元旦から「環境ゾーン」が導入

今年の1月1日から、ケルン、ハノーファーと並んで、ベルリンでも「環境ゾーン(Umweltzone)」が導入されました。
ドイツを始めとするヨーロッパの自動車はディーゼル車が主流ですが、ガソリン車より二酸化炭素の排出量が少ないというメリットがある一方、ぜんそくや肺ガンの原因になり得る粒子状の有害物質を排出します。環境ゾーンの中にクルマが進入する場合、粒子物質の排出量によって緑、黄、赤の3色に分類される「環境ステッカー(Umweltplakette)」を5ユーロで購入し、車のフロントガラスに貼ることが義務付けられたのです。これにより、基準に満たない旧式ディーゼル車などはゾーンから締め出され、ベルリンでは2月から、違反車には40ユーロの罰金が科せられることになります。
(berlin.deより)
環境ゾーンが定められた地域は、Sバーンリング(環状線)の内側。この町の人口340万人のうち約3分の1が住んでいるという密集地帯ですから、ゾーンの設置が大気と人体に及ぼす効果は小さくありません。ベルリン市のカトリン・ロンプシャー健康・環境相は、「今回の措置は市民の健康を守るのが目的。市内を走るクルマ約120万台のうち、環境ゾーンの導入によって締め出されるのは全体の7%に過ぎないが、有害物質による(人体への)負担は最大25%削減できる」と見込んでいます。
この3都市以外にも、ハンブルク、ミュンヘン、シュトゥットガルトなどの各都市で環境ゾーンの設置が検討されており、さらに2010年からは、緑色のステッカー(排気ガス規制グループ4)のクルマしかゾーン内に入れなくなります。
環境ゾーンの導入で、ふとあるクルマの存在が頭を過ぎりました。東ドイツ時代の大衆車トラバント(通称トラビ)です。最近まで約1700台がベルリンで走り続けていたといいますが、有害物質規制の基準に満たないためか、最近めっきり見かけなくなりました。ドイツ再統一のシンボルにもなったトラビが、市内中心部から消える日は確実に近づいているのかもしれません。
ドイツニュースダイジェスト 1月25日)
今回の記事を書くにあたって、ベルリン自由大学で環境マネジメントを専攻している西村健佑さんから、ドイツの環境政策についての興味深いお話をいろいろ聞かせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。



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14 Responses

  1. 第三市民
    第三市民 at · Reply

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     何時も生き生きとしたベルリンの伊吹を伝えて頂きありがとうございます。
     日本でも、東京でも環境ゾーンの導入の構想はあるようで、その前段階と思われる大型運搬車両の入域制限なだ一部で導入されていますが、為政者のパーソナリティの面妖さから、何故か正当な評価を得られず、経済的締め付けにばかり話題が集中したりします。

     トラビーが懐かしいです。
     一度しか同乗したことがない、ちょっと危うげな乗用車でしたが、エンジンの改良を手掛けたら、インドで新発売の世界最安値の乗用車にも負けなかったのではないかと残念でした。

  2. にわやま
    にわやま at · Reply

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    先日うちでホームパーティー開いたら、集まった6人ほどの若者たち
    この話題で1時間はもってました。
    「うちの車はね」「いやいやうちの車は」てなかんじで笑
    確かにベルリンの空気はけっこうすごいですよね。排気ガスと煙草。
    来た頃は外歩くだけで酔ってました。慣れってコワイ。
    少しでもキレイになると嬉しいです!!!

  3. キートス
    キートス at · Reply

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    トラバントが消えてゆくのですね。しかし25年前のベルリン(特に冬)を思い出すと、ベルリンの空気の質はもの凄く良くなったのを実感します。特に旧東ベルリンの煙突からもくもくと上がった煙は凄かったです。場所によっては西側にもそんな風景がありました。冬は東の風が多く、旧西ベルリンにもよく黄色っぽいスモッグか掛かっていました。黄色っぽさの原因は硫黄分。特に旧東ドイツで大量に採掘された茶色っぽい褐炭(西にも多少ありましたが)を発電所や暖炉で使われていました。

    更にはトラバントの青い煙。当時の(排気ガス処理機無しの)4ストロークエンジンの20台分の有害物質を排出すると言われていました。正直、あまり懐かしくは思えません。当時乗っていた人は違うと思いますが。

    今回の粒子状物質対策はEUの法令に基づいてますが、ドイツでは昔(地球温暖化が一般に知られる前)から地球にやさしいイメージを持つディーゼル車も本当は如何に酷いものであることを知らせるという効果も大歓迎です。そんな言い方はドイツ人にしては珍しいですが・・・

  4. 第三市民
    第三市民 at · Reply

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     昔の話で思い出しました、相当曖昧な記憶ですが。
     1985年頃、気圧配置のせいか猛烈なスモッグに襲われた西ベルリンが、真冬の休日に車の使用制限を初めて発令して、空気浄化装置(カタリザート?)が付いた車と新型車、旧型車に分類して、交通規制を敷きました。
     朝からテレビでがんがん放送していたのですが、理解力に乏しい私は、娘を連れて屋内テニス場に向かって、クレー・アレーで捕まり見事車を放置させられました。
     公共交通機関であるバスは走っていましたが、東ベルリンの壁の近くでは、あの高さの壁を越えて東からスモッグが流れ込んで来るのが見えたとのことです。
     確かに空気が綺麗になった実感があって、おおよそ住民からは好評でした。

  5. Bach!!
    Bach!! at · Reply

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    「ヨーロッパの自動車はディーゼル車が主流」で、「ガソリン車より二酸化炭素の排出量が少ない」というのは、意外でした。
    「環境ゾーンの導入」はいい試みだと思います。ベルリン市の環境相のコメントにも説得力がありますね。

  6. pfaelzerwein
    pfaelzerwein at · Reply

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    「2010年からは、緑色のステッカー(排気ガス規制グループ4)のクルマしか」を読んで吃驚しました。調べると、私はガソリンのEURO3ですので当分はグリーンを貰えるようですが、ディーゼルは2006年以降の新車のみとなりますね。それ以前の車はフィルターをつけるかどうかを考えるのでしょう。今だにドイツは燃料代高騰やCO2のためにディーゼル人気は高いですから、規制は仕方ないかなとは思いますね。しかし、住民やオールドタイマーを除く動きも一部にはあるようなので、トラビもミッテのクラッシックカーにすれば良いかもしれません。ドイツ車におけるフィルターの実用化が遅れたつけは今後こうして出てくるかもしれません。

  7. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >第三市民さん
    コメントありがとうございます。やはりかつてベルリンに住んでいらした方のお話は貴重です。昔のベルリンは空気が本当に悪かったのですね。トラビには、私は乗ったことがありません・・・

    >為政者のパーソナリティの面妖さから、
    実は東京の排ガス規制は、日本の中ではかなり先を行っているようで、今回のベルリンと同レベルなんだそうです。あの為政者の独断が、たまにはいい方面に作用することもあるということでしょうか!?

  8. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >にわやまさん
    ベルリーナーの間でも話題になっていましたか。
    ベルリンは緑が多いせいか(というのはあくまで間接的な要因かもしれませんが)、空気が汚いという印象を持ったことは僕はほとんどないんですよね。

  9. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >キートスさん
    へー、昔はそうだったんですか!ほんの20年前を思うと、隔世の感がありますねえ。「黄色っぽいスモッグ」や「トラバントの青い煙」というのもまたリアルでした。ディーゼル車は少し古いタイプのものになると、かなり問題があるようですね。

  10. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >Bach!!さん
    友達に教えてもらった話によると、ガソリン車はCo2の他に、酸性雨の原因になる硫黄酸化物(SOx)を、一方のディーゼル車はぜんそくなどの原因になりえる窒素酸化物(NOx)やここで問題になっている粒子物質を多く排出するそうです。 まあどちらも一長一短ですね。

  11. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >pfaelzerweinさん
    >ディーゼルは2006年以降の新車のみとなりますね。
    なかなか厳しいですね。そうなると、新車への買い替えや、フィルター普及の速度は速まるのかもしれません。ただ、フィルターを付けるといっても、結構な費用がかかるそうですね。私は車を持っていないので、まだ半分他人事ではありますが・・・

  12. vanilla2786
    vanilla2786 at · Reply

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    はじめまして。VANILLAといいます。
    以前から拝見させてもらっていました。
    僕は来月旅行でベルリンに行きたいと考えています。

    ドイツをはじめヨーロッパも交通機関がとても発達していますからね。便利になったけど体には悪い気がします。
    ヨーロッパは、永遠に馬車のスタイルでいってほしいです。

  13. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >vanilla2786さん
    はじめまして!
    >永遠に馬車のスタイル
    馬車はどう見ても環境にいいですよね(笑)。現代に置き換えるならトラムでしょうか。ベルリンでも復権が進んでいるのはうれしいことです。

    ベルリン旅行、どうぞ楽しんできてくださいね。

  14. ポロネーゼ
    ポロネーゼ at · Reply

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    はじめまして。現在、ポーランド在住で、数ヶ月に一度ベルリンで日本食材の買出し、観光、ショッピングを楽しんでいます。車に貼るステッカーは、どこで購入できるのでしょうか?ご存知でしたら、教えていただけないでしょうか?

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