「アウシュヴィッツへの旅」は何とか年内に書き終えたかったんですが、どうやら無理そうなので、2007年の最後は大晦日らしい華やかなコンサートの話で締めくくりたいと思います。いずれの公演も、本番前のGP(ゲネプロ)を運よく聴けたので、その感想です(本公演のチケットはどちらも早々と完売でした)。
まずはお馴染みのベルリン・フィルのジルベスターコンサート。これは数時間後に日本でも衛星生中継されるので、楽しみにされている方も少なくないのでは。今年はボロディンとムソルグスキーというロシア・プログラム。コンサートはライブレコーディングされ、年明けに最速リリースされるだけあって(ジャケットはもう出来上がっています↑)、演奏も仕上がりの高さを感じさせました。有名な「だったん人の踊り」からベルリン・フィルの機能性を存分に見せ付けられます。ここでは何といっても、ソロ・オーボエのジョナサン・ケリーの歌い回しがすばらしい!ボロディンの交響曲第2番というのは初めて聴きましたが、情熱的な冒頭部分からぐわっと心をつかまれました。「展覧会の絵」は、圧巻といっていい出来だと思います。この2ヶ月近く何人かの客演指揮者の棒でベルリン・フィルを聴きましたが、自分の意図をオケの隅々まで浸透させることができるという意味では、やはりラトルは頭一つ抜き出ていると実感しました。「古城」のサックスソロなど、普通ならもっと朗々と歌わせるのでしょうが、彼の指揮の元では全体の響きのバランスが崩れることが決してありません。「キエフの門」での圧倒的なクライマックスに向けての音響設計も巧みでした。やはりロシアもので統一したアンコール曲も、大いに盛り上がることでしょうね。
Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle
Alexander Borodin
Polowetzer Tänze aus der Oper Fürst Igor
Symphonie Nr. 2 h-Moll
Modest Mussorgsky
Vorspiel zur Oper Chowanschtschina
Bilder einer Ausstellung
(Orchesterfassung von Maurice Ravel)
さて、大晦日のコンサートの2本目はヤノフスキ指揮のベルリン放送響の第9です。日本と違ってドイツでは12月に第9を演奏する習慣がないので、この時期ベルリンで第9が聴けるのはこのヤノフスキとバレンボイム指揮のシュターツカペレぐらいなんです。びっくりしたのはテンポの速さ。細部まで磨かれた先ほどのラトルに比べると、ヤノフスキは曲全体の流れを重視しているというか、音楽が滞ることなくサクサク進んでいきます。それは少々そっけないほどでもあり、テンポが速いのでオケのアンサンブルは時々乱れますし、聴いていてもう少し響きの余韻が欲しかったり、メロディーにゆったり浸らせてくれてもと思わないでもありませんでした。でも、これはこれで充実した第9で、オケはドイツのオーケストラそのものという分厚い響きを出していました。先日のクリスマス・オラトリオに続いて、ベルリン放送合唱団のハーモニーがすばらしく、豪華歌手陣を集めたソロも傑出。個人的には何となく気の晴れない年末でしたが、ベートーヴェンの第9を聴くと新しい1年に希望を持とうという気になってくるから不思議です。
今年1年このブログにお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
皆さん、どうぞよいお年をお迎えください。
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
Rundfunkchor Berlin
Marek Janowski
Camilla Nylund Sopran
Petra Lang Alt
Robert Gambill Tenor
Kwangchul Youn Baß
Ludwig van Beethoven Sinfonie Nr. 9 d-Moll op. 125 mit Schlußchor über Schillers Ode »An die Freude«
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あけましておめでとうございます!
ベルリンでベルリンフィルの演奏を聴くのは私の夢の一つです。
クラシック好きだけど、曲名を知らなかったりとそんなに詳しくはありませんが、展覧会の絵は子供の頃から大好きで、レコードが擦り切れる程聴きました。
身近ですばらしい音楽が聴けるなんて、うらやましいです~。
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>つーたんさん
>ベルリンでベルリンフィルの演奏を聴くのは私の夢の一つです。
私も日本にいたときはそうでした。
いまはありがたいことにちょっとその気になれば、すぐに生で聴けるわけですが、音楽にはいつも新鮮な気持ちで向かい合いたいと思っています。「展覧会の絵」は久々に聴きましたが、やっぱりいい曲です!