと変わらない。カデンツァは古典の枠組みを越えるような自由闊達な音楽で、これは自身の作曲だろうか?ものすごい高い音の伸ばしが突如出てきたり、お客さんもびっくりしていた様子だった。
メインはこれまたハイドンの「時計」交響曲。アダム・フィッシャーは本当に楽しそうに指揮をする。こちらは中でも4楽章が面白かった。それほど長くない音楽の中に、ベートーヴェンのような烈しさやバッハのようなフーガが息つく間もなく続くという、ハイドンの確信犯的な多面ぶりが詰まった音楽を満喫できた。
アンコールに「フィガロの結婚」序曲が演奏されて、華やかに幕。
Haydn Philharmonie
Adam Fischer Dirigent
Albrecht Mayer Oboe
Joseph Haydn
Symphonie Nr. 88 G-Dur
Wolfgang Amadeus Mozart
Oboenkonzert C-Dur KV 314
Andante für Oboe und Orchester C-Dur KV 315
Joseph Haydn
Symphonie Nr. 101 D-Dur
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コメントが遅くなってしまいましたが、聴きに来ていただいてありがとうございます。オーケストラは大都市ベルリンということで、緊張してときどき変な音が出てましたね。
このオケはオーストリアとハンガリーで活動する音楽家の寄せ集めで、年間の活動が少ないのでアンサンブルは少々荒いです。母国語が違うので、メンバー同士でも話が通じないこともあります。でも皆ハイドンの楽しさはよく知っていて、楽しみながら演奏してます。
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>haydnphilさん
コメントありがとうございます。haydnphilさんのブログを拝見して、ぜひ聴きに行こうと思ったのでした。ハイドン・フィル、寄せ集めオケとはいえ大変楽しませていただきました。せっかくなので、TBさせていただこうと思います。