前代未聞のSバーンの大混乱

S-Bahnhof Friedrichstraße (2009-07-24)
80年近い歴史を持つベルリンのSバーンが、かつてない大混乱に陥っています。東京に例えると、山手線や中央線をはじめ、JRの近郊電車が数週間にわたってほぼ麻痺状態になるという、普通は考えられない状況です。
事の発端は5月1日にカウルスドルフ駅で起きたSバーンの脱線事故でした。幸い大きな事故ではなかったものの、ある車輪円盤に見つかった50ミリの亀裂が事故の原因だったことがわかり、鉄道連邦庁は車輪検査の周期を短くするよう命じました。Sバーン側はその要求に応じましたが、実際は要求された規模の検査を行っていないことが6月末に発覚。同庁から、検査が実施されていない車両を運行から外すよう命じられました。その頃からSバーンのダイヤが大幅に乱れ、街は大混乱に陥ったのです。
脱線事故で今回の騒動の発端となったSバーンの481型
Sバーンの経営側は7月20日から2週間半にわたって、8つの路線と19の駅の営業を休止し、緊急ダイヤを実施することに決めました。その中には、ツォー駅から中央駅を経て東駅まで続く大動脈やシェーネフェルト空港行きの路線も含まれているというから、これは一大事。運休中の路線では、姉妹会社であるドイツ鉄道のレギオナル・バーン(地域鉄道)やバスによる代替輸送が実施されました。
今あるSバーン632両のうち、安全基準を満たしている車両は4分の1だけとのこと。車軸を超音波で調査し、場合によってはそれを交換する作業が急ピッチで進められていますが、同社は車軸を扱っていた工場を数年前に解体、その際に従業員も解雇したため、修理工の人員が足りていないという不都合も重なりました。
しかし、8月3日、現場の必死の作業もあって、当初の予定より早くこの状況に終止符が打たれました。通常ダイヤより本数は少ないものの、現在はほぼすべての路線で運行が再開しています。ベルリンでは、8月15日から23日まで「世界陸上」という一大イベントが控え、世界中から大勢の関係者や見物客がやって来るだけに、ひとまず安堵した関係者は多かったことでしょう。
とはいえ、通常の状態に戻るのはまだ当分先のことです。Sバーン社長のブーフナー氏は、最近のインタビューの中で、Sバーンが通常ダイヤに戻るのは12月と約束していますが、懐疑的な見方もあります。これからベルリンに来られる方には、Sバーンのサイト(www.s-bahn-berlin.de)などで最新の情報をチェックされておくと良いかもしれません。
ドイツニュースダイジェスト 8月14日)

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6 Responses

  1. うのっち
    うのっち at · Reply

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    先日は久々にお目にかかれて、楽しかったです!しかし、よりにもよって、一番来てはいけない時に、ベルリンに迷い込んでしまったようですねぇ。特にZoo~Hbf~Friedrichstr.の移動は、本当に大変でした。電車は少ないし、人は多いし、2両編成のREでも人でぎっしり。他にもS25などが一部の区間で運休して、乗り換えで散々な目にあったり、あれはベルリンではありません!とはいっても、ドイツの他の田舎の「普段の」ダイヤに比べれば、全然マシでしたが(笑)

  2. HUH
    HUH at · Reply

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    こんにちは。
    昨年はICEで脱線事故があり、車軸問題でダイヤが大幅に乱れる事態になっていましたが、それがほぼ正常化したと思ったら、今度はS-Bahnですね。ただ、昨年の時点で、ICEで問題になった車軸と同じものをS-Bahnの481形が使用していることが問題になっていましたので、案の定の事態と言えなくもありません。
    それにしても、ICEのトラブルで慣れたのか、今回のS-Bahnの混乱に対し、随分と手早く対応したものだと感じます。こんなことに慣れてもらっても困るのですが。

    481形はベルリンの顔、他の都市にはないベルリンだけの車両ですし、町の雰囲気によく溶け込んでいると思います。早く正常化して欲しいものです。

  3. 冬風
    冬風 at · Reply

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     お久し振りです、かなり以前に書き込ませてもらった冬風です。
     来年の1月にまたベルリンに行く予定であるだけに、ふと12月には通常ダイヤに戻っている事を願ってしまいます。最も前回行った時は、日本にいる感覚でRE・RBの方を良く使っていたものでした。
     日本でも先日、こう言う形で利用者が不便を長期間被る、と言う形ではありませんが主要鉄道会社の運転トラブルの発生件数が報道され、JR東日本の数値が妙に高い、と一部で話題になったのを思い出します。
     また車軸工場の解体に見る合理化の問題は、S-Bahnも矢張り同じなのですね。先に挙げたJR、特に東日本ではかなりの線路や車両保守の分野が、部門ごとに子会社として分割され、かつてほど融通の利いた対応が出来ない、結果として運転再開に時間がかかりすぎているとの指摘があります。
     日独双方とも、国鉄の民営化と言う同じ道をたどった中であるだけに、また個人的な事情としては交通関係を大学で専攻しているだけに興味深く読ませていただきました。ありがとうございます。

  4. Jens
    Jens at · Reply

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    そんなことになってたんですね!全然知りませんでした・・ベルリン旅行中はUバーンとバスが主流ですが、Sバーンも何だかんだ利用しますからね、止まってたら不便で困ります。。以前もポツダム広場がキレイになる直前くらいにUバーンが工事で折返し運転してて知らずに乗って乗換えとか面倒でエライ目に遭いました。バスでも似たような体験をして以来、到着してから工事情報みたいなのを必ず確認してます(笑)私が行くのはもう少し先ですが、久々なのでいつも以上にチェックして行かないとかも?

  5. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    うのっちさん
    お返事遅くなりました!先日はこちらこそ楽しかったです。なかなかいいお店でしたね。確かにあの時期のSバーンは最悪でした。ただ、夏休み期間中だったこともあり、あまり文句を言っている人も見なかったです。同じことが東京で起こったら大変だったでしょうが・・・。

    HUHさん
    コメントありがとうございます。ICEとSバーンが同じ車軸を使っていたとは驚きです。なるほど、似たようなトラブルは以前にもあったのですね。お話参考になりました。

  6. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    冬風さん
    ご感想ありがとうございます。さすが交通関係を専攻されているだけあって、興味深く読ませていただきました。日本との比較のお話はなるほどという感じです。Sバーンは財政面でかなり厳しいらしく、そのことも今回マイナスに作用してしまいました。12月に来られる際は平常ダイヤに戻っているといいですね。

    Jensさん
    ベルリンのSバーンやUバーンはしょっちゅうどこかで工事しているので、在住者でもよく戸惑います。折り返し運転、あれも結構困るんですよね。まあ代替輸送を使えば、目的地に大体何とか到達できるのですが。

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