両国の江戸東京博物館を見てきました。先日『東京下町歩く地図帳」という本をパラパラめくっていたら、「両国」のページでこの博物館が目に留まり、「そういえばベルリンの日本人の友達が外国からお客さんが来たらよく連れて行くと言っていたのはここではなかったっけ」と思い出し行ってみることにしたのです。これが期待を超える面白さで、あっという間に時間が過ぎていきました。
見学は6階の常設展からスタート。実物大に再現された日本橋を渡って、まず江戸ゾーンに入ります。
ここの博物館のよさは学術的な堅苦しさがなくて(説明文は簡素にまとめられています)、誰もが見て感じて楽しめるところ(小学生や都内の中学生は入場無料というのもいいですね)。当時の人々の暮らしが原寸大のセットで再現されているほか、数々の精巧な模型にはびっくりしました。
あちこちに双眼鏡が置かれていて、じっくり眺めることができます。ガイドさんの説明を聞きながら見たら、1日中いても飽きなそう。館内は外国人観光客も多く、さまざまな言語で説明するガイドさんの声があちこちから聞こえてきました。
呉服屋店越後屋(三越の前身ですね)の模型。15分毎にのれんが下がるのだとか。
両国橋界隈の情景は圧巻。当時の賑わいが伝わってくるかのようでした。
昭和初期の長屋を再現。こちらも雰囲気がよく出ています。
東京大空襲についての展示は胸が痛みました。これは終戦直後の新宿の闇市の様子を模型で再現したもの。
戦後の代表的な大衆車、スバル360。人力車にも乗ってみました。
常設展を一通り見るだけでくたくたになってしまい、1階の企画展までは回りきれず。でも十分堪能しました。最後に自分用のお土産として、東京の精巧な俯瞰図(江戸時代と現代の2種類がある)がプリントアウトされたクリアファイルを買いました。相撲が好きなので、今度両国に来るときは隣の国技館で大相撲でも見てみたいものです。
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「扱いにくさ」という点でいえば、東京という街は我々にとってあまりにも日常的な感覚にべったりと「へばりついている」という点でしょうか。そのためにかえって「幻影」は見にくいのかもしれません。それでもさすがに素晴らしい本は何冊もあります。比較的近年に読んだ中では思いつくまま挙げれば、
「大正幻影」
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480032669/
http://www.suntory.co.jp/sfnd/gakugei/sha_fu0028.html
「永井荷風の昭和」
https://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?KEYWORD=%89%69%88%E4%89%D7%95%97%82%CC%8F%BA%98%61
「荷風の永代橋」
http://www.seidosha.co.jp/index.php?%B2%D9%C9%F7%A4%CE%B1%CA%C2%E5%B6%B6
などですね。川本三郎さんの本はどれもなかなか見事だと思いました。次回の日本御滞在時にでも、こういった本にでも眼を通していただければ、またちがった東京と出会えるかもしれませんよ。ではお元気で!
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げなうです!よかったでしょ~ぅ!私も帰国したらまた行きます!
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横からのコメントで恐縮です。
la_vera_storia さん
「荷風の永代橋」は刊行時、読みましたが楽しめる書物ですね。
著者、草森紳一さんは残念ながら10日余り前に亡くなりました。
アサヒコムの訃報より
http://www.asahi.com/obituaries/update/0329/TKY200803290241.html
2008年03月29日19時26分
「草森 紳一さん(くさもり・しんいち=評論家、作家)が20日、心不全で死去、70歳。通夜、葬儀は行わない。 婦人画報社の編集者を経て評論活動に。「美術手帖」にアンリ・ルソー論を発表、その後マンガ、ポップアート、広告、写真、中国文学など幅広い領域の文化…
「絶対の宣伝 ナチス・プロパガンダ」など…
引用ここまで
土地に記憶された「歴史」をたどるのは、ある意味「容易」なところがあります。
徳川支配以前は市ヶ谷台地(現・防衛省の北側)やオリジナル江戸城に土塁程度の「砦」があったにしろ、本来は小さな漁村の土地だったわけです。
長い江戸時代を経て、関東大震災直前の時代でも、その広がりは現在の山手線のやや内側程度です。
膨張する都市としての東京は、この40年ほどの時代でしょう。
続く
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昨今、荷風の使われ方は恣意的です。終了しましたが
世田谷文学館は「シンプルライフ」とタイトルをうち、荷風ゆかりの文献、日用品の展示、
http://setabun.jp/exhibition/kafu/
日記帳原本展示を「ブログ(日記)」と大きく表示、若い世代にこびるようなスタンスでした。
誕生地から終焉の市川時代まで生涯展示をしたかのように装っているのですが、なぜかシンプル・ライフの動機となった断腸亭の監獄裏時代(東京監獄・幸徳秋水たちの囚人馬車を慶応大学に通勤する途上に目撃)は展示からネグレクトされていました。
3月下旬に「ツアーパフォーマンス」という「都市演劇」に観客として参加しましたが、こちらでは土地の記憶を大いに喚起された企画でした。
主催者はベルリンで演技の「修行」をした高山さんという方。
以下は主催者のウェブイト(案内を部分引用)
http://soramimi-works.net/portb/frame.html?news.html
『サンシャイン62』5人一組となった観客が、サンシャイン60を巡る町歩きのツアーを体験。
「第二次世界大戦後、巣鴨プリズン跡地に建てられた池袋サンシャイン60。…、戦後、東京裁判開廷からの62年間をたどる "時のツアー" …
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いいところへ行かれましたね。そう、あのディスプレイは愚亭も割りに好きなのですよ。比較的珍しいと思いますね、あのような形で昔の姿を再現している博物館というのは。それに相当緻密な出来栄えですから、価値はあるでしょうね。
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AKさん
私は世田谷での展示は見ていませんが、おっしゃられるように荷風の使われ方が最近恣意的であるという御指摘の点は、私もなんとなくわかりますね。荷風はニューヨークでもパリででも「生活者」としての視点で観察しておらず、あくまでも欧米の都市と文化を「憧憬の対象」の延長線上の視点で記述したわけですが、一方彼が「生活者」としての生き、そして記述したのは東京とその近郊(市川など)でした。最近よく言われる「シンプルライフ」の象徴として荷風の生き様をあまりにも安易に引き合いに出す人は、荷風という実は一筋縄ではいかぬ人物の生き方を、自分なりに単純化し憧憬の対象としてしまいたかっただけのようにも思いますね。「文部省推薦『ばらの騎士』鑑賞会」の荷風人生版とでもいったところでしょうか(笑)。
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>la_vera_storiaさん
ご紹介いただいた3冊、ドイツに戻る前日に本屋で探したのですが、残念ながら見つかりませんでした。でもぜひ読みたいので、そのうち日本から取り寄せてもらうことになりそうです。
東京の『日常的な感覚にべったりと「へばりついている」』という点、何となく理解できます。ただ、ベルリンを見続けてきたことで、私の東京への関心も大きなものになりつつあります。明治の人々を通じて、東京とベルリンとの関連をたどる試みも考えています。またどうぞお付き合いください。
邦正美さんの本は、一度ここでちゃんと紹介しなければと思っています。
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>にわやまさん
そうです!あのとき教えていただいて本当によかった。また近々お会いしましょうね^^
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>にわやまさん
そうです!あのとき教えていただいて本当によかった。また近々お会いしましょうね^^
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>AKさん
示唆に富むコメント、ありがとうございます。世田谷文学館の展示会、高山明氏の「ツアーパフォーマンス」、どちらも大変興味を惹かれました。永井荷風、面白い人ですね。もっと早く意識していれば今回日本で本を何冊か仕入れてきたのですが・・・残念。
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>AKさん
示唆に富むコメント、ありがとうございます。世田谷文学館の展示会、高山明氏の「ツアーパフォーマンス」、どちらも大変興味を惹かれました。永井荷風、面白い人ですね。もっと早く意識していれば今回日本で本を何冊か仕入れてきたのですが・・・残念。
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>grappa-teiさん
こんにちは。あの模型は本当に緻密でしたね。特に両国橋の情景なんて、一人一人の人物に物語がありそうでしたから。相当綿密なリサーチのもとで制作されたのだと思います。今度は企画展にまで足を延ばしたいです。
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>grappa-teiさん
こんにちは。あの模型は本当に緻密でしたね。特に両国橋の情景なんて、一人一人の人物に物語がありそうでしたから。相当綿密なリサーチのもとで制作されたのだと思います。今度は企画展にまで足を延ばしたいです。
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私もここ、行ったことがあります。
ドイツにお嫁に行く直前でした。
大人から子供まで楽しめる所ですよね。
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>Tilさん
東京という街についてのこんな面白いミュージアムがあるなんて知りませんでした。どこかで和を感じさせる建築も面白いですね。
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>Tilさん
東京という街についてのこんな面白いミュージアムがあるなんて知りませんでした。どこかで和を感じさせる建築も面白いですね。